許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

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第30話:目覚め

「はあ…はあ…。」

 

少女が先の見えない暗闇を背後を振り向かずとにかく走る。

後ろを向けば折れてしまいそうだから。逃げてないと耐えきれなくなりそうだから。

 

いつから走り続けているのか彼女自身覚えてない。

 

目が覚めたら真っ暗な空間にいてそうしたら背後から恐ろしい気配がしてそこから先は無我夢中である。

 

 

本当は何も追ってきてないのかもしれない。

ついに彼女はそう思って足を止めてしまう。

 

「ユルサナイ!」

 

直後真後ろから恐ろしい声が浴びせられた。

 

「ア…ァァァァァァァ!!」

 

彼女は恐怖で顔をグシャグシャにして走り出す。

 

「あっ」

 

しかし彼女は足がもつれ転んでしまう。もう限界だったのだ。

 

倒れた彼女は這いつくばりながら逃げようとする

 

「ツカマエタ」

 

しかし彼女は何かに捕まってしまう

 

強引に振り向かされるとそこには

 

「ユルサナイ」「ユルサナイ」「コロシテヤル!!」

 

彼女が廻り者として虐げてきた者達の顔がついた悍ましい化け物である。

 

「ぃぁぁあ!許して!許してください!全部全部あのお方にやれって言われたんです!拠り所が無くても安心する場所が欲しかったんです!」

 

彼女は顔をぐしゃぐしゃにしながら懇願する。

実際家を出て行くあてもなく彷徨った末に「白道教」に拾われそこで彼女は幹部達に従い脱会者に半殺しの拷問を加えていた。

 

「ウソツキ!」

 

ただそこには嘘があった。

彼女は命令された以上に望んで拷問を行った。

それは捨てられたくないという意思以上にジャック・ケッチとして殺しきらず嬲るのを楽しんでしまっていた。

 

「はい!嘘です!嘘をつきました!楽しんでましたぁ!!!!」

 

化け物の糾弾に彼女はすぐに折れ白状した。

 

そんな彼女に対して化け物の体がボコボコッと隆起していき鋭い杭のような物に変わった。

その杭が彼女の方を向く。

 

「た、助け」

 

彼女の命乞いも虚しく杭は発射され串刺しにされてしまう。

 

 

 

「ウワァァァァァァァ!」

 

絶叫しながら彼女は目覚める。

そしてまず自分の身体を確認する。

 

「あれ?穴がない。アタシ…生きてる?」

 

彼女は自分が生きている事を理解した。

 

(というかここどこ?この服何?もしかしてここ病院?)

 

混乱する頭の中で彼女は今どうなっているのかを推測する。

 

「どうしました⁉︎先生!患者さんが起きました!」

 

すると彼女の絶叫に気付いたのか看護師が慌ててやってきてそして先生に起きた事を報告していた。

 

「何がどうなってるの?もしかして全部夢?」

 

ポカンとしながら引き続き体を弄る。

すると右腕の傷に触れた。

 

「ッ⁉︎」

 

次の瞬間朧げだった記憶を思い出したのだ。

 

自分が何をしていたのかどうしてこうなったかを。

 

「ウッオェェェ」

 

そしてその記憶の奔流に耐えきれず吐き出してしまった。

 

看護師の悲鳴を聞きながら彼女は再び意識を落とす。

 

 

 

「夢なら良かったのになぁ〜」

 

「あんた何バカな事言ってるの!」

 

黄昏ながら現実逃避をする彼女が寝るベッドの横に座る母親がそんな彼女を叱る。

 

思えば母とこう面と向かうのはいつぶりだろうか。

 

「あんた急に行方をくらませたと思ったら病院に担ぎ込まれたって聞いてアタシがどんな思いをしたか分かってるのかい!」

 

「でもあのときママは私の事化け物って。」

 

叱る母親に彼女は言ってはならぬと思いながら言ってしまう。

 

その言葉で空気が凍りつく。

 

「…ごめんね。ごめんね。母さんが弱いから…。」

 

「そんな事無いよ。だって私化け物だもん…ママの言った通りだもん。」

 

1秒が1時間にも感じるような空気で母親が涙を流しながら謝る。

 

それに対して少女は顔を背けたまま母親が言った化け物という言葉を肯定してしまう。

 

(だってそうじゃん!最初と2回目はまだ言い訳出来てもそれ以降は違うじゃん!アタシが…アタシが殺したようなものだし…。)

 

彼女からも涙がこぼれる。改めて自分がとんでもないことをしてしまったと理解してしまったが故にそして洗脳が解けてしまったたが故に彼女はただ後悔するしかないのだ。

 

再び空気が重くなる中彼女はふと疑問に思った事を問いかける。

 

「そう言えばママ。救急車を呼んだ人って誰?」

 

それを聞いた母親はハッと思い出したかのように沈んだ表情を変えて

 

「ああ、そう言えば救急車を呼んだって言ってる人が貴方に会いたいって言っていたいたのを忘れていたわ。どうぞお入りください。」

 

そうして入って来たのは

 

「いやぁ娘さんが無事で良かったです。どうも初めまして、浦戸って言います。」

 

体のあちこちに包帯を巻いた重病人であり彼女と死闘を繰り広げたヴラド3世その人であった。

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