許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
「さて、俺もナンパがてら情報収拾してくるわ。頼親はついてこなくて良いからなぁ。こういうのはやっぱり一人でやるべきだと思うんだよ。」
ヴラド3世が情報収拾の為に溜まり場の奥へと向かってから2〜3分経った後道雅は頼親にそう言うとヴラド3世が進んだ道とは別の道に進んだ。
(ヴラドの方は上手く情報を集められればいいが、仮にダメだとしてもカバーできるように動くか。)
そう心の中で方針を確認した道雅は獲物を物色する。
道雅の狙いは誰とも連まず絶望してそうな少女である。
そういう人物なら首を切れば新しい人物に転生できるという噂に乗る可能性が高い。もしかしたら噂をばら撒いた本人から接触を受けている可能性もある。
(お?あの娘なら良さそうだ。)
少しブラブラしていると道雅は正気もない表情で棒立ちの少女を見つけた。
「明らかにこの世に絶望しているし彼女から情報を聞き出せれば良いな。」
そうして道雅はまず彼女に近づく。
顔や髪型はそして雰囲気は現代寄りだがその衣装は平安貴族そのものである。
故に彼女は突然の不審者の登場に動揺する。
その隙を逃さず道雅は才能を行使する。
「才能行使『歌仙恋歌』」
そして彼が読むのは百人一首に採用された道雅の歌
「いまはただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな」
不審者の唐突な行動に彼女の表情は強張る。しかし次の瞬間彼女の道雅を見る目は好意的なものに変わり頬も赤くなっていた。
これが藤原道雅の才能行使『歌仙恋歌』である。
その効果は道雅の歌を聴いた女性に道雅への恋心を芽生えさせ自身の虜にする能力である。
無論抵抗する事も出来るがその場合恋ゆえの激しい胸の動悸に苦しめられることとなる。もっとも余程の精神力がなければコロッと落ちてしまうのだが。
そうして虜にした少女から聞いたのは別の場所でヴラド3世が聞いた内容とほぼ同じであった。
この情報からヴラド3世は廻り者を増やそうとする動きではないかと推測したが道雅は違かった。
「そのフードの奴って俺みたいにここから花弁が舞ってなかったか?」
「え〜?舞ってなかったと思うよ?」
違和感を感じた道雅の質問にまるで恋人のような距離感で答える少女。
先程までの警戒ぶりが嘘のようであった。
「ふーん。じゃあありがとう。今日は手持ちが無いから次奢るよ。」
優しい笑みを浮かべそう告げると道雅は彼女から離れた。
しばらくはフワフワとした表情をしていたがその内、なんで浮かれているんだ?と思い始めついに正気に戻った。
まぁ服装はともかく顔は一流だったので悪い気はしなかった少女であった。
(一つ嫌な予感がするなぁ。というかほぼ確定じゃねえか?)
一方道雅は歩きながら情報を整理していた。
(裏に廻り者が居るのは確定としてここに屯してるガキに声かけてる奴が廻り者じゃねえって事はその先にいるボスがおそらく廻り者。そして甘い言葉で悲観的なガキ共を巧みに誘い毒牙にかけてる可能性が高い。つまりカルトの指導者を前世とした廻り者が黒幕になるな。)
道雅は長くこの溜まり場に通っている。故にこんなところにいる少年少女がどういう境遇にあるのかもある程度想像がつく。
そんな未来に絶望した子供達を甘い言葉で誘い毒牙にかける。そんな奴は許すわけにはいかない。
「そいつの毒牙にかかった奴の中に俺の理想の女がいるかもしれないからなぁ!」
己の芯がブレない道雅は決意を新たに情報収拾を再開した。