許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

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第36話:惨劇の始まり

とあるアパートの一室にて男装の廻り者メリクールと犬頭の廻り者パブロフが病院襲撃について話していた。

 

「しかしさあ、近くで観てなくて良いのかい?スマホがあるからいつでも暗示がかけられるとはいえ、それをしっかりその目で確認した方が良いんじゃないかい?」

 

ベッドで寛ぐメリクールがこう尋ねると

 

「数が多いですからね。2、3人ならともかく見舞客も含めると30人は送り込んでますしいちいち確認とかめんどくさいですからね。下手にターゲットにバレたらこちらは抵抗手段を持ってませんし。」

 

「先生武器持ってないしねぇ〜。」

 

パブロフはスマホを手に持って困り顔で返答する。

それを見てメリクールは愉快そうに笑う。

 

 

「ところで勝手に部屋にあがった身だけどここ誰の部屋なの?その顔じゃあアパートなんか借りれないでしょ?」

 

ふと気づいたかのようにメリクールは問う。

 

「ああここは私の犬の部屋です。というよりこのアパートの住人は全員私の犬です。大家を犬にして犬を住まわせてますから。こういう拠点はいくつか持ってますよ?」

 

「相変わらずその才能チートだよねぇ…。」

 

なんて事ないようにこのアパート自体テリトリーであると語るパブロフな流石のメリクールも顔を引き攣らせる。

 

手順はこうである。

 

まず寂れたアパートを見つけ、そこの大屋を才能で大家を自身の命令に従う犬に変える。

犬に変えるまでに調教を行う長い時間が必要だったが彼女が持つ才能によってショートカットをする事で実時間としては1日も経たずに忠実な犬へと変貌させられる。

そうしたら格安で他の犬を住ませる。

こうすることで犬を監視し管理しやすい環境を作っている。

 

「日本は平和ですからね。ホームレスもそんなに居ませんし逆に変なセミナーに引っかかるバカは沢山居ますからね。」

 

「そういえばセミナーやってるんだったね。表向きはいかにも稼げます的な詐欺の奴だけど実際は貴方の犬を増やすためのセミナー。その詐欺師も犬なんでしょう。」

 

笑いながら語るパブロフにメリクールは彼女の仕事を思い出し話題に出した。

 

「はい。だって詐欺師の方々は自分は騙されないって思ってますから。明らかにカモな犬で釣って屈強な犬で三日三晩痛めつけて私が暗示をかける。仮に詐欺師の方々が捕まっても表の人格では私の事は覚えてませんし、何かの拍子に犬の人格が出ても忠誠心で私の事は喋らないので。」

 

その話題を待っていたかのようにパブロフは語る。

彼女は他人を操るのが好きだが詐欺師のような騙す側を騙して犬にするのは快感なようだ。

次に好きなのは何不自由もない一般人の人生をめちゃくちゃにすることなのだが。

 

「話は脱線したけどさあ。一般人だけで大丈夫なの?いくら暗示で本来人にかかる限界を超えた動きが出来るとはいえさあ。」

 

これ以上の話は闇が深いと感じたメリクールは襲撃作戦の話へと強引にずらした。

そんな話題変更を気にせずパブロフは自信満々に答えた。

 

「ああ、それは問題ありません。こちらは秘密兵器も用意してますから。」

 

「え?何それ!」

 

秘密兵器という言葉に反応したメリクールにパブロフは満足そうな笑みを浮かべた。

 

 

 

病院は平常通り動いていた。

待合室では多くの患者が順番を待っており受付はそんな患者の番号を呼び案内していく。

病室では患者が他の患者や見舞客と談笑している。

何も変わらない日常である。

 

そんな中で一人の男性がスマホの着信に気づき電話に出る。

 

次の瞬間男の目が限界まで見開き体はビクンビクンと痙攣し首を抑えはじめた。

 

「大丈夫ですか?」

 

それを見た看護師はすぐに駆けつけ男性を心配し介抱しようとする。

 

「今俺を哀れんだな?」

 

「え?」

 

底冷えする声を向けられ呆けに取られる看護婦。

 

次の瞬間ダァン!と鈍い音がしたかと思った直後看護婦が倒れ待合室は悲鳴で包まれる。

 

「ああムカツクムカつくどいつもこいつも俺を見下しやがって!殺す殺す撃ち殺すどいつもこいつも撃ちコロオオオス!!」

 

そう叫ぶ男の服装はいつのまにか警官のそれとなっており体からは銃や手榴弾が生えていた。そして首からは廻り者特有の傷と赤い花弁が舞っていた。

 

ここに日常は終わり惨劇が始まる。

 

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