許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
暇なので院内を歩き回っていた時に激しい銃声と悲鳴が聞こえた。
(おいおいおい、襲撃ってそんなに過激なのか⁉︎)
2階にいた俺は銃声と悲鳴を聞いてその音の出場所を探り、手すりから身を乗り出し状況を確認する。
そこには全身に銃を生やし腰から手榴弾をぶら下げた警察官の格好をした男がブチギレながら銃を所構わずぶっ放し、それがひと段落したら手榴弾を受付の中や椅子の下など人が隠れそうな場所に投げていた。
首からは赤い花弁が舞っていたので廻り者に間違いない。
(襲撃というより無差別大量殺人じゃねえか!よりによってこんなところで暴れ回るんじゃねえ!)
教団連中の襲撃よりも悪質な状況に舌打ちするしかない。
現状ではこの襲撃は教団関係ない野良の廻り者によるものとしか思えない。
聞き出そうにもあの才能では生け取りとか不可能に等しい。
(こういう時に限ってアイツらは居ないんだよなぁ…)
残念な事に今日は二人とも見舞いに来ていないのであの廻り者に対処するのは俺しかいない。
とはいえ無策で突っ込めば死ぬのはこちらだ。
とにかく観察するしかない。
無惨に殺されていく人々に何もできない自分を恥じ唇を血が滲むほど噛み締めながら奴の才能について観察する。
(警官の姿をしていてキレながら銃乱射、大量殺人鬼と仮定するなら奴の前世は禹範坤(ウ・ポムゴン)か?)
俺が奴の前世について考察してる間に奴はひとしきり撃ちまくり落ち着いたのか移動していくのを確認した。
俺が見てるのには気づいてないようで奴はこちら側のエスカレーターを使って2階に上がってくるようだ。
ならこっちはその場から一旦離れて迎え撃てる準備に入ろう。
これ以上被害を拡大させないためにもすぐに始末してやる。
「随分怒り心頭ではないか。」
突然声をかけられた男は声の方に振り向く。
「その花弁…テメェも廻り者か。俺相手に真正面からなんてムカつくぜ、死ね!『火怒殺』!!!!」
男はキレながら銃が生えた体をそのまま話しかけた俺の方に向け才能を行使すると銃を乱射してきた。
ただその弾は俺に当たる事はなく鉄と鉄がぶつかる音を発し球が地面に落ちる。
「無論備えはあるさ。数がある分威力は控えめか、一列目は抜かれると見て三列分鉄杭の壁を用意していたが取り越し苦労だったかね?」
「テメェ!」
俺はあらかじめ自分の前に壁を作れるように鋭利物を撒いていた。
原作でもヴラド3世が生み出した串で銃弾を弾いていたし、ストーンウォールジャクソンとの戦闘でもしっかり機能していたしで頼りになるな鉄の壁。
顔は見えないがその語気から悔しさを感じ取れる。
「だが籠ってるだけじゃあ意味ねえだろ!俺の武器はこの銃だけじゃあ無いんだ!」
奴はそういうと何かを投げそれが鉄の壁にぶつかった音がした。
次の瞬間その何かは爆発した。
「ギャハハハハ!手榴弾の前じゃあそんな壁なんの意味もないぜ!次は蜂の巣にしてやる!」
爆発の煙が立ち昇る中で奴は銃乱射を始める。
しかし今度も弾かれる音が聞こえる。
「お前の動きは見ていたのでね。読めているのだよその行動は。」
「クソが!ふざけやがって!むしゃくしゃする!絶対ぶっ殺す!」
こっちはあの惨状を見ているしか出来なかったがだからこそ奴の能力がある程度分かっていた。
奴は正面に体から生えた銃での乱射及び手榴弾が攻撃手段だ。
その銃は自身から引っこ抜いて持つことが可能で引っこ抜かれたところからはしばらくしたらまた銃が生えてくる
銃乱射は強力だがそれにも限界がある。
体から引き抜いた銃は弾を打ち尽くしたら普通の銃のようにリロードする必要がある。
体に生えた銃は弾数無制限だが肉体と直接繋がっているからか撃ちまくると熱が溜まり少しの間弾が出なくなる。
手榴弾は爆発までラグがあるから対処はしやすい。
そしてこいつは己の衝動に任せてぶっ放すからカービン銃と体の銃のクールタイムが同時に来ることがあるのも確認している。
そのせいで生存者も少なくなかった。
ここまで対処できればあとはなんとでもなる。
弾もめちゃくちゃに撃ちまくるので3回めの後退のあとは鉄杭を少しだけ隙間が空くように生み出し奴の姿をチラ見する余裕も出来た。
運が悪かったら撃ち抜かれるだろうが狙いすまして撃ち抜くというタイプでもないのでこういう手も取れる。
そして目視できる事には利点もある。
俺は銃弾が打ち込まれる中、奴の様子をチラッと見てみると最初の爆発で散らばった鉄杭の壁の残骸が辺り一面に転がっていたのを見つける。
奴は怒りで視野が狭くなっているのか俺が覗いているのに気づかず罵りながら銃乱射を続ける。
それを見た俺はその残骸を対象に『串刺公』を発動する。
残骸を依代に作られた杭は伸びるがままに伸び天井に突き刺さる。
その音に奴が反応した隙に俺は奴の足元に鋭利物を投げ込む。
奴は俺が鉄杭の壁から体を出したのを見て勝ちを確信し銃撃を始めようとする。
しかしカービン銃はすこし弾を打ち出すと止まってしまう。弾切れだ。
体の方は熱が溜まり弾が出てこない。クールタイムに入った。
「なぁっ⁉︎」
「終わりだ。『串刺公』」
肩に銃撃を受け焼けるような痛みを無視するように俺は才能を行使する。
次の瞬間奴の足元に転がった鋭利物が鉄の杭に代わりその身体を貫いた。
奴はカービン銃を手から落としその動きを停止した。
すると奴の体が煙のように消えていき奴がいた場所には輪廻の枝が転がっていた。
「いやぁ…対処できたから良かったが罪人格も普通に手強いな。」
傷口は熱を持っており触ると熱かった。
これも奴の才能行使によるものかもしれん。
俺は輪廻の枝を回収するとその場に座り込み大きく息を吐いた。
俺はこれで終わったと思ったが病院を舞台とした戦いはまだ終わっていなかった。
廻り者紹介コーナー②
禹範坤
所属:白道教
外見:普通の警察官の格好をしているが顔は赤く目は血走り常に怒りの形相の男性
また体のあちこちから銃や手榴弾が生えている
パブロフによって調教された犬の一匹
元の人間は怒りの吐き出し方が分からない男で悩み迷った末、手元にあった輪廻の枝を使い廻り者となった
それ以降廻り者のときは怒りのままに暴れ回り、元に戻ったら普通の生活を送るというローテーションで過ごしていたがパブロフに目をつけられ捕らえられて以降は都合の良い鉄砲玉として扱われていた
病院で暴れ回ったのはそれまでのフラストレーションが溜まりに溜まっていたからである
禹範坤の才能
怒りのままに暴れ縦横無尽に暴れ回る暴力性
『火怒殺』
自身の体から銃や手榴弾を生み出す能力
銃や手榴弾は体から引き抜いて利用することも可能
銃弾は彼の怒りが込められているからか燃えるように熱く、その傷はなかなか治らない
怒りのままに銃乱射する姿は驚異だが生えた銃は一定時間連射すると熱を持ちクールダウンが必要となり、引き抜いた銃は普通に弾数が限られており切れたら捨てるしかないという弱点がある
生前は旧ギネス記録保持短時間大量殺人犯である禹範坤