許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
スマホを通じて禹範坤(ウ・ポムゴン)の戦闘を聞いていたパブロフとメリクールの間には沈黙が支配していた。
「…いたねぇ、ケッチとは別の廻り者。多分ジャクソン殺したのはあっちの方だよね?」
「……。」
「しかし壊れちゃったみたいだねぇアイツのスマホ。攻撃に巻き込まれちゃったのかなぁ…なんて。」
「……。」
沈黙が嫌になったメリクールはぎこちなく話しかけるがパブロフは糸の切れた人形のように黙っていた。
「いや落ち込んでたってしょうがないでしょ!」
「いやしょうがなくないですよ!仕込んだ秘密兵器全て倒されて輪廻の枝を回収されたら大赤字なんて話ではすみませんよ!」
そんな彼女を励まそうとするもパブロフはそれを拒み青ざめた顔で絶叫した。
「いや元々使い捨てじゃなかったの?」
「そんなわけないでしょう!きちんと回収要因も仕込んでますよ!普通の犬達にも輪廻の枝を見せて回収するよう刷り込んでましたからね。ただまさか兎範坤がやられるなんて思ってませんでしたよ!」
使い捨てでは無かったのにメリクールは驚いていたがいかに輪廻の枝を多く抱えているとはいえ貴重な物であることには変わりないため回収要因がいるのも納得だった。
ただその回収要因含めて謎の廻り者に殺されそうな状況なのだが。
「まぁケッチ相手なら近距離特化で尚且つその才能のせいで殺しきれないから体に武器が生えているアイツなら反撃で充分殺し切れるね。通話聞いた感じだと有効打も与えられず倒されたみたいだけど。」
「しかも彼の銃声と怒声で敵の能力の詳細は分からず仕舞いなんですよね!」
「うーん八方塞がり。」
肝心の敵の正体が禹範坤本人のせいでなんにも分からないため頭を抱えるしかないのだが。
乱射に対応することが出来て止めもさせる。
途中途中で弾が弾かれる音も聞こえたので壁か何かを作れる才能だと考えられた。
「攻守共に可能な才能って事しか分かりませんがそれが敵にまわっているって時点で厄介なんですよね…。」
「ケッチ殺すだけならまだしもそんな廻り者を相手にするの…はっきり言ってキツくない?私達が居ても辛いでしょこれ。」
「はあ…大元任に報告して同士を増やすことの許可を貰わないとですね。」
結局苦い顔をしながら二人は大元任に廻り者の増産を提案する事を決めた。
これはこの時点でパブロフが今の作戦の失敗を確信したという事に他ならない。
とはいえ現状新たな敵への対抗手段が少ない以上、決断を下すしかなかった。
「輪廻の枝のままでは宝の持ち腐れだからねぇ。ただこっちでコントロールできれば良いんだけど出来なかったら怖くない?」
「そこはご安心を。あらかじめ廻り者候補を拘束して手に負えなさそうだなあと思ったらすぐ射殺すれば良いんですよ。私はこうして駒を集めましたし。」
「おー!経験者は語るねえ。」
メリクールは廻り者を生み出すことへの懸念を示すもパブロフの経験談を聞き自身を持ち一人大元任の下に向かった。
メリクールを見送ったパブロフは溜め息をつきながら他のスマホを眺めていた。