許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
院外でそんな悲劇が起こっていることを知らぬヴラド3世は院内に戻っていた。
(降伏するにしても手土産は必要だろう。人々も助けその声で私の助命嘆願をさせるというのも手だ。)
俺はそんな事思いながら3階にいた。
ここは医者や看護師が動けない患者を殺し回っていたエリア、だが俺の才能で距離は取れるから不意打ちだけ意識しながらこの階を探索する。
狙いはこの状況を引き起こしているであろう廻り者だ。
脱出中に遭遇した連中は菩薩のような笑みを浮かべていた事からまぁ禄でもない精神操作系なんだろうなと推察していた。
さてこのままスニーキングミッションも良いが埒が開かないので看護師を強襲してインタビューすることにした。
黒鋭隊や爆弾の事を考えていると悠長なことやってる余裕はないからな。
そうして捕まえて聞き出しているのだが最初は命乞いだったり言い訳だったりが煩かったので少し脅したらペラペラ喋り出した。
やはり恐怖ってのは良い。
そうやって聞き出したところ彼女らを唆したのは坊主頭の廻り者のようだ。
奴はこの病院は封鎖された、出入り口付近は血の海で生存者はいない、この病院には爆弾が仕掛けられておりいつ爆発してもおかしくない、最早今生に救いはないなどと語り不安を煽りその上で念仏を唱えアルカイックスマイルを浮かべれば何をしても極楽浄土へ迎える事が出来ると煽り彼女らを唆したようだ。
この感じだと見舞いに来た客なんかにも説法してそうである。
なお肝心の奴の居場所は不明なのは残念だった。
俺はきちんと話してくれた彼女に一階まで行けば助かる、そこで保護されたら同じことを話せと諭して解放した。
とりあえずその坊主頭を見つけないと、と思ったそのとき銃声が鳴り響いた。
俺はすぐにその音の出所へ向かうとそこにはカウボーイハットを被り神父服を着た男とその先で倒れている人々の姿を発見した。
「何をしているのだ。」
「おや?同じ廻り者…いや違うなアンタからは他の連中みたいな狂気は感じねえ。まさか巻き込まれか?ご愁傷様だぜ。」
俺を見た奴は質問に答えずベラベラ喋り出す。
「質問に答えよ。貴様は何をした。」
「何って咎人共に主のご意志を伝えていたところだ。当然だろ?奴等は自分達の行いを正当化していた。だから主に聞いたんだよ。咎人か否かを。」
奴の主張は正しいように思えるがその軽薄な喋り方とニヤニヤと不快な表情を浮かべる奴に警戒したまま対峙する。
「それは自白か?私には貴様も同類のように感じるがな。それに彼らは洗脳されての犯行だ。それが解ければ懺悔し悔い改める事もあったろうに。」
「綺麗事だなぁ…。主は俺を認めておられる。だから奴らは死んだ。」
「軽いな…。何もかもが軽い。それならその醜悪な笑みを浮かべるのはやめ悲しそうな面でもするべきだろう。神の名を大義名分に殺しをしたようにしか見えんからな。」
俺の厳しい追求に奴はどこ吹く風で言い切る。
確かに彼らの行いは許されることではないだろうがこれは廻り者によってそう動かされているだけであり、正気に戻れば己の罪を懺悔するのではないか?と思ってしまう。
それを甘いと奴は言い切るが俺としてはそうやって自身の行いを正当化してるようにしか思えなかった。
「ところで自己紹介といかないか?私はヴラド3世、貴様は?」
その疑惑を払うため俺は自己紹介と奴の名を知ろうとする。
強引ではあるがこうなってはもう背に腹はかえられない。
そんな俺の突然の主張に奴は今までのニヤニヤとした表情を崩し黙る。
「どうした?今までのようにベラベラ喋れば良いではないか。それとも名を知られるのは嫌か?」
「…はぁー、いいぜ腹を括ってやる。俺の名はトーマス・コールマン・ヤンガー。コール・ヤンガーと言えばより分かりやすいだろ?」
俺の挑発に奴は覚悟を決めたのか大きく息を吐いて名乗る。
コール・ヤンガー…アメリカ西部開拓時代のガンマンであり、ジェシー・ジェイムズ率いる強盗団に参加した生粋のアウトローであり、晩年は罪を深く悔いてキリスト教に帰依しベッドの上で亡くなっている。
ああなるほど、なんで奴がしきりに主の名を呼ぶのか分かった。
「やはり貴様は神の名を盾に自身の殺人行為を正当化したいだけか。神に対する冒涜だな。」
「冒涜?ハッハッハッ。主は常に見ており俺を許してくださっている!何故なら俺はこうして天罰を喰らわずに生きているんだからなぁ!」
俺は奴を見下し吐き捨てるがそんな俺を見て愉快そうに笑いながら銃を素早く抜き早撃ちを行う。
これは警戒していたので杭を生み出し防ぐ。
奴は不意打ちの失敗に舌打ちをするが返すこちらの攻撃に距離を取る。
こうしてお互い睨み合いの状況へと陥った。
この状況を打破し勝利を勝ち取るのはどっちか。