許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
「ゴメン。輪廻の枝奪われちまった。」
「は?」
道雅からこの連絡が来たのは少女が大切なものを取り戻せましたと言い別れてから10分後の事だった。
(この気まずい空間から抜け出してぇ…。)
明らかに見た目が未成年である少女と二人きりで夜の街を散策するという危険なシチュエーションに加えその彼女が推定この溜まり場で暗躍する組織側の廻り者であるという事実が俺に強くのしかかる。
下手な行動は間違いなくこの先悪影響を及ぼすだけなので気を張り詰めっぱなしだし背中は汗びっしょりだ。
そうやってビクビクしながら二人で聞き込みを行うが有力な情報を得られず彼女の顔には明らかに焦りの表情が浮かんでいた。
こちらとしては今の時代に平安貴族の服という明らかに目立つ格好をしていながら今のところ目撃証言が0なのに感心していた。
流石に何年も廻り者としてこの辺りで活動してるだけある。
そうして情報は無くどうしようもなくなった時に彼女の胸ポケットから着信音が鳴る。
彼女がこちらから離れて電話を取り話し始める。
少しすると通話を終え笑顔になった彼女がこちらにやってきて。
「取られた物は取り返す事が出来ました。時間を取らせてしまいごめんなさい。」
と言って頭を下げた後に軽やかな足取りで去っていった。
今度はこちらが焦る番だった。
「…これはマズイのではないか?奴らに殺されたかもしれん。」
「いや…某が思うに女に騙され不覚を取っただけであろう。よくある事だ。」
顔には出さないが声からは動揺を隠しきれなかった俺に対して頼親の声からは呆れが混じっていた。
いやいやそんかまさかと思っていたところで着信が入り道雅から冒頭のように言われたのだ。
ちなみに携帯は頼親のものだが透明となっている自分が持っているのはマズイとして俺が代わりに持っている。
「いやぁまさか言った先の女が奴等の息がかかっていたとはなぁ。狗も反応しなかったから行けると思ったんだよなぁ。」
「おいふざけるなよ。こっちは通報のリスクにビクビクしながらお前を探していたというのに何遊んでるんだよ。」
「いやお前ら置いて俺だけ帰るのもアレだと思ったから時間潰しがてらちょっと恋の探究をな。」
道雅の言い訳にこちらは怒りで頭がおかしくなりそうだ。
許せなかった…必死に探していた道雅が女遊びをしていたなんて…。
こっちの怒り様が分かったのか道雅はそれから謝罪を続けた。
まぁこっちとしては無事だっただけまだよかった。死んでいたら気分は最悪なんて話じゃ無かっただろうし。
「ところでどうするもう帰るか?」
「いやこのまま帰ってこっちの拠点がバレるのもマズイし今の時点で奴らと敵対確定ならここで戦力を削りたい。」
安否が確認出来て内心ホッとしながら道雅の問に答えた。
強気ではあるが理由としては相手はこちらの才能にも頼親にも気づいてないので不意打ちで廻り者を討ちそのあとこっちが『串刺公』で足止めしつつ撤退というのは現実的だと俺は考えた。
「分かった。俺が交戦した廻り者はでかい図体の女で石の壁を瞬時に生成出来る才能持ちだ。もう一人は分からない。廻り者になる前に輪廻の枝を奪ったからな。」
「ありがとう。気をつけて帰るんだな。」
「ああ。そうさせて貰うわ。」
道雅から敵の情報を貰い道雅が通話を切るのを確認したら俺は交戦の後があった場所へと向かう。
もしかしたら奴らがそこにいるかもしれないと信じて。