許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
「チッまた反応か、ここも迂回するしか無いか?」
白道教徒から逃走を続ける道雅は前にいる犬頭が唸り声を上げるのを聞き進むつもりだった道と逆方向の道へと進む。
なぜ犬頭が唸り声を上げたかというと、穢れを元に生み出された犬頭は濃い穢れに反応する。
他者を殺傷する者ほどその穢れは濃いので犬頭の反応を見て白道教の構成員が居る道を探りそこを避けて動いているのだ。
犬頭が反応するという事は構成員は当然のように他者を傷つけたり殺したりしてる事なので道雅は顔を歪ませる。
「…こりゃ現地で合流より自宅で合流した方がリスクは低そうだな。」
そう考えた道雅は携帯に手を伸ばし、止める。
「彼奴らというかヴラド3世の方はがっつり彼奴らに動きを見られてるだろうしもし隠れてる最中に俺が携帯鳴らしたらマズイな。くそっこりゃ思ったよりデカい組織じゃねえか。」
道雅はヴラド3世達を思い連絡をやめた。
万が一がある以上慎重に行動をすべきだと考えたのだ。
路地を抜けると繁華街へと出る。
道雅らが最初に居た溜まり場は広場と細い通路で構成された寄るべもない若者達が集まる場所ではあるが通路の先にはキャバクラやホストクラブが並ぶギラギラとした繁華街へと繋がるのだ。
偶にここの店の店員と思われる奴が言葉巧みに少年少女を誘い底なし沼に誘おうとするのを見ることもある。
「さてここなら人の目もあるし襲撃も来ねえだろうし。流石に一報いれねえわけにもいかないしな。」
そう呟くと道雅は頼親へと電話をかけた。
一方ヴラド3世と源頼親はというと
「すいません。実は大事な物を盗まれてしまったので取り返してくれませんか?」
最初に少女に頼み込まれていた。
その少女が道雅と最初に対峙した廻り者とも知らずに。
なぜこうなったかというと俺と源頼親はとりあえず溜まり場の奥まで到着したもののこれからどうするか悩んでいた。
そこには黒い染みのようなものが広がっていた。
「この黒い染みがあるという事は戦闘があったのはここだな。」
「なぜ分かる?」
「この黒い染みは穢れというらしく道雅が『穢荒狗』を使用した際にできるものだ。戦闘以外では殆ど使わんからまず間違いない。」
黒い染みを見た頼親の推理に俺は疑問を呈すが頼親はこれは道雅の才能が行使された跡だと説明してくれた。
「道雅の事だから一旦自宅まで戻っている可能性もあるな。その襲撃者共が穢れているなら数で圧殺などされない限り逃げ切れるからな。」
「なら俺たちは急ぐ必要はなかったんじゃないか?」
「複数の廻り者との交戦となれば流石に押し潰される。合流できるに越した事はない。」
「ならどうする。」
道雅が無事逃げ切ったなら合流を目指すよりもこのまま別々に帰宅した方が良いのではと思ったがここが交戦した場所なら敵は近くにいる可能性が高く状況は悪い。
「この溜まり場はここ東に抜ければ繁華街へと繋がる。そこから大回りで道雅の家へと戻るのが良いだろうな。途中で道雅から連絡が来たならそれに合わせれば良い。」
頼親の方針に俺は賛成し繁華街へと向かう。
ちなみに頼親は透明のままであり俺も周りの目を気にして声を小さくして耳打ちしている。
「あのすいません!」
いざ繁華街へ!というところで俺は白いジャージを着た女の子に声をかけられた。
よく見たら白いジャージに漢字の白という字がプリントされていた。
そして彼女から盗品の奪還を頼み込まれたのだ。
「その犯人の外見は?」
「おかしいと思うかもしれませんが平安貴族が現代にやってきたみたいな格好です。」
外見について尋ね帰ってきた答えに動揺を表に出さず取り繕うのに精一杯だった。
(平安貴族…って絶対道雅じゃねえか!つまり彼女が廻り者か?ただ首から花弁が舞ってないって事は不完全か。)
「何を盗まれたか教えてくれるかな?」
「それは…とにかく大事な物です!」
(多分輪廻の枝ですねくぉれはぁ…。)
彼女の答えに内心頭を抱えたくなるのをグッと堪える。
お前敵やんけ!先手必勝!とか出来なくはないが逆に彼女の仲間がこちらを囲んでいる可能性もある。
というかここで俺に話しかけて来たって事は何か狙っているかもしれないので迂闊に返事もできない。
「分かった。協力しよう。」
まぁ即答なんですけどね。
考える素振りなんか見せたら怪しまれる以上ここはこう答えるしかないんだよなぁ。
頼親の暗殺は使いたくない以上透明な頼親に警戒してもらいながら道雅と合流するしかない。
女の子と一緒とかドキドキ来るもんだと思うんだがなぁ…と内心ため息を吐きながら繁華街へと向かう。