許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
黒鋭隊とは廻り者に対抗する為に作られた部隊である。
いつから作られたかは不明だが廻り者を今を生きる人々にとって脅威であると見做し彼らの排除の為に豊富な装備と類稀なる人材を結集している。
そんな彼らは今日も廻り者への対策のために活動を続ける。
「隊長!なぜ奴らを監視に留めるのですか!!奴らは人に害をなす廻り者じゃないですか!」
黒鋭隊の隊員の一人が隊長と呼ぶ男に怒りを露わにする。
「と言ってもだな。そいつらが殺しているのはろくでなしであろう?司法の目を掻い潜っているような外道だ。なれば良いではないか。」
「その刃がいつ無辜の民に向けられるか分からないじゃないですか!犠牲になってからでは遅いのですよ!」
隊長の歯に物が詰まったような返しに隊員は口調を激しくする。
「隊長に対して無礼ではないですかね?」
すると一人の男性が奥から現れ隊員を咎める。
「しかし副隊長!」
「黙りなさい!隊長には深い考えがあるんですよ!上の言うことには従うんですね。」
隊員は副隊長にも何か言おうとするも副隊長はそれを遮り厳しい口調を浴びせ隊員を追い出した。
「くそっ…隊長も副隊長も甘すぎる!奴らは脅威だ、いつ無辜の人々に手を出すか分からないと言うのに…。」
追い出された隊員は悔しさを滲ませながら壁を叩き付ける。
「あの手品をしていた廻り者にしてもそうだ。ただちに問題無しと監視すらしないなんて。ここ数年廻り者に対して甘すぎだ。」
隊員は隊長と副隊長に対して不満を口にしながら去っていく。
「全く隊長の深謀遠慮に気づかぬとは愚かなものです。それでは失礼します。」
隊員に対し苛立ちを覚えながらそう言って副隊長も去っていく。
隊長はそれを見送ると頭を抱え深いため息をつく。
すると電話が鳴り出し隊長の顔は歪む。
「いやぁ隊長さんこんばんは。どうですか?ちゃんと私の言う通りにしておりますか?」
電話の男は陽気な声で話しかける。電話からはカラカラと何かが回る音も聞こえる。
「お前のせいで私の評判はメチャクチャだ!少なくともあの二人組の廻り者は対処した方が良いのではないか⁈」
一方隊長は声を荒げる。しかし電話の男は冷酷に返す。
「なら仕方ありません。我々の関係はこれまでです。私は貴方が抱えた秘密を全世界にばら撒きましょう。そして貴方は社会的に…そして物理的に終わりを迎えるでしょう。」
「ま、待ってくれ。じ、冗談だ。バカな下の態度に冷静さを失っていただけだ。すまなかった。だから許してくれ!」
電話の男の脅しに隊長は涙を浮かべ恐怖の表情で懇願した。
「ははは。我々はもう3年以上の付き合いなのですからそれくらいわかってますよ。ただ妙な気は起こさないでくださいね。死なば諸共なんて最期だけ綺麗ぶろうなんて許されないんですから。」
隊長の涙ながらの懇願に気をよくしたのか彼は釘を刺した上で電話を切った。
電話が切れたのを確認した隊長は椅子にもたれかかり絶望していた。
「どうしてこんな事に…。」
そんな隊長の憂鬱を他所に電話の男は上機嫌だった。
その顔は風見鶏であり表情はわからないがその回転の速さから彼が上機嫌であるのが分かる。
「いやぁー。廻り者にとって脅威となる黒鋭隊を掌の上で操る感覚はやはり最高だなぁ!廻り者の力を確認せずに確保なんかするからこうなるんですよ!」
風見鶏の男は最高の気分であった。
彼が隊長の弱みを握ったのは今から3年前。
黒鋭隊によって捕らえられた彼は自身の才能行使によりたちどころに黒鋭隊の中に入り込み隊長の秘密を手に入れこれを利用して脅したのだ。
頼親と道雅が襲撃されてないのも風見鶏の男が隊長に圧力をかけてその動きを止めていたのだ。
無論完全に機能停止にしては疑われるので彼が手に入れた排除しても問題ない廻り者の情報を流す事で隊長の威厳はギリギリのところで保たれている。その結果副隊長のような隊長信奉者も生まれている。
「あの二人組は罪人格でありながら柔軟に立ち回っている。そんな彼らを排除なんてさせませんよ。それにかなり面白い廻り者と合流したようですし。」
風見鶏の男は笑いながらパソコンの画面を覗く。そこには手品をしているヴラド公の動画が写っていた。
「廻り者は否が応でも才能と共にある。なのにそんな気配すら見せずあんな事するなんて…興味が湧かないわけがない。もしかしたら新たな寄生先になるかもしれませんし。」
風見鶏はクルクル回る。彼は上機嫌だ。
男は自身の未来を予想しながらパソコンの電源を落とす。
「この荒波を乗り越えて見せますよ。なぜなら私はジョゼフ・フーシェなのですから!」
かなり派手に動き回っているのに黒鋭隊が出て来ない事の理由付け回でした。
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