許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
一方黒鋭隊の拠点でも慌だたしく白道教討伐の準備が行われていた。
「武器や防具の準備は出来てるか?」
「大丈夫だ、問題ない。」
「洗脳された一般人も多い!敵の能力の事も考えて放水車も準備しろ!」
「戦車はどうだ⁉︎」
「ダメだ!それを持ってくる正当性は用意出来ない!」
「メディア連中は近づけないよう報道管理は徹底しろ!」
隊員達が大声で必要な物を確認していく。
「しかしあのとき潰しきれずに生き残っていたとはなぁ…。」
「先輩は連中を知ってるんですか?」
その最中ですこし懐かしそうに語る隊員に若い隊員が声をかける。
「ああ俺も以前の制圧作戦に参加してな、あれだけ多くの廻り者を見たのは初めてだった。」
「そんなに凄い現場だったんですね。」
「まぁ廻り者の強さに関してはここ最近戦った連中の方が強かったがな。廻り者と言っても全員が全員超常的な化け物じゃないって知れた戦いだった。」
顔は見えないが明らかに目を輝かせる隊員に気を良くした彼は昔話を続ける。
「おいそこ!昔話に興じてないで準備しろ!」
「すまん!」
すると他の隊員に怒鳴られ話を打ち切る。
多くの隊員は大規模な制圧作戦に参加した事がなく浮き足だってはいたが同時に院内での戦闘で廻り者の脅威というのを肌で感じた者は気を引き締めていた。
隊員達が慌だたしく準備する中で彼らの隊長は自身の部屋で誰かに電話していた。
「おやおやそちらから電話など珍しいですね。」
電話の相手は脅迫相手であり歪な協力関係にあるフーシェだ。
「ああ今までするつもりも無かったからな。今まで疑問だったんだ、俺に脅迫されるほどの秘密なんであったか?ってな。」
飄々とした声のフーシェに対して隊長は話し始める。
「お前何かしたな?」
「気付くのが遅かったですねぇ。黒鋭隊の隊長殿が私如きに脅されるような秘密があるならまず上が排除しますからね。はい正解です、私が才能使って些細な秘密を使ってあたかも大きい秘密であるかのように吹き込みました。」
短くしかし厳しい問いかけにフーシェはまるで犯行が暴かれたドラマに出てくる犯人のようにベラベラとトリックの種を話し始めた。
「何が目的か?なんて陳腐な事聞かないでくださいね。我々廻り者が生き残るために知恵を絞ったんですよ。ちゃんと害ある廻り者は報告したじゃないですか。」
「黙れ!」
虚偽の秘密で脅迫し続けていたというのになんでもない事のように喋り続けるフーシェに隊長は怒鳴り声をあげる。
「この討伐が終われば次はお前だ。やはり廻り者は排除せねばならない。」
「そういった短絡的な行動は身を滅ぼしますよ?」
「黙れ!これは宣戦布告だ、覚悟しておけ。」
廻り者の討伐を決心し宣戦布告を行った彼は通話を切る。
「そうだ…ここから俺はやり直すんだ。黒鋭隊の隊長としてバカにされないような立派な人物として。」
通話を切った彼は一人呟き隊員達の元に向かう。
輝かしい未来を信じて。
通話を切られたフーシェは溜め息を吐いた。
「まぁ風の流れは変わってましたから切り時ではありましたし。」
フーシェとしては彼らとの関係の清算も考えていたため渡りに船だった。
「最早彼らに吹く風は向かい風。そろそろ彼の方と接触するべきですね。」
前世である人物のように彼自身も生き残るために乗り換えに躊躇しない。
だから忠告しなかった、その作戦失敗しますよと。
各々の思惑を乗せて白道教討伐作戦が開始される。