許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

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第44話:vsアウトロー

銃弾が鉄杭に弾かれる音がまたした。

 

「チッ埒があかねえ。こう何度も防がれたら嫌になるなぁ。」

 

「正確な射撃ならまだしもそんな逸話もない貴様の弾程度防げるさ。」

 

コール・ヤンガーの銃撃は全てヴラド3世の『串刺公』によって防がれておりその様にヤンガーは舌打ちする。

 

それにヤンガーは目の前だけでなく足元まで警戒しなければならない。

こちらが目の前だけしか見てないと踏んだ瞬間足元に『串刺公』の種をばら撒き鉄杭に変える。

 

「主の加護によって」致命傷は免れたが抉られた肩からは血が流れ続けている。

明らかに不利なのはヤンガーの方である。

 

「しかし運が良かったな。アレで終わりと私は思っていたのでね。やはり才能か?」

 

「黙れよ、これも主の御加護だ!敬虔な信徒である俺は主に守られているんだ!」

 

殺せるタイミングで仕掛けたのに殺せなかった事に驚きヤンガーを素直に賞賛するヴラド3世。

 

それに対して自身の信仰心を主が見ていたおかげであると返すヤンガーだがその顔に余裕はない。

 

コール・ヤンガーの才能行使『信仰の銃弾』は自身の信仰心を消費することで因果を捻じ曲げることが出来るというモノである。

ただし自身が病気以外で死に瀕する運命または自身が放った銃弾しかその因果を捻じ曲げることはできない。

 

そしてその信仰心の消費量もバカにならず才能行使一回につき朝昼晩しっかり祈りを捧げ聖書を読みミサにも参加というのを1年間行った分の信仰心を消費する。

 

そう無闇に発動できるものではないのだが自身を害する敵は居ないとタカを括り院内にて調子に乗って才能行使をした結果あと使えるのは3回という有様であった。

 

これは彼の前世が晩年こそ敬虔な信徒であったが若い頃は南軍側として勝った北軍側に対する反抗心で蛮行を重ねたアウトローというのがあった。なによりこの野蛮性をパブロフの洗脳で封じられた反動であった。

 

そうして救いと称して逃げ遅れた患者やそれを守ろうとする見舞い客を殺害し才能行使の残弾をゴリゴリ消費した結果がこれである。

廻り者になる前から敬虔なキリスト教徒だったからこそその分の信仰心も込みで才能行使が出来たのもあって調子に乗った末路である。

 

(クソが!こんな事になるなら救済なんかやるんじゃなかった!)

 

内心後悔するももう遅かった。

このまま奴に串刺にされるくらいならここで才能行使するしかなかった。

 

「『信仰の銃弾』」

 

ヤンガーは覚悟を決め才能行使を行い銃を放つ。

今までと同じように鉄杭を盾代わりにしようとして違和感を感じたヴラド3世は咄嗟に鉄杭で遮ってるはずの射線から体を逃がそうとする。

 

しかしそれは間に合わず銃弾は鉄杭をすり抜けヴラド3世の頭を掠めた。

 

「クソっなぜ避けれたんだ⁉︎動かなきゃ死んでたのによぉ⁉︎」

 

「それが貴様の才能行使か。随分法外な力だが代償も大きかろう。あと何発撃てる?」

 

「チッ!!黙れよ!」

 

これで終わりと信じたヤンガーはヴラド3世が生きている事に動揺を隠せなかった。

頭から血を流しながらまだ余裕そうな態度を崩さない彼に苛立ちを抑えきれずもう一度銃を構える。

 

(避けられるんだったら2回分使えば良い!これで今度こそ終わりだ!)

 

ヤンガーは一度目をさっきのように壁抜けに使い二度目を軌道の変更に使うことで確実に彼を仕留めようと試みる。

 

 

「……確証はないが貴様、自身の信仰心を消費する事で銃弾が鉄杭をすり抜けたな?」

 

少し考えてから始めたヴラド3世の推理にヤンガーは目を見開き口をパクパクと開閉した。

 

「なぜ分かる?と言いたいことだが貴様が前世の名を出したのだ、そこから推理をすれば答えには辿り着く。あのとき死ななかったのもそういう事。しきりに主の名を出すのも納得がいった。」

 

「だからなんだって言うんだ⁉︎俺の力を暴いたところでテメェの死は確実だ!」

 

「なるほど…、私を殺せるくらいには信仰心は残っているか。ところで貴様は私について知っているか?」

 

つらつらと自身の推理について語るヴラド3世に対しヤンガーは開き直り再び標準を合わせる。

そんなヤンガーに対して彼はヴラド3世って知ってる?と聞いてきた。

 

それを無視し銃弾を放とうとするヤンガーに対しヴラド3世は続ける。

 

「余りにも長々と話しても貴様は聞きやしないだろうから結論に移るが『キリスト教世界の盾』…私の異名の一つに当たる。」

 

「だからなんだ⁉︎その異名とやらで俺の才能を防げるとでも⁉︎馬鹿馬鹿しい!」

 

彼が語る異名にヤンガーは大声をあげ侮辱する。

そんな彼にヴラド3世はさらに続ける。

 

「信仰心で勝負ということだ。」

 

「ふざけんな!俺はずっとずっと祈りを捧げ信仰を絶やさなかった!そんな異名だけで負けるかよ⁉︎」

 

ヴラド3世の提案にヤンガーは怒りを露わにした。

彼はずっとずっと神に祈りを捧げ信仰を絶やさなかった。

才能行使によって信仰心が消費されてもそれは変わらないと信じていた。

 

これ以上戯言に付き合うものかとヤンガーは引き金を引いた。

銃弾は当然のように鉄杭をすり抜けたがその先にヴラド3世は居なかった。

故に弾は避けたヴラド3世へと向きを変えその頭を貫かんとする。

 

しかし彼の頭を撃ち抜く音は聞こえなかった。

 

「は?」

 

「金は使ったら消えるのと同じように信仰心も消費すればそれまでというだけだろう。」

 

わざわざこの状況を見せるために鉄杭を元に戻したヴラド3世に対してただただ口をあんぐり開けることしかできないヤンガー。

 

銃弾はその頭部を貫く直前で止まっていたのだ。

 

彼自身そういう機会が無かったので知る由も無かったが『信仰の銃弾』はヤンガーより信仰心の高いものには通じず逆にその因果逆転のツケを払う事になるのだ。

 

「なんで?」

 

「さっきも言っただろう。」

 

「お前は。」

 

「信仰心は消費された、一方私は信仰心を失ってない。賭けではあったが勝てたようだ。」

 

うめくように言葉をこぼすヤンガーに対しヴラド3世は賭けに勝ったと告げる。

それに納得のいかないヤンガーは彼を指差しこう叫ぶ。

 

「お前はヴラド3世じゃあねえだろ!!」

 

その主張に一瞬呆けに取られた彼はすぐ満面の笑みを浮かべ

 

「いや、私は正真正銘ヴラド3世だ。誰がなんと言おうともな。」

 

そう返した。

 

 

さらに言葉を繋ごうとしたヤンガーの頭を銃弾が貫いた。

それはさっきまでヴラド3世の頭を撃ち抜こうとしていた銃弾であった。

信仰を消費し殺人を繰り返した無法者にツケが支払われたのだ。

 

「信仰心を消費していたとはいえ信徒であった貴様に勝てた、その事実こそ私がキリスト教最後の盾と称されたヴラド3世である事の証左なのだからな。」

 

そうコール・ヤンガーがいた場所に転がる輪廻の枝に向かってヴラド3世は言うとそれを回収し次の獲物を探しに向かった。




廻り者紹介コーナー③
トーマス・コールマン・ヤンガー
所属:白道教

外見:神父服にカーボーイハットという装いの男性
ピストルを装備し聖書を常に持ち歩いている


パブロフによって調教された犬の一匹
元々敬虔なキリスト教信者だったが苦難に次ぐ苦難で心身がすり減ったところで廻り者となる
輪廻の枝は神によって遣わされた物だと信じ、事あるごとに主の加護や主の御意志と口にする
本来ならもう少し冷静に動き基本的に聖書の教えを説きそれを拒み馬鹿にする者を射殺する程度であったが、パブロフが過度に抑えつけていたせいで溜まったストレスが爆破し惨劇を生み出した

トーマス・コールマン・ヤンガーの才能
自身の思うがままに暴れ殺す獣性
その獣性を抑え込む信仰心


『信仰の銃弾』

自身の信仰心を消費することで因果を捻じ曲げる能力
捻じ曲げる対象は病死以外の死の運命と放った銃弾の方向
消費する信仰心は一回につき朝昼晩しっかり祈りを捧げ聖書を読みミサにも参加というのを1年間行った分の信仰心を消費する
この能力は信仰心がヤンガーより高い者には通じず、因果逆転のツケを支払う事になる

前世は南軍ゲリラに参加し終戦後は強盗団に参加し暴れ回ったが晩年その行いを悔いキリスト教に帰依したトーマス・コールマン・ヤンガー
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