許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
最後はハッタリというか賭けではあったけどこうして無事勝利できたので結果オーライだ。
しかし俺自身はキリスト教に帰依なんかしてないのに信仰心で勝てたのはやはり俺がキリスト教最後の盾と呼ばれたヴラド3世に近づけたという事なのかもしれん。
廻り者への輪廻返りを繰り返した事で俺自身にも変化が出ているというのは俺も感じている。
ただそれは原作のヴラド3世の廻り者みたいな他人を串刺しにしたいという残虐性でもなく輪廻返り初期の恐怖を求める冷酷さでもない。
自分の中で理想のヴラド3世を作り上げそれをエミュレートするというか…ヴラド3世を名乗る異常者になりつつあるような気がしている。
基本的に偉人の偉業や罪人の悪業を元にした「才能」が先にあるのが廻り者なのに俺の場合ヴラド3世が残した様々な逸話や異名を下に才能が後付けされている感じがする。
これって俺が異世界からの憑依者である事とそうなった理由が関係あるかもしれないがよく分からない以上今はあまり気にする必要もないだろう。
ヴラド3世の名を汚さないように振る舞おうと思って俺はこの地で生きているのだから引き続き頑張れば良いだけだ。
さて自身のことについて振り返りながら俺は次の敵を探していた。
ターゲットは医者や看護師を操り惨状を作り上げた元凶もしくは爆弾を仕掛けたと思われる廻り者のどちらかである。
(あの爆発で廻り者連中も逃げようとするはずだ。そうなると当然下にいるんだろうがヤンガーが居たのは三階。となると逆に上にいる奴もいるだろう。だが爆弾を仕掛けた奴は下の階…もしかしたら地下にいるかもしれない。)
俺はそう当たりをつけて黒鋭隊に見つからないように下の階へのルートを探り降りていく。
その途中でよろよろ歩く男を見つけた。
俺は思わず彼に駆け寄ろうとしたが少し怪しさを感じた。
ここは2階だ。
既に黒鋭隊が捜索を終えている可能性が高い。
それなのにこんないかにも病人ですみたいな奴を見逃すか?
運悪く見逃された可能性もある。
だから俺は遠巻きに声をかけた。
「大丈夫か?下に行けば助けてもらえるだろうが自力で行けるか?」
それに対し男は声かけに答える事なくぶつぶつ喋りながらこちらに近づいてくる。
俺は鉄杭を生み出しそれを槍代わりにして構える。
それを見た男はピタリと止まり両手で自身の体を抱き身を震わせる。
「寒い寒い寒い寒い!!」
男の声は徐々に大きくなり言葉の意味が分かってきた。
奴は体の寒さを訴えていた。
「おいそこに誰かいるのか?」
すると男の大声に反応したのか黒鋭隊の連中がやって来た。
いやこれはマズイ!!
こっちは交戦したくないぞ!
そんな俺の思いを無視して黒鋭隊が3人ほどやって来て一人が寒さを訴える男を保護する。
そして残る二人は俺に銃を向ける。
「先に言うが私は無罪だ。この者は私が近づく前から寒さを訴えていた。」
「廻り者の言う事など聞けるか!抵抗する気がないなら大人しく拘束されるんだな。」
高圧的だが一階の惨状を見てるなら仕方ないと思える態度に俺は仕方なく槍を落とし手を挙げる。
それを見て二人は銃を向けながら俺を拘束せんと近づく。
突然寒さを訴えていた男が苦しみ蹲り何かを喋る。
それを見た隊員がその内容を聞こうと顔を近づけた瞬間、
ヌルっ
何かの滑る音が聞こえたかと思えば隊員が激しく痙攣しその動きを止めた。
その異常事態に俺を拘束しようとした隊員達は仲間に銃を向ける。
「ふぅ〜助かった。危うく凍死するところだったぜえ。」
その声は隊員の口からではなく後頭部から聞こえた。
「つっても頭は入らねえからこの邪魔な仮面外してお口から入らせて貰わねえとな?」
そう後頭部からの声は続ける。
隊員達はすぐさま背後に回ってその元凶を討とうとするも俺への警戒も必要と判断して二手に別れて対応しようとしていた。
そんな二人に対し彼はまず手に持った銃で俺らを撃ちその間に逃げようと試みた。
隊員二人は避け俺は鉄杭で身を守った。
その間に仮面は一人でに地面へ落下した。
そして声の主がその顔を見せた。
なんの坊主頭で特徴もないどこにでもいそうな男の顔。
その顔は仮面を剥いだ隊員の口を裂きながら体内に入っていく。
それを止めようと攻撃しようにも隊員の身体能力と銃撃でどうしようもない。
こうして男の顔は完全に隊員の体内に入ってしまった。
「コレが新しいマイホームだぁ。やっぱ人体の暖かさはすごい、俺も凍死しなくて済む。」
そう喋るのは隊員だ。さっきの男とは声が違かった。
完全に寄生されてしまったのだろう。
しかし顔だけの廻り者だと⁉︎そんな奴までいるのか?
俺の疑問を他所に黒鋭隊同士の戦いが始まる。