許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

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第54話:戦争準備

廃村を密かに利用した「白道教」の拠点にて幹部となる廻り者達が集まっていた。

なお奥の部屋からは獣のような呻き声が聞こえてくる。

 

「アレはどうにからならんのか!」

 

「そんな事言われてもねえ。手駒を全て失っての作戦失敗だからオシオキされるのは仕方ないと思うなぁ。」

 

「可愛らしい態度ですこと。あのいけすかない犬顔がぐちゃぐちゃにされてると考えたら気分がすく物では?」

 

「…それを言われたらそう思わなくはないが、流石に喧しすぎる!」

 

「発情しちゃった?」

 

「殺す!!」

 

「落ち着きなさい!こんな事で内ゲバなどあり得ませんよ?」

 

その呻き声に女武者の廻り者は声を上擦らせ抗議するがそれを三角帽子を被った男装の廻り者メリクールと袖などが焦げてる和服を来た江戸時代の町娘のような廻り物お七が諭す。

 

それを聞いて彼女は納得しかけたがその間も聞こえてくる声にやはり我慢できず再び抗議を行う。

そんな彼女をメリクールが揶揄うとキレた彼女は腰の刀を抜こうとする。

しかしお七の静止を受けその手を止めた。

 

「しかし黒鋭隊だったか…奴等本当に来るのか?」

 

「まぁ来るでしょ。ケッチの殺害は失敗した上に彼女の家族を殺しちゃったみたいだからね。覚悟決めて知ってる事全部話すに決まってる。」

 

「まぁ来るならありがたいですがね。そろそろ人を燃やしたくなって来たところですから。」

 

冷静になった女武者は黒鋭隊の侵攻があるかを他の二人に尋ねた。

 

それにメリクールは即答しお七は嗜虐的な笑みを浮かべながら語る。

 

「まぁ拙者も久方ぶりの戦故昂っている。ようやくこのエセ宗教による詐欺行為の片棒を担ぐ仕事から解放されるのだ!」

 

そんな二人に対し女武者もまた体を震わせ兜で隠れているが声から喜んでいる事が分かる。

 

「仕方ないじゃん。貴方の才能『神通魔法』ってカルト宗教家がよくやるペテンを現実にできるんだから使わない手はないじゃん?そうやって表の女性救済団体から流れてきた連中を完全に信用させてるんだから。」

 

「拙者は武士だ!何が悲しくて全身白づくめの男を宙に浮かせたり、奴の合図と共に天候を変えたり昼夜逆転などさせねばならんのだ!」

 

そんな彼女に対しメリクールはその才能がカルト教祖の人望を集めるのに適してるのが悪いじゃんという。

それを聞いた女武者は腰に刺した刀を地面に突き立て嘆く。

 

「いや貴方最初はノリノリだったような…。」

 

「こうすれば拙者の腕を試せる強者が乗り込んでくると思ったからであってそれが無いならこんな雑用やりとうもないわ!」

 

「私らが言えた話じゃないと君も狂ってるよなぁ…高木ちゃん。」

 

その嘆きにお七は最初はノリノリだったと呆れながら言うが女武者はずっとやっていたいわけではないと非難する。

彼女の目的は悪行をなす事でそれを止めに来る強者と戦う事なのだ。

それで死んでも武士の本懐と宣うのだから彼女もまた他の幹部同様気が狂っていた。

 

そんな狂った目的にメリクールは乾いた笑みを浮かべながら彼女の名を出す。

 

因みに高木ちゃんこと高木鑑房は肥後の戦国武将でありとてもマイナーではあるが神通力や魔法の類を使ったという記述がある魔法武将である。

正直他にも肥後の武将が紹介される中で彼だけ盛りに盛られた理由は不明である。

 

そんな彼女達が話しているといつの間にか奥の部屋から声が聞こえなくなり扉がゆっくりと開き中から本物の犬のように四つん這いの姿でイワン・パブロフが出てきた。

 

「死ぬ…死んでしまいます。」

 

「お勤めご苦労さん。で黒鋭隊の襲撃に対してどうするか話していたんだけど案ある?」

 

息も絶え絶えな彼女に対しその様を無視してメリクールは迎撃案が無いか尋ねた。

 

息を整え彼女はこう言った。

 

「残りの手駒を切ります。それと残りの幹部も呼び戻してください。」

 

「後者はすでにやってる。間に合えば良いけど間に合わないならそん時はそん時だね。」

 

パブロフの提案にメリクールは緊張感無くもうやってると返した。

 

「じゃあメリクールさんは信者達を集めて戦う準備をしておいてください。」

 

「肉壁作戦かい?まぁ私の才能は周りにいる女性が多いほど効果が増すしね。」

 

次の提案をメリクールは受け入れ準備に入る。

 

「お七さんは最期含めてやりたいようにやって構いません。」

 

「貴方に言われなくてもやりますよ!ふふふふふ。」

 

続いてお七に指示を出すと彼女は怖い笑みを浮かべながらルンルン気分でその場を後にする。

 

「高木さんはその才能で敵を撹乱してください。」

 

「撃って出てはいかんのか?」

 

「いかんでしょ?」

 

後方支援を頼まれた高木鑑房は撃って出たいと主張するも却下されしょぼくれながら部屋を出た。

 

一人残されたパブロフは怒りの表情を浮かべていた。

 

「私をこんな目に合わせたあの二人は許せません。この戦闘はその前哨戦です。さて私も手駒を呼ぶとしますか。」

 

怒りを胸に彼女も準備のために部屋を後にした。

 

 

人と廻り者による戦争が始まろうとしていた。

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