許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
ヴラド3世が部屋を去り一人になった少女は輪廻の枝を握り今までの事を思い返していた。
思えば家庭は父と呼ぶのも嫌な男が暴れ学校でもいじめられと散々だった。
ママは私を庇ってくれたけどその分アイツに殴られてかわいそうだった。
ママは仕事をして家事もしているのにアイツは家事の手伝いもせず昼間から酒を飲みパチンコ店に行くカスだった。
学校は学校でアタシがそんなカスの娘だからか友達は作れず近づいてきたのはイジメの対象を探していたカス共。
そうやって家でも学校でも良い事は何もなく絶望していた時に気づいたら手の中に輪廻の枝があった。
そのまま家に帰ると酒に酔ったアイツが襲って来た。
いつもは助けてくれるママはまだ帰って来ず、抵抗するために輪廻の枝でアイツを殺そうとした。
最初はなんか特殊なナイフかなんかだと思っていたなー。
まぁまだ中学生のアタシが大人の男性に勝てるわけもなく力で抑えられてしまった。
そこで何かがキレたのかアタシはアイツのキンタマ蹴り飛ばして距離が空いた隙に輪廻の枝で首を切った。
つまり自殺するつもりだったんだ。
そしたらアタシの姿が代わり今まで勝てなかったアイツをボコボコにして家から追い出した。
今まで自分を苦しめてきた奴をボコボコにするのは楽しかった。
次はアタシを虐めていた連中に報復を行った。
首を切ったかと思ったら姿が変わったのを見たアイツらの表情は最高だった。
いつものように人目のつかないところで虐めようとしたのが仇となり奴らが助けを呼んでも中々人は来なくてその間に奴らの体を斧でなんども叩いてやった。
そのあと奴らはこの傷を作ったのはアタシだって告発したが誰も信じなかった。
当たり前だ。その目で見ないと廻り者なんて頭のおかしい妄想でしかない。
むしろ仲間割れしたのをアタシのせいにしたと見なされて孤立していき最終的に転校を余儀なくされた。
気持ちよかった。
廻り者になってから今までアタシを虐げて来た奴らをボコボコにした率直な気持ちがこれだった。
だからこそバカだった。そんな他者を虐げる事を喜ぶアタシをママがどう見るかに気付かずにアタシはママの目の前で性懲りも無く襲って来たアイツをボコボコにした。
そしたらママに化け物と呼ばれてしまった。
そこから先はあまり思い出したくない。
家を飛び出しフラフラ彷徨い、スケベな目を向けてきたオッサンや路地に連れ込んで襲おうとした連中を返り討ちにした末に白道教に勧誘され、そこで思うがままに暴力を振るった。
その結果がこのザマである。今は廻り者への衝動は落ち着いているがこれがまたいつ衝動に襲われるか恐怖しかない。
ふとあのオッサンが言っていた事を思い出す。
「廻り者ってのはそういうものだろう。殴る対象を悪人限定にするように心掛けるだけでも変わるのではなかろうか?別に前世がシリアルキラーという訳でも無いのだし。」
なんでもないように言ったその言葉が胸に突き刺さっていた。
思えば今までそんなアドバイスをしてくれる人なんて居なかった。
白道教ではただただ全肯定されていただけだったし。
今思えばそうやって自分達に都合の良い手駒を作るためだったのかもしれない。
そのアドバイスを受けてアタシは自分の才能に向き合う事にした。
「アタシの才能は半殺しの才能だ。斧や剣で殺す事は出来ないが逆にどれだけ全力で攻撃しても殺す事はない。その向ける先を決めるんだ。ただ闇雲に振るうだけじゃ今までと変わらない。変わらなきゃダメなんだ。」
そう決意を新たにアタシは眠りにつく。