許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
そういう事で俺は道雅・頼親の二人と共に道雅がいつも狩場にしている溜まり場へと向かった。
溜まり場というのはざっくり言えばトー横みたいなところだ。
家出した少年・少女、グレた不良や半グレなんかが集まる控えめに言っても治安が悪い場所である。
道雅曰く廻り者である以上大っぴらに女探しなんてできないのでこういったアングラな場所を練り歩いているそうだ。
「女なら廻り者の女でも探せば良いのではないか?」
と聞けば
「廻り者について隠さなくて良い以外の利点ないだろ、それ。」
と返された。確かに作中でも廻り者は男女問わず才能に呑まれ傲慢だったり非常に個性的だったりするし道雅のお望みとはいかないな。
そうして溜まり場に入ってすぐに一人の少女がこちらにやって来た。
彼女が以前俺に最後まで絡んできたチンピラを殺すよう頼んだ娘らしい。
よく見ると手には包帯が巻かれうっすらだがあちこちに傷痕が残っていた。
「あいつが死んだってニュースをスマホで見ました。本当にありがとうございます。」
彼女の感謝に道雅はキラキラした笑顔で応じる。
「あとあいつがいたグループのメンバーも警察に捕まったってニュースも見ました。それも皆さんのおかげでしょうか?」
そう言って彼女はスマホの画面を見せて来た。
別のグループと抗争をして一人を意識不明の重体に追い込み負傷者も多く出したという事で捕まったらしい。
別のグループってのはおそらく宋江が才能で手駒に変えていたのだろう。
そして新しい手駒補充のために今回捕まったグループを襲撃したと。
というか意識不明の重体にまで追い込んでるのはやばいだろ。あいつ放置したのは流石に甘かったか?
俺が少し後悔に囚われていると透明になった頼親がポンと肩に手を置いた。気にするなと言ってくれてるのだろう。
その間にも道雅と少女は会話を続けている。
「ところでなんか噂とかない?元々ここでデカい面していたグループが無くなったんだから別の連中が来たり燻っていた連中が台頭したり。あと知り合いの女の子紹介してくんない?」
道雅がグイグイ尋ねるとその少女は少し考えて
「そう言えば最近首を切って自殺する事で新しい自分に転生できるって噂が流行ってました。と言っても実際に首を切って亡くなったのが出たので今はもう誰も信じてませんが。」
「へぇー…そうかい。ありがとね!また困ってる事があったら相談に乗るよ。あと美人なお姉さんも紹介よろしく!」
彼女の話に俺たちは目を見開くがいち早く立ち直った道雅が感謝の意を述べて彼女と別れた。
「首を切って転生ってどう考えても輪廻の枝と廻り者のことだよなぁ…。」
「そうだろうな…。遠目から見た情報を流したのか意図的に誤った情報を流したかは分からないがこれはマズイだろう。」
俺たちは真剣な顔で噂について話し合う。
仮に遠目から見た情報を流した場合は最近この辺りで新しい廻り者が生まれた事になるがそれってつまり
「私の事であろうなぁ。」
思っていた事が口に出る。
いや周りを確認せずに衝動的に輪廻の枝で首を切ったから普通に見られてる可能性あるじゃねえか!いやどうすんだよこれ。
「まだそう決まったわけではあるまい。そうだとしても責任はない。」
頼親が慰めてくれるが気持ちは重い。
「だが丁度いいな。この件を試練にするか。ヴラド3世、あんたが自分に非があると考えるならしっかり情報を集めてくるんだな!」
そう道雅も檄を飛ばしてくれる。
そうだ、いつまでも後ろ向きではいられない。
自分の手でこの噂を流した相手を見つけてやる。
そう心に決めて俺は溜まり場の奥に一人で向かった。