許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
で、決意を込めて向かったがそこには誰も居なかった。
床のシミもだいぶ薄くなっており日が昇る頃には戦闘の痕跡が完全に消えるなぁと思った。
「意気込んで突っ込んだがまあここが奴らの拠点というわけでもなく会えないならばそれで良いのだがなにか不完全燃焼だな。」
「ここに来るまでに人は居らずこの先にも人は居らんかったぞ。」
俺が独り言を溢していると偵察に出ていた頼親が戻って来た。
とりあえず輪廻の枝を回収出来たからそのまま撤収した可能性が高いが別の場所にいる可能性もある。
「ただ無理に深追いして死ぬなんて馬鹿らしいしここが退く方がいいだろうな。」
そうして俺は独り言をするフリをして透明な頼親に話しかけ、帰宅を開始する。
「見つけましたよ〜。まだ居たんですねぇ?」
その帰路で俺は彼女から声をかけられた。
その声はどこか多幸感に満ちており、悪くいうならヤクでハイになってるような感じである。
振り向くと彼女の姿は様変わりしていた。
さっきまで一緒に居たときは上は白いフード付きのパーカーに下はミニスカートでマスクをした格好で長い黒髪だったのだが、今の彼女は上下立派なスーツで右手に斧、左手に大剣という殺意が非常に高めな武器を持ち、髪は後ろで束ねポニーテールにしており首からは廻り者特有の赤い花弁が舞っていた。そしてその顔は狂気的な笑みを浮かべていた。わあ良い笑顔。
「…はじめましてだと思うが?」
「惚けないでください?貴方全然動揺してないじゃないですか?それっておかしいですよね?」
明らかに姿が変わっているので初対面を装うとしたが失敗した。
内心はドキドキではあるがそれが表に出ることがないのがデメリットとして発現したの初めてな気がするなぁ。
「実に物騒だな。私になにか用でもあるのかい?」
「用があるのはそちらでは?あの後帰らずこんなところに残ってるなんて誰だっておかしいとは思うでしょう?」
彼女の答えは世論である。何もせずここをブラブラなんて何か用事がないとありえないというのは分かっていた。
「こちらからも良いですかぁ?貴方あの平安貴族の廻り者と知り合いですか?」
「ああ、そうだ。彼には助けてもらってね。」
そこから先を言う前に彼女は手に持った武器を構え襲いかかってきた。
こちらは慌てて輪廻の枝で首を切ろうとする。
「遅い!」
彼女は俺が首を切るより早く斧が届く距離まで迫っていた。
しかし彼女が斧を振り下ろす前に突然俺を守るように鉄串が飛び出した。
「⁉︎」
「おや、少し早かったかな?」
鉄串は彼女を貫かなかったが輪廻の枝で首を切る時間をくれた。
「いつの間に才能を発動したんだ!」
「そりゃあからさまに隙を晒して首を切ろうとした時にもう片方の手で針を2〜3本ほど転がしたのさ。」
驚きと怒りが混ざった声で叫ぶ彼女に対してなんでもないかのように俺は振る舞う。
「もしかして私と貴様が同じだと思ったか?私は廻り者を盲信して隙を晒し輪廻の枝を奪われるようなアホではないのでね。当然対策はするさ。」
「テメェ!」
俺の煽りに彼女の怒りゲージが上がっていく音が聞こえた気がした。
さて遊びはここまで再び針やピンを撒きつつ距離を取り首を切る。
瞬間その姿は変わり、長い黒髪にマントと貴族服を見に纏う男性が現れる。
「私はヴラド3世だ。さて君の名は?」
自信たっぷりの表情で俺はそう聞く。
「アタシはジャック・ケッチ!お前に地獄の苦しみを味合わせてやる!」
それに対して彼女は叫ぶように名乗りをあげる。
こうして俺の二度目となる廻り者との戦いがここに始まる。
ちなみに源頼親はこの時透明化を維持し巻き込まれないように離れ隙を伺っている。