許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

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第49話

地面に落ちた輪廻の枝を拾うと俺は急いで来た道を戻る。

 

そのまま駐車場の出入り口から外へ向かうのも良いが普通に検問敷かれてる可能性もあるし、なによりさっきの戦闘でボンボン爆破してるから音や揺れに気づいて黒鋭隊がこちらに向かってくる可能性もまたあるからだ。

 

生き残るためとは言え人様の車を穴だらけにしてる以上こっちに非がある。

故に戻る。もしかしたら黒鋭隊とあの廻り者の戦闘が終わっているかもしれないし。

 

さて階段を上がって戦闘が行われていた場所まで辿り着いたが…戦闘の跡はあるが誰もいなかった。

倒されているなら良いがまぁ生きてると仮定して動くべきだ。

 

とはいえここからどうしようかは案が浮かばない。

正直爆弾魔は倒したからこのまま降伏しても良さそうではある。

流石に黒鋭隊が突入してから時間が経ってるし銃火器と人数で制圧できる程度の連中が相手なら負ける事は無いだろう。

 

そういった集団による制圧をひっくり返せそうな奴は一番最初に潰したし同じく脅威となる爆弾魔も排除した。

あの無法者は俺がやらなくても倒せただろうが確実に犠牲は出たであろう。

あとはあの寄生人間と医者や看護師を扇動した推定仏教関係の廻り者だが、後者に関してはまだ才能も完全には分かってないので憶測になるが扇動した一般人を盾にされたらどうしようもないかもしれない。

 

いやこれ俺行かなきゃダメか?

黒鋭隊は平でも身体能力は高いから盾を剥つつ制圧とか出来るかもしれない。

 

ただ俺はあの階での惨状を知っている。

そんな状況で目を逸らして保身に走るのはヴラド公のやる事か?

先に爆弾魔排除の為に戦場を離れたのとは訳が違う。

 

まぁ銃を向けられ拘束された時はまぁなるようになるだろう。

もとより一度死んでる身だ、道半ばで死ぬ覚悟もある。

そいつを殺したところで罪は減らないだろうが慰めにはなる。

 

だから行くのだ。

ヴラド公として誇れるように、悲しみの元を断つ為に。

 

 

 

 

 

 

さてヴラド3世が覚悟を決めている裏で犬頭の廻り者イワン・パブロフは『マッド・ボンバー』ジョージ・メテスキーの死を確認し己の作戦の完全失敗を認めざるを得なかった。

 

コール・ヤンガー含めデコイ兼捨て駒となる犬を使い黒鋭隊やケッチの目を欺きつつ本命の犬を使って彼女を暗殺する。

あとは犬の表人格を呼び出せば完全犯罪完成…となるはずだった。

 

一番暴れてもらうはずだったウ・ポムゴンが一階待合室にて虐殺を繰り広げたものの2階にて謎の廻り者によって殺害された事で計画に狂いが生じ、証拠隠滅用のジョージ・メテスキーも殺害され爆破による証拠隠滅は不可能となった。

 

そして外に避難できたケッチへの強襲も彼女の母親が命を犠牲にして守った事で無事だ。

それだけでなく彼女は黒鋭隊と交渉を行おうとしていた。

 

状況は最悪でありこっから逆転勝利するためにはか細い糸を登っていく必要があった。

 

「という訳で貴方にはすぐ彼女を殺害して貰いたいのですが。」

 

「おいおい…俺は暗殺者では無いんだぞ?こっちはしがない辻斬り強盗だ。大金分取れたからトンズラしたいんだが?」

 

「ならば…更に金を差し上げましょう。いざ逃げるとなればせっかく手に入れた金を捨てねばならぬときも来るでしょうが…どうです。」

 

「ちっ。まあそうだな。それならやっても良いぜ。」

 

そんな彼女の通話先である虚無僧の男は無茶な頼みに不快感をあらわにしていた。

彼が居たのは院長室。

院長を脅し金庫から金を出させた後、その彼を斬り捨てさあ帰るぞと思っていた矢先の事だ。

 

彼としては黒鋭隊があちこち探し回っている状況で命を危険に晒す行為はしたくなかった。

とはいえこう頼まれたら断れない。

なぜならパブロフが金を積んだからだ。

彼女が行った金を持った状態で逃げるのも厳しいだろうと言う指摘も尤もだったことも加わっている。

 

そうして契約が成ったあと彼は院長室で震えていた女に声をかけた。

 

「おい俺の片翼、お前今から保護されてこい。」

 

「あっ…は、はい。」

 

「言っておくが妙な事を言ったら死ぬのはお前だ。分かったな?」

 

震える彼女を脅し暗殺の為の餌とした彼もまた行動を開始する。

 

 

一方で坊主頭の廻り者は黒鋭隊を圧倒していた。

 

無論火力で制圧したわけでは無い。

 

「念仏を唱えれば皆極楽浄土、これまでの罪も全て許されるのだ。故に死を恐るな。御仏の加護あるぞ。」

 

そう訴えながら最高峰で彼に従う者を盾にしながら進んでいた。

 

黒鋭隊は彼を殺したくても前にも後ろにも人の壁が出来ており無理矢理突破してもその隙をついた錫杖の一撃で殺されてしまう。

人を操る術だけでなく個人の武勇もまた備わっている相手に黒鋭隊は下がるしかない。

 

(クックック。愚かな者だ。拙僧ならば人質ごと皆殺しにしておるというのに。)

 

仏のような笑みを浮かべながら内心冷酷に黒鋭隊を見下し嘲る。

この男の本性は品性下劣な邪悪である。

 

そんな邪悪への抵抗手段が無い状況で彼らは退く事しかできなかった。

 

 

院内の惨劇はいよいよ収束へ向かうがヴラド3世は生き残る事が出来るのだろうか。

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