許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

41 / 97
第41話:脱出への道

爆発により揺れる病院。

 

その有様に俺は焦る。

 

「銃乱射に爆破…絶対黒鋭隊が来るじゃねえか!間違いなく通報はされてるだろうしな。」

 

黒鋭隊は表向きは国直轄の特殊部隊という扱いになっている。

側から見たらこの状況は病院内でテロリストによる蛮行が繰り広げられている事になり黒鋭隊派遣を行う理由はあっても逆は存在しないほどである。

 

(廻り者の犯行だって断定して来るだろうから俺は出来るだけ痕跡を消したいんだよなぁ。)

 

そう思いながら俺は『串刺公』で監視カメラを破壊しながら進んでいた。

 

禹範坤との戦闘後、ケッチと合流し速やかにここから脱出する際に自身が廻り者でありこの病院に通っていた事を出来るだけバレたくないと考えた俺は監視カメラを俺が映らないように破壊しながら進むことにしたんだ。

 

ケッチとの合流を急ぐ途中で黒煙をあげるトイレを発見した。

遠隔操作可能な爆弾生成能力なら近くにいない可能性もあるが警戒心は否が応でも引き上がる。

 

「2人だけならまだマシだがそうじゃねえよなぁ、絶対!」

 

おそらく爆弾魔は後処理担当だ。

 

ケッチを始末したらこの病院ごと吹き飛ばして証拠隠滅を行う。

 

ケッチを始末する担当は禹範坤である可能性はあるがアレは感情のコントロールが効かないので刺客には向かない。

 

となると少なくとも3人はいる。下手したらもっといるかもしれない状況に頭を抱えるしかない。

 

そうしてケッチの病室へ向かうとそこには彼女の姿はなく同室の患者やケッチの母親の姿しか無かった。

 

「ヒッ…。」

 

俺の姿を見て患者は悲鳴をあげかけてグッと堪える。

 

(おいおいおいよりによってアイツの母親が居るのかよ!)

 

こっちは状況の悪化に叫びそうになる。

 

「…どちら様でしょうか?」

 

ケッチの母親が意を決したかのように俺に問いかける。

まあ廻り者になると服やら見た目やら結構変わるから分からなくても仕方ないか。

 

「貴方の御息女の知り合いだ。彼女は?」

 

「爆発の音を聞いて私にここでじっとしてるよう言って病室を飛び出してしまいました。」

 

そんな彼女の質問に俺は平常心を持って応対し質問を返す。

返って来た言葉を聞いて内心頭を痛める。

 

(おそらく避難口の確認だろうが迂闊すぎる。この間に悪い廻り者が襲撃して来たら悔やむに悔やみきれんだろうに。)

 

「あの…肩の傷大丈夫でしょうか?」

 

俺が考えこむとケッチの母親が禹範坤との戦いで負った傷を見て心配してくれた。

それに対して問題ないと返したが内心嬉しかった。

娘の知り合いを名乗る不審者に優しい人だなぁと思ってしまった。

 

そうほっこりしてると病室のドアが開かれ息を切らせるケッチが入って来て俺を見て驚いた。

 

「あんたなんで⁉︎」

 

「話は後だ。脱出口は見つけたか?早くここから離れないと俺たちまで巻き込まれかねない。俺は待合室で虐殺を行った廻り者を殺したが場所が場所に加えてあの爆発だ。いつ黒鋭隊が来るかわからん。」

 

そんな彼女を抑え小声で急ぐべきだと進言すると同時に俺が知ってる情報を彼女に伝える。

 

それを聞いた彼女は顔を青くするもすぐ気を取り直し避難を開始しようと母親の手を取る。

俺は彼女と同室の患者をおんぶしてその後を歩く。

 

 

現在は4階だ。このまま下の階に向かい脱出できれば良いが道中の接敵は避けたかった。

 

故に行うのは一般人の二人が見えないところで『串刺公』による索敵行為である。

曲がり角や階段を見つけたら俺が『串刺公』を発動して敵がいるか否かを確認するだけなのだが安全確認にはちょうど良い。

 

おんぶしている患者にはショッキングなモノを見るかもしれないから目を瞑り顔を隠すように言ってあるので問題ない。

最初は拒否していたが実際に血が飛び散った跡を見てからは素直に従ってくれている。

 

そうして階段を使い3階に降りると複数の看護師を発見した。

 

ケッチらは生き残りと安堵するが俺はそう安心できなかった。

 

看護師達はこんな状況でまるで菩薩のような笑みを浮かべ近づいてきた。

手には何か液体が入った注射器を持っていた。

 

「これは逃げるしかないな。」

 

「何⁉︎何がどうなっているの⁉︎」

 

「知らん。ただ正気ではなさそうだ。」

 

これは危ないと感じた俺はケッチらと共に逃走をはじめる。

置いてくわけにはいかないとケッチは母親をお姫様抱っこしていた。

 

常人より身体能力が上がっていたケッチと『串刺公』を足止めに使った俺は無事逃げる事が出来た。

だが状況は良くないとしか思えなかった。

 

病室の一つをチラッと見ると菩薩のような笑みを浮かべた医者や看護師が患者を押さえつけ注射を打つ様がそこにあった。

抵抗していた患者は注射を打たれてすぐ痙攣しガクンと動かなくなった。

 

「酷い…。」

 

「安楽死だな。気が触れたか誰かがおかしくしたか。だが構ってられない。我らだけならともかく守るべき者達もいるのだからな。」

 

言葉を失うケッチ達に対し俺は先を急ぐよう促す。

確かにここで見捨てるのは気が引けるがかといって元凶となる廻り者を探してる間に黒鋭隊が到着したら間に合わない。

 

空気が最悪な中で2階に向かう。

 

幸い2階は俺が禹範坤を倒したからかその凄惨な戦闘の跡は残っていても悲惨な犠牲者は居なかった。

 

病室の扉は開かれておりチラッと中を見ても人は居なさそうだった。

ただこの状況に俺は嫌な予感がした。

 

そしてそこから一階を見下ろせるエリアに辿り着いた時に嫌な予感が当たったことを確信した。

 

そこには一階に集まる武装した黒鋭隊が集まっていた。

 

(これはダメか?)

 

俺の頭の中に諦めの2文字が浮かんでしまった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。