許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

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第21話:転龍会

「彼女があの廻り者の関係者と思われる男と接触及び同行に成功したのを確認しました。」

 

同胞である少女が推定逃した廻り者の仲間と共に行動するのを確認した信者の一人は現地にいる幹部にそう連絡した。

 

彼の動きが割れた理由は道雅が予想したように急ぐ事を優先して警戒を怠り一般浮浪者に擬装した信者達の前を走っていたからである。

 

彼女達は元々この溜まり場で浮浪児や立ちんぼの振りをしつつ自分達が所属する白道教に入信しそうな子達を物色していた。

 

そもそも彼女達も元は様々なトラブルで行き場を失いこの溜まり場と同じようなところで屯しながら悪い大人に搾取されていたのを救われているため表情や態度から『救い』を求める人に気付ける。

 

そうやって活動を続けていたところ「仲間から大事な物を盗んだ不届者がこの辺りにいるので警戒するように。不届者の仲間も居る可能性もあるので注意しろ。」という連絡が入った。

 

故に彼女たちは行動自体は変えずあくまで一般浮浪者に扮して怪しい人物が居ないかを探っていたところ急いで走り抜けた男を目撃し幹部に連絡、やって来た窃盗被害者にその男が行った方向を伝える。

 

これを繰り返した事で窃盗犯の仲間と思わしき人物との接触がなされこうして合流する事となった。

 

 

その報告を受けた幹部(藤原道雅と交戦した廻り者)である大女は周りにいた同士達の指揮を執る。

 

「もし奴があの平安貴族のコスプレイヤーの仲間ならどこかで合流するはずだ。位置は掴めているので奴を包囲するよう動け。なんならその白いローブを脱ぎ通行人を装い接触しろ。」

 

「わかりました石壁将軍」

 

石壁将軍と呼ばれた大女の指示に周りの白フードの女達は恭しく礼を行いそして白フードのローブを脱ぎ捨て散開した。

 

ローブの中は服装や髪型、化粧も含めてどこにでもいる女性だった。

ただ全員着ている服やバックなどの持ち物に漢字の白という文字がパッチワークされていた。

 

幹部であり廻り者でもある彼女がすぐ駆けつけられた理由は表向きの顔である女性支援団体の活動の一環でこの溜まり場で炊き出しを行なっていたからだ。

顔に火傷を負ったという理由で白いフードを被ることで首を隠し花弁の露出を減らしながらその巨体で男達を威圧する最中に連絡を受けたのだ。

 

彼女達の散開を確認して石壁将軍と呼ばれた大女は思案する。

 

「あの男まで廻り者なら輪廻の枝を取られ完全ではない彼女では太刀打ち出来ないだろう。出来れば援軍が欲しいが他の幹部まで動くよう偉大なる『大元任』に乞うわけにはいかない。まだ我々は以前の傷が癒えてない。またあの黒い連中に襲撃されるようなことはあってはならない。」

 

思い返すは悔しかった過去の事。

彼女は廻り者としてどう動けば良いのか悩んでいたところ教祖である『大元任』が興した新興宗教「転龍会」の存在を知り入信。

 

幹部としてその勢力拡大に貢献していた。

もちろん転龍会を批判したり抜けようとした不届者の誅殺にも関与した。

 

転龍会は身寄りの無かった廻り者や行くあてもない若者達を中心に支持を拡大させていた。

 

ただ大きくなり過ぎたのがいけなかったのか造反者の処理が間に合わず5年前に政府直属の特殊部隊である黒鋭隊による特殊作戦によって仲間の廻り者達は殺され、廻り者ではない信者や幹部そして表向き教祖として祭り上げていた男まで拘束されて組織は壊滅した。

 

彼女は自身の才能で黒鋭隊による銃撃を防ぎ真の教祖である『大元任』の命を救った。

 

ただ仲間思いの彼女は教祖を助け出せた事に感涙すれど仲間達の喪失に心を痛めた。

 

こうして生き残った『大元任』を中心に地下組織「白道教」を興し来るべき時に備えるためにより慎重に行動をしていた。

 

情報を漏らしたのは教祖に嫉妬した男に違いないとして教祖を除いて男子禁制となった白道教は被害女性救済を謳った法人を乗っ取りひっそりとただ確実に侵食していた。

 

彼女らが知らぬ事ではあるが転龍会の存在に疑問を持ち情報を集めこれは関係ない廻り者まで巻き込まれると考え既にパイプを持っていた黒鋭隊隊長に連絡を入れて転龍会壊滅に貢献したのは頭が風見鶏の廻り者フーシェである。

 

ともかく慎重に行動しなくてはならない以上彼女が単独で動くしかなかった。

ただ念のため今回の件を『大元任』始め幹部である廻り者達には報告している。

自身の才能には自信があるが万が一がないとは限らない。

 

「これ以上仲間の悲しむ顔は見たくない。石壁将軍トーマス・ジョナサン・ジャクソンの名の下に奴は私がいや私たちが捕える!」

 

そう宣言した彼女は行動を開始する。

仲間に被害をもたらす外道を殺すために。

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