許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

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第34話:暗躍②

「ワン!ワン!」

 

「フゴゴッ」

 

真夜中の山奥で犬のような鳴き声が響き渡る。

追い立てられた猪は目の前の「犬」に突進する。

 

「ギャァッ!!」

 

「グルゥあああ!」

 

吹き飛ばされた仲間を見て他の「犬」が猪に襲い掛かり仕留める。

 

「ワンワン!」

 

歓喜の鳴き声を挙げる「犬」を見て満足そうな顔をするのは白道教の幹部である犬頭の廻り者であった。

 

「ご満悦じゃないか。これが先生ご自慢の犬ですか。」

 

「ええ、良い子達ですよ。調整も十分ですしそろそろ本番に使えるかと。」

 

横にいた同じく白道教の幹部であり男装の廻り者テロワーニュ・ド・メリクールが彼女にそう聞くと自信があるように返す。

 

これだけ聞けば猟犬の調教と思われるだろうが猪を狩った「犬」というのは上半身裸で筋骨隆々の人間である。

 

「ところで先生、一匹突撃を喰らって苦しんでるみたいだけどどうするんだい?」

 

「ターゲットは病院に居ますし、そこに送り込めるよう運んでおきましょう。負傷した人間が転がっていれば通報されるでしょうしね。」

 

「まぁここから車を飛ばせば良いけどその前に死なないかい?」

 

「死んだら捨てれば良いんでは?」

 

「それもそうだ。どうせ適当に拉致ってきたホームレスだし野垂れ死のうが誰も気にしないしね。」

 

「そういう事です。」

 

人を人とも思わない会話の締めで犬頭は歪んだ笑みを浮かべる。

メリクールは後ろに控えさせていた信者達に命じて怪我人を目的の病院に運ばせる。

 

「しっかし残虐とは無縁な前世の筈がどうしてそんなに非道になってしまったのかねぇ。」

 

「実験の対象はいつだって犬ですよ?身寄りもなく孤立しただ生きるだけの奴なんて犬と同じですよ。こうすれば公的機関に追われる事なく私の衝動も満たせる。彼らは人の役に立って死ぬんですから本望では?」

 

「偉人格の廻り者とは思えない発言だね、イワン・パブロフ先生。」

 

才能に呑まれその見た目のような犬頭の怪人の発言に苦笑いをしながら彼女の名前を出す。

 

イワン・パブロフとはパブロフの犬で有名な生理学者である。

 

彼女がこうやって人を犬のように扱えるのも彼女の才能故である。

そしてそうやって人を踏み躙るのも彼女の才能である。

 

「ハハハ。貴方みたいにどちらで呼ぶか曖昧な廻り者もいますが私は正真正銘偉人格の廻り者です。まぁ偉人格だから全員が人を虐げない訳では無いですし罪人格だからって全員が人を虐げる訳では無いというだけですよ。我々は皆才能の奴隷なのですから。」

 

そう開き直るパブロフにメリクールは

 

「それもそうだ。じゃあ戻りましょうか。」

 

と返し用意していた車へと乗り込む。

 

「君はこれからどうするんだい?」

 

車内にてパブロフはメリクールに尋ねる。

 

「今日は皆さんの帰宅まで同行したら拠点に戻り寝るよ。明日はDV被害者達の集会に顔を出して革命論でも熱弁する予定なんでね。」

 

「つい先日起こった妻による夫への殺傷事件は貴女の仕業でしょう?あまり暴れ過ぎて尻尾を掴まれないようにしてくださいよ。」

 

キラキラした顔で語るメリクールを嗜めるパブロフ。

 

誰にも顧みられない人を攫うパブロフに対し社会との繋がりを断ってない女性達に女性支援団体の看板を使って近づき革命を吹き込むメリクールでは後者の方が足がつく恐れがありパブロフはそれを指摘していた。

 

「わかってるよ。可愛そうで仕方ないから革命への手助けをしているだけさ。ちゃんと気をつけるさ。」

 

「じゃあなんで教団から逃げ出す娘達は殺すんですか?」

 

目に涙を浮かべながらメリクールは可愛そうな女性への助けになりたいと語る。

そんな彼女にパブロフはならなぜ逃げ出した女性たちは殺すのかと問いかけた。

 

「え?一度救われたいって入っておいてなんか違うって言って抜けるのは違うじゃん?そういう傲慢な女は嫌いなんだ。」

 

すると彼女は真顔でそう返した。

 

その後車内は笑い声で溢れた。

 

 




とりあえず白道教に所属する廻り者はろくでなしとして書いております。

前世となる偉人に対するイメ損になってますが原作でもそんなキャラはいますし結局才能に合わせて偉人の名をつけてるだけですから=にはなり得ないと思ってます。

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