許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

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第26話:vs石壁将軍

トーマス・ジャクソンの参戦は戦況を覆すのに十分であった。

 

「石なのだから鉄に貫かれても良いとは思うがね!」

 

「ふん、貴様の邪な攻撃では我が壁を貫くことは出来ん!」

 

「オラァ!!砕けろぉ!」

 

「さっきと違ってイキイキしてるではないか。だがそれではまだ足りないな。」

 

「テメェさっきより動きよくなってねぇか⁉︎」

 

俺の攻撃は奴らに通じない。

ケッチを狙おうと鉄串を生み出しても石壁に阻まれ、逆にケッチを狙うと見せかけてジャクソンを攻撃しても石壁に阻まれてしまう。

 

そもそもジャクソンとの距離が遠く近づこうにもケッチの攻撃や石壁に阻まれ近づけない。無理矢理攻撃しても距離が遠く不意打ちしても攻撃が届く前に防がれてしまう。

 

そしてジャクソンに意識が割かれるとケッチへの対応が疎かになる。

ただ人数不利のはずなのにケッチのときより動きがよくなっているのかギリギリかわす事ができている。

 

いやぁ才能様々ですわ。

二対一になっただけでも一対一より感覚が違う。

本当なら頼親が潜んでいるから二対二なのだが直接戦闘に参加してないとカウントしないって事か。

例えば戦場にはいるが見てるだけで戦闘に参加しない奴を数に入れるかと聞かれたら数には入れない。

つまりはそういう事だ。

 

ここまでの戦いで分かったのは奴は石壁を同時に二つは展開できないということだ。

ジャクソンへの攻撃を防がれた後にケッチへ攻撃してそれも防がれた際にジャクソンの前にあった壁は消えていたのだ。

 

故に近づいて同時攻撃が出来ればこの状況を打破出来るが相手もそれをわかっているのでこちらが近づけばジャクソンは退きそれを追うために近づこうとするのをケッチが防ぐ。

 

正直攻撃力としてはケッチの方がよっぽど脅威なのでジャクソンばかり見てられない。

 

かといってケッチばかり見てもジャクソンがフリーになるのでこちらの攻撃がとことんガードされ、石壁を飛び越えようとすればその石壁を破壊して破片をぶつけてきたりと相手も廻り者となり強化された身体能力を利用し縦横無尽に暴れ回る。

 

ただこちらも防戦一方ではない。

 

「その鉄串は無から湧くわけじゃあないだろうに…。」

 

「無から石壁を作れる将軍様には分からんだろうが有限は有限なりにやりくりが上手くなるのだよ。それに!」

 

「クソっ……?」

 

「なっ⁉︎」

 

「鉄串に変えるかどうかも自由に決められ、その長さも自由に決められる。これが君主というものなのだよ。」

 

俺はケッチに向かってガラスの破片を投げる。

当然串刺しを警戒し彼女は大きく避ける。

しかしガラス片はそのまま地面に散らばった。

 

面食らう二人を他所にジャクソンへの道が開けたのを確認し俺は走り出す。

ケッチはそれを止めようとするが彼女の前で散らばったガラス片が鉄串となる。

 

ただ受けてに伸びる串もあれば、ケッチ目掛けて伸びる串もある。

 

「クソがっ!」

 

「近づかせはせん!」

 

車一台は入れる路地だが道幅一杯に壁が道を阻むようにそり立つ。

 

「まぁそうするだろうな。だがこれで視界は塞がれたな。」

 

「まさかそれが狙いか。」

 

「無論彼女を守るために石壁を使えばこちらは同じような手で彼女を出し抜きお前に近づく。それにお前としてもこの路地から抜けるのは好ましくあるまい。」

 

壁の外側でジャクソンが納得したように声を上げる。

 

これでタイマンが出来るなら元々有利だったので押し切れる。

そして奴が彼女を守るために能力を切るならこっちはさっきみたいに出し抜いて近づけば良い。

 

一度変化しないかもという選択肢が生まれた以上投げられた鋭利物が変化するか否かで思考が取られ動きが鈍る。

 

これはハッタリも込みだが真夜中とはいえ路地を抜ければ人は居る。

奴も見られるのは好ましくないだろうと踏んで言葉を投げた。

 

そもそも状況が分からなければ的確に彼女を助ける事も出来ない。

あちらから視界を塞ぐのはこちらにメリットしかない。

 

と思っていると石壁が消えていた。

 

こちらはケッチを翻弄しつつ射程圏内に捉える。

 

「貫け『串刺公』」

 

俺はすぐに手元の針を鉄串に変えジャクソン目掛けて放つ。

貫かんと伸びる鉄串は

 

ガンッ

 

という音をたて彼女の肌に傷をつけた。

 

「…見た目通りの岩肌という事か。」

 

「そうだ。直立不動という条件はあるが我が『ストーンウォールブリガディア』は敵の攻撃を受け止める防御能力だ。」

 

こちらの血の気が引いていく音がした。

 

防御に全振りの才能でまさかその肌すら鉄串で貫けねえとはなぁ。

こりゃ単独では勝ち目はなさそうだ。

 

「誇れ、私にこの才能を切らせたものなど久々だからな。」

 

「ふん、数で有利ながら切り札を切らされたというのに随分と余裕そうだな。」

 

ジャクソンは余裕を持ってこちらに話しかけるがこちらはケッチを捌きながら答える。

こちらの決定打は石壁で防がれる。

いや石壁を貫けないのはキツイな。

 

ならと再びケッチを足止めしつつ鉄串をジャクソンに向けて放つ。

と同時に鋭利物をジャクソンの背中側に投げる。

 

背後に鋭利物が落ちたと確認したジャクソンは前の攻撃を石壁で防ぐ。

それに合わせて後ろの鋭利物を鉄串へと変える。

 

瞬間石壁は解除されるがジャクソンは攻撃を避けたのか串が伸びた先には居なかった。

 

「背後は守れないか。」

 

「わかっていたのか?」

 

「まぁ背後まで鉄壁だったら万事休すなのでね。賭けではあった。」

 

賭けだったが背中は生身でよかった。

これさえ分かれば一つの勝機が浮かび上がる。

 

(お膳立てはしたから頼むぜ頼親。)

 

俺は見えない味方に祈り、戦闘を続行する。

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