許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

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第10話:藤原道雅

頼親達の拠点に向かう最中互いの才能について語った。

 

源頼親の才能は舐められたら殺すという意思及びそれを実行する決断力、その殺しを遂行するための殺人計画を練る知力が身につくというものだ。

 

そして才能行使は『殺人上手』

その効果は殺すターゲットを目視する事で自身を透明化する能力である。

気配は余程神経を張り巡らせ警戒してないと察知できずサーモグラフィーにも反応しない。頼親自身がターゲットからある程度離れるか殺人を実行しその後始末が済まされるまでは解除されないようだ。

 

原作に出てきたファーブルの『観察者』に似ている能力だが透明状態でも会話できたりこちらに触れることが出来るのが違いだろう。

 

俺も自身の才能と才能行使について話すと

 

「なかなか恐ろしい力だな。肉体的にも精神的にも破壊できるとは。敵対したくはないな。」

 

と返された。

いや普通にそっちの方が怖いだろ!

目視に気づかなかったらそのまま刺されて終わりだろ!

聞いたときにはdbdのブギーマンかな?って思ったし。

 

 

そうこうしているうちに拠点についた。いや普通に一軒家だ。

どうやらこの家主が廻り者になる前からの家らしい。

 

頼親がインターホンを押しドアが開くのを待つ。

時間が経っても開かないのでもう一回インターホンを押しただけでなく開けるよう家主に訴え、ついにインターホン越しで口喧嘩まで始まってしまった。

 

それをしばらく眺めると家主側が観念したのかドアのロックが解除される音が聞こえた。

 

「…良いのか?入って。」

 

「気にするな。既にお前の事は話したのに今更駄々を捏ねおったからな。後悪いが廻り者になってくれんか?ホームレスを家にあげるなとうるさいのでな?」

 

不安に思い頼親に大丈夫か尋ねると廻り者になるのを条件に家に上がるのを許されたようだ。いやまあいかに髪を切り風呂にも入り洗濯もしたが後ろ二つは毎日やれるわけでもないのでそういう反応なのは仕方ない。

 

そうして廻り者になって家に上がる。

 

 

「お?廻り者になったらダンディーなオッサンじゃん!廻り者になっても不潔そうなら追い出すつもりだったが全然マシじゃねえか!」

 

そこにはいかにもチャラチャラとしたホストみたいな顔と雰囲気にいかにも平安貴族というような狩衣を纏った姿がアンマッチに感じる。

狩衣を着崩している分不良公家感が強い。

 

「そうだ名乗るの忘れてたわ。俺は源道雅。理想の女を求めて三千里、悩める恋の貴公子さ⭐︎」

 

歯が浮くようなセリフに気後れする。

 

「此奴が藤原道雅。ここの家主にして某と同じく平安貴族の廻り者だが色ボケのナンパ魔だ。女子の依頼ばかり来るのは此奴がナンパした過程で安請け合いしてくるからだ。」

 

「理想の女じゃなくても女の頼み、しかも怒りと憎しみが籠った依頼なんて無碍にできないじゃん?俺とお前としても渡りに船だしよ。」

 

頼親が渋い顔をしながら道雅の説明をすると飄々とした態度で道雅は返す。

 

「渡りに船というとやはり才能についてか。」

 

「そうだよヴラド公。あんたの才能について考えるとこっち側だろ?一般人にも被害が出そうなタイプの才能。」

 

俺の問いに道雅はヘラヘラとした表情を引き締めて語る。

 

藤原道雅、左京大夫道雅という名前の方がピンと来るかもしれない。

彼は百人一首にその名を残す歌人である。

 

ただ彼にはもう一つの顔がある。

父である藤原伊周が藤原道長に政争で敗北したため栄華への道は閉ざされ道長の下につくしかなくなった鬱憤を晴らすかのように繰り返される乱行の数々。

その結果道雅はこう呼ばれた。

 

「悪三位または荒三位と呼ばれただけあって俺の荒ぶる衝動は中々抑えられないんだよね。理想の女を求めてるのも衝動の一つ。でも抑えられないんだよね。俺には公家としての雅さだけじゃなくて荒々しい獣性も持っている。」

 

道雅は真面目な表情で語る内容は廻り者になる業というのを感じさせる。

ただ恋に焦がれ和歌の才に目覚めるだけなら良かったが藤原道雅はそれだけの男ではないのだ。

 

「で、ある日我慢出来なくなってナンパした女を殺そうと思ったんだけどそしたらそいつの元カノを主張する奴が仲間連れてやってきてさ。なんか騒いだからボコしたんだけどそしたらスッキリしたんだ。それ以降理想の女を探しつつ困ってる女の悩み事を解決してるってわけ。」

 

そう言って彼がどうして活動を始めたかを語り終えた。

ただ俺は一つ気になった事を質問した。

 

「そいつらは殺したのか?」

 

「殺してないよ?あくまで暴力衝動を発散したかっただけだし女の前だしね。まぁ結局別れたんだけどね。というかそういう才能で気にするんだね。潔癖というべきかまだ呑まれてないというべきか。」

 

俺の問いに道雅は殺しはしてないと主張した。

その後に言われたことは少し刺さった故に反論した。

 

「我々は異物だ。相手がチンピラだとしてもましてや明確な悪だとしてもそれを殺し続けるなら目をつけられる可能性もあるからな。」

 

「まぁそうだね。俺も清い身じゃないしカスは何人か殺した事はあるけどそしたら全身黒づくめの連中に襲われた事もあるね。」

 

道雅の返答に俺は目を見開く。

その黒づくめの連中というのはおそらく黒鋭隊だろう。

まぁ偉人の社はまだ無くてもこいつらは居るよなぁ。

 

「まぁそんなに多くなかったし俺の才能行使で撒けるくらいだったからそこまで問題なかったね。頼親と組んだ頃には奴らとは全く合わなくなったし。」

 

一般廻り者一体に逃げられているのは北束が居ないからかもしれない。ただ頼親と組んだ頃、頼親曰く2〜3年前には黒鋭隊が襲撃して来なくなったってのは変だ。

 

道雅の才能はまだ分からないが暗殺特価の頼親が加入したあとなんて道雅単独の時より不審死の数は増えるだろう。

黒鋭隊がその首謀者となる廻り者達を許すわけない。

 

つまり裏があるのだろうがこちらからは分からない。

 

「難しい顔してどうした?」

 

「あぁ…黒い連中の襲撃が止まったというのに違和感を感じてな。」

 

俺の心配に杞憂だろと返す道雅。

まぁそれならいい。よくよく考えたら俺が公衆の面前で手品を繰り返して目立っていたのに襲撃して来ないのはおかしい。

 

そう思い黒鋭隊について一旦頭から消して二人と話を続けた。

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