許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

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第37話:惨劇の始まり②

「廻り者を隠す実験?それが秘密兵器となんの関わりがあるのさ。」

 

「まあまあ落ち着いて聞きなさいな。」

 

前のめりの姿勢で早く教えろと迫るメリクールをパブロフはしたり顔で嗜める。

 

「廻り者は完全だろうが不完全だろうが一度成ったら得た才能に抗えなくなる。これはわかるね。」

 

「いや先生面はやめてさっさと喋ってくれないかな?さっき電話で下手くそな口笛吹いたのがそいつの暗示条件なんだろ?」

 

「下手というのはやめてくれませんかね…。」

 

意気揚々と先生面してさも生徒に指導しているように振る舞おうとするがメリクールに突っ込まれ更に口笛が下手くそと罵られたのに落ち込むパブロフ。

だが気を取り直して講義を続ける。

 

「せ、正確には逆だ。あの口笛で私は彼の人格を表に戻したんだ。さっきの廻り者の話に戻るが廻り者は才能には抗えない。特に人を害する罪人格の才能を得た場合はその衝動が偉人格の比ではなくなる。」

 

「じゃあ暗示で才能に支配されない人格を作ったってこと?」

 

「私が言う前に答えるのはやめてくれませんかね!」

 

「まどろっこしいんだよ!」

 

だがその講義もメリクールが先回りして答えを明かした事でおじゃんになり思わずパブロフは怒鳴りメリクールはそれに怒鳴り返す。

 

彼女の才能は調教によってとある行動をする事で別のとある行動を誘発させる、いわゆる反射行動を作り出す事だ。

今回の場合は口笛で輪廻返りする前と後の人格をスイッチをオンオフするかの如く入れ替えるようになっている。

これは対象が不完全な廻り者であるが故に出来る裏技でもある。

 

少し睨み合ったあとパブロフが先に折れた。

 

「はあ…。もういいです。メリクールさんが正解です。」

 

「今度は投げやりだなぁ!」

 

「うるさいですね…。とにかく暗示で屈折も何もない真人間としての人格を作り出し彼を社会に溶け込ませました。しかし暗示を解いたらどうなるかと気になりましてね。結果は才能の衝動もない以上容易に対応出来ず更にこちらが好きなタイミングで解放出来る時限爆弾になりましたとさ。」

 

パブロフの投げやりな態度にメリクールが突っ込むと彼女は嫌そうな顔をしながら自身の実験結果を開示した。

 

「えげつなぁ…。ところでその廻り者の確保ってどうしたの?」

 

その開示に苦笑いしながらメリクールは浮かんだ疑問を投げつけた。

 

「大元任からお恵みいただきました。旧組織に属していた廻り者の死骸にあたる輪廻の枝は沢山あったみたいですし。」

 

それに対してパブロフは動ずることなく言ってのけた。

 

「まぁ前の組織は数だけは居たからねぇ。廻り者の楽園とも謳っていたからカスみたいな才能の廻り者がかなり集まっていたけどそいつらは皆死んだからなぁ。まぁ枝はしっかり回収したから数だけはあるけど。」

 

メリクールはそれを聞いて昔を懐かしそうに振り返る。

 

「でも大元任がそんなに簡単に渡すかなぁ?……いや渡すね。これは渡すわ。」

 

「どこ見て言いましたか?いや事実ですが。」

 

しかしメリクールはパブロフの顔を見て疑いを持つ。暗示をしたのではないかと。

 

しかしその視線を下にずらしていき納得した。

そのバストは豊満であり不摂生なため少し出た腹は愛嬌にもなりケツもデカかった。

加えて声も良い。

犬の顔さえ隠せば百点満点の女だ。

女好きの大元任が甘々になるのも無理はない。

 

そんなメリクールの態度にパブロフは青筋を立てたがその考えを否定しなかった。

 

「先生の意外な一面見れたし面白い事も聞けたから満足だなぁ。」

 

「待ってください。ほらテレビで病院に銃乱射事件との報道がありますよ。これ見てもう少しのんびりしましょう。」

 

メリクールは伸びをして満足そうな笑みを浮かべ帰ろうとするがそれをパブロフは引き止める。

テレビをつけたパブロフはそこに映し出された映像を指差しのんびりしようと申し出た。

メリクールはその申し出を受けてベッドに腰掛け報道を眺めた。

 

 

 

 

 

 

一方病院は地獄の一言に尽きる。

突然現れた銃撃犯に待合室はパニックになり逃げたり隠れたりする人々で一杯だった。

 

「殺す殺すコロオオオス!!」

 

その銃撃犯はそんなパニックに陥った人々に容赦なく銃を打ち込み待合席の下に隠れた人には手榴弾を投げつけ爆殺した。

 

ひとしきり銃を放ち落ち着きを取り戻した廻り者は再びスマホの振動に気づきそれを取る。

 

「すごい暴れようですね。この調子でターゲットの射殺もよろしくお願いします。他にもお仲間は居ますがそれは気にしなくて良いです。あ、電話は切らないままでお願いしますね。」

 

「シャシャシャ!射殺、射殺!その上から目線が気に食わねえ!そのガキもぶっ殺してテメェもいつかぶっ殺す!」

 

パブロフはその廻り者を労いターゲットの射殺もお願いする。

その際同業者を気にしなくて良いという言葉に彼は怒りを爆発させターゲットだけでなくパブロフも撃ち殺すと叫ぶ。

人格を強制的に分けられたとはいえ彼女になにかされたくらいは気づいているため、これが終わったら次はパブロフを殺すと意気込む。

 

「今まで鬱憤を貯め続けたんだぁ、この怒りをぶちまけてやる!」

 

ただそれはそれとして今は溜め込んだ怒りを吐き出すために殺戮を続ける。

この銃撃で自身が犬である事に気付かぬまま死んだパブロフの犬も何人かいた。

ただそんな事はパブロフにもこの廻り者にとってもどうでもよかった。

パブロフからすればそもそも廻り者ではない犬などいくらでも調達可能であり、こんなところで死ぬならそもそも不要だったというだけで終わるからだ。

 

廻り者は怒りを露わにしながら血溜まりとなった待合室を抜けて病院の探索を始める。

 

 

同時刻、パブロフはあの廻り者と同じように潜り込ませた連中に暗示を送った。

これにより他の階層でも阿鼻叫喚の地獄が展開される事となった。

 

ヴラド3世達は生き残る事が出来るのだろうか。

 

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