許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

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第2話:状況確認

とりあえず落ち着いたところで状況確認だ。

 

さっきまでボロボロのおっさんがなんかダンディーな紳士に変貌している。

でもリィンカーネーションの花弁のヴラド3世ってこんな見た目じゃなかったよな?

長髪で立派な貴族服を着てるのは同じだが俺が知ってる姿は髪は真っ白だし白目だし典型的な悪役みたいに面だったはずだ。

なんだが黒い長髪だし目は赤いし顔もイケオジみたいな感じでなんか強キャラっぽい雰囲気を纏っている。

 

何よりおかしいのは本来なら湧き上がるはずの他者を串刺しにしたいという衝動が全く湧いてない。

ヴラド3世っぽい存在に生まれ変われた高揚感はあれどそれ以上に湧いてくるものが無いのだ。

 

冷酷非道ってのも実際に他人に会ってみないと分からないしなぁ。

 

「なんだ?こんな夜中にいい歳したオッサンがそんなカッコ恥ずかしーwww」

 

「首から花弁舞ってらwwwオッサンコスプレに気合い入ってんねー」

 

 

考え事をしていると突然俺の事を嘲笑う若い男性達の声が聞こえた。

こいつら、俺の転生元である男性を面白半分でボコボコにしていた奴らじゃねえか。

 

「なんだその目?やる気かおっさん?」

 

「コスプレしてキャラに入り込んでるのかもしれねえがよぉ。こっちの方が人数多いんだよ!分かってんのかぁ?」

 

 

俺としてはただ見ていただけだが、因縁つけられたと思ったのか奴らは喚きながらこちらを囲い臨戦体制を取る。数は四人

 

相手がやる気ならこちらもやるしか無いのだが懸念がある。

 

ヴラド3世の才能行使「串刺し公」

これは半径数メートル以内に鋭角の物体があるならそれを串に変化させ相手を貫く能力である。あくまで条件は物体の鋭さなので小さい針も串に変化出来る。

仮にその能力がそのままな場合大きな問題がある。

 

(俺の手持ちにそんな鋭角の物体なんかないんだよなぁ…)

 

ヴラド3世には刺繍の趣味を持っていたという話があるので奴らが話しかけてくる前に隅々までチェックしたが服の中に針は無かった。残念ながらそういったものは自前で調達しなければならないらしい。

 

これが「串刺し公」の弱点である。事前に準備してなかったら才能行使すらままならないのだ。

そして辺りを見回すもそれっぽい物は無い。基本的に才能によって身体能力が強化とかされてなければほとんど一般人と変わらない。

 

つまりは現状かなり詰みに近いのだ。

 

「な、なんだよオッサンやる気か?こっちの方が数は多いんだぞ?」

 

こちらが睨むとびびってはくれたが数の優位を盾にこちらを囲む。

ヴラド3世には優れた軍略の逸話はあっても個人武勇の逸話は無い。

加えて数は不利なのだからどうしようもない。

 

ただ不思議と焦りは無いむしろこの程度の数の差ならひっくり返せるという自信すら湧いてくる。

ヴラド3世は個人的武勇の逸話はないが優れた軍略で大勢の敵を撃ち倒し退かせた実績を持つ。

そんなヴラド3世の名を得たのだ。そう思ってる精神異常者かもしれないが。

 

「どうしたかかってこないのか?逃げるなら見逃してやるぞ」

 

「テメェ、舐めてんじゃねえぞ!」

 

今まで黙っていた俺の挑発に奴らは怒りを露わにして殴りかかってくる。

まず正面から殴ってくる奴をかわし後ろにいる奴にぶつける。

 

「あがっ」

 

「テメェ何しやがる!」

 

そしてぶつかった2人に意識を向けた男を俺は殴りつける。

 

「ぐぇっ…」

 

こうして包囲はあっさり崩れた。

一対多ではなく一対一を意識すればなんとかなる。言うは易し行うは難しであるが今の俺は非常に冷静で周りを見渡し状況を把握することができた。

 

(劣勢のときでも平常心を保ち視野を広げる事ができる…ってのが才能の一つかもしれないな。)

 

そう思いながら絡んできた連中を見る。

殴られた男も復帰し四人に戻ったが彼らに余裕はない。

ボソボソと話し合ってるようだがその内一人が大声をあげた。

 

「ざけんじゃねぇぞ!!たかだか包囲が崩されたぐらいで日和ってんじゃねぇぞ!」

 

それでも他の3人は及び腰だったが次の瞬間俺に殴られた男が腹を抑えて倒れ他の二人の顔は恐怖に怯えるようだった。

見るとさっきまで騒いでいた男の手にはカッターがあった。

 

「俺に恥かかせやがって…ぶっ殺してやる!」

 

イカれてるとしか思えない。

少しメンツを汚されただけで仲間を刺し俺を殺そうとするなんて。

 

ただ考える時間はない。相手の大振りをかわし奴の手からナイフを取ろうとする。

ただカッターに意識を取られたため蹴りを腹に受けてしまった。

そしてカッターの一撃も貰ってしまう。

幸い致命傷は避けたものの左腕から地面に血が滴り落ちる。

 

「ギャハハハハ!次は首か心臓に突き立ててやる!」

 

その様は狂人のそれだ。既に無事な取り巻き二人が刺された男を連れていなくなっていた。

 

どう才能行使すればいいかわからないがとにかくやるしかない。

 

「俺はヴラド3世だ、誰がなんと言おうと俺はヴラド3世なんだ…」

 

「何ぶつぶつ言ってんだよオッサン!!」

 

俺の呟きに反応したやつはカッターを持って襲いかかる。

その時俺は咄嗟に頭に浮かんだ言葉を唱えた。

 

「才能行使「悪魔公」!!」

 

俺がそう叫ぶが何も起きなかった。

万事休すと思ったその時

 

「ギャァァァァァ!!」

 

男が叫び声をあげその手からカッターナイフを落とした。

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