許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

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第27話:vs石壁将軍②

(これは難しいな。)

 

透明なまま戦況を確認していた頼親は戦闘スピードの早さにただ見てる事しか出来なかった。

 

ヴラド3世の行動でジャクソンの弱点が背中である事が明らかになった事で自身の重要性が高まったのは理解しているがそれでも容易に動けなかった。

 

その理由は

 

「オラオラァ逃げるな!そろそろバテて来るんじゃねえか!」

 

「支配者を舐めるものではないぞ?まだまだ思考も動きも鈍りはせんよ。」

 

既にジャクソン合流から10分は経っているだろうに二人は激しく動き回りヴラドの才能行使によって辺り一面鉄串が立っていた。

 

(縦横無尽に暴れ回るケッチにぶつかる可能性もヴラドの鉄串に貫かれる可能性もある以上下手に動けば某が巻き込まれ策が瓦解する。)

 

(かといってヴラドが攻撃を緩めて、某が通る道を作るとしてあの石女はその不自然さに気づくだろう。そうして某の攻撃を防がれてしまえば我々は負ける。)

 

頼親はもどかしさと不甲斐なさを感じながらも戦況を確認しながら進退を繰り返すしかなかった。

下手に動いて勝機を失うなどあってはならないと頼親はわかっているため焦って動くことはしなかった。

 

(あれが偉人格というものなのか?乱戦でなければ某の才能で殺すことは容易だがあまり広くはない道に暴れ回る二人と背後を気にする必要もないという今の状況では奴の才能はヴラド一人を圧殺するには十分か。)

 

頼親はジャクソンの才能と今の状況を確認し内心舌打ちをする。

 

背中が弱点というのはかなり致命的であり遭遇戦だったなら討伐は容易かっただろうが複数の条件が重なった今の状況では鉄壁であった。

 

戦場が開けていたなら後ろから回り込めれば良い。

二人の戦闘がコンパクトだったならその横を通り抜ける事が出来た。

 

ただそうではない以上頼親はヴラド3世一人に戦闘を任せるしかなかった。

 

 

そしてその時が来た。

 

「ようやくかかったか。」

 

「⁉︎」

 

ジャクソンがヴラド3世の足元から石壁を生み出した事で足を取られた彼は盛大に転んでしまった。

 

今まで何回もこのような攻撃はあったが彼はギリギリ避けていた。

しかし長時間の戦闘により疲弊した彼は今回避け損ねてしまった。

 

「貰ったァァァ!」

 

そして体勢を立て直す前にケッチが足に斧を振り下ろす。

 

「グァァァァァ!!」

 

振り下ろされた斧は深く足に突き刺さった。

普通なら間違いなく足は切り落とされていただろうその一撃を受けても足は繋がっていた。

ただ足には深い傷が出来、その衝撃は全身を駆け巡り激痛を生み出していた。

 

「次は首だ!」

 

「あ、甘いな!」

 

「マズっ、ギャァァァ!」

 

ただヴラドは追撃をしかける彼女に『串刺公』で反撃を行う。

激痛で動けないと高を括っていた彼女はもろにくらい振り上げた右手を貫かれ斧を落としてしまった。

 

「ケッチ避けろ!」

 

「は、はいっ!」

 

「なっ⁉︎チィッ!」

 

一連の流れを見ていたジャクソンは前進しケッチに避けるよう叫ぶとスペンサー銃を射った。

咄嗟にヴラド公は串を盾代わりに生み出し間一髪致命傷を受けるのは防いだが肩に一発貰ってしまった。

 

「ハアハア…前世が南軍の指揮官だ。故に武器は持ってると思っていたのでね…。警戒はしていたのだが…。流石に完全には防げんか。」

 

「そこまで考えていたとは。敵ながら天晴れだ。だがここまでだ。」

 

ヴラド3世は息も絶え絶え満身創痍であった。

そんな彼を見てジャクソンは勝ちを確信した。

 

彼の苦し紛れの攻撃は自分を守れる程度の石壁を作りそれを盾として攻撃を捌きつつ壁の内側から少し体を出し銃を放つ。

 

「石壁にそういう使い方があるとはな…。」

 

ヴラド3世は必死に耐えるがもう限界だった。

と同時に勝ちを確信した。

 

ジャクソンが展開した石壁は道幅一杯ではなく自身の体を守ると同時に射線を通すため人一人通り抜ける隙間はあった。

そしてケッチは痛みに蹲り動けず、ヴラド3世もまた動けない。

つまり頼親を阻む障害はなに一つ無かった。

 

故に

 

「なっ…。なぜ…。」

 

頼親はジャクソンに近づきその心臓を背中から貫いていた。

 

ジャクソンの溢した言葉に頼親は反応せずその場を離れる。

 

「なにが起こってやがっ…ギャァ!」

 

倒れたジャクソンに動揺するケッチをヴラドは『串刺し公』で肩と大剣を持つ左腕を貫く。

 

「些か傷を追い過ぎたが…グフっ…我々の勝ちだ。」

 

斧で叩き折られた片足を引き摺り近づいた彼は彼女の頭を掴み『悪魔公』を発動する。

恐怖映像を頭に流し込まれた彼女は絶叫を上げると気絶した。

そして彼女の体から輪廻の枝が弾き出された。

 

 

こうして廻り者との二度目の戦闘はヴラド3世と源頼親の勝利に終わった。




廻り者紹介コーナー

トーマス・ジョナサン・ジャクソン
所属:白道教
外見:2m近い大柄で軍服に身を包んだ黒い肌の女性でスペンサー銃を持っている

白道教の幹部である廻り者
転龍会からの古参であり、そこでの悲劇から仲間を失う事を極端に嫌う。
大柄で女っ気のない自分が愛された事から女性としての自信も持ち信者の相談に乗る事も多い教団の精神的支柱

トーマス・ジョナサン・ジャクソンの才能
大切なものを守るために絶対折れない心
及びそのための頑強な肉体

『ストーンウォール』
その名の通り石壁を展開する能力
石壁は鉄の串ですら破壊できないほどの耐久力を誇る
彼女が掴む場合は今までの硬さが嘘のように簡単に削る事が出来るため石礫として利用する事も可能

『ストーンウォールブリガディア』
自身の体を石壁の如く硬化する能力
直立不動という条件があるためその硬さは無敵に近い
ただ背後は硬化できないという弱点がある

前世はストーンウォールジャクソンと称され南軍の司令官として奮戦した軍人トーマス・ジョナサン・ジャクソン
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