許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
あの病院での戦闘から2週間は経過した。
2週間もネカフェに籠る金なんて無かったので定期的にマジシャン活動を行う。
このネカフェ自体いままでいたエリアからは離れているのでもう見たって人が少ないのもあり結構稼げた。
明らかに不審な黒い車が止まっていたがまあ監視だろうな。
ただその黒い車も1週間を経ったあたりから見なくなった。
何かあったのだろうか?
なんかあったなら連絡欲しいがまぁそんな事するほど信頼関係は築けてないだろうしなぁ。
「あ…あのすいません。この辺りでマジックを披露しているマジシャンって貴方ですか?実は貴方に会いたいと言っている方がいまして…。案内するので着いてきてくれますか?」
「…ああ。構わんよ。」
そんな事思いながら今日もネカフェ生活継続の為にマジシャンやるかぁ!と思って外に出たところで声をかけられた。
どうやら俺に会いたい人がいるみたいでそこまで案内したいとのことだった。
怪しい…怪しくない?
とはいえ俺に声をかけた男性はなんか目が泳いでるしちょっとオドオドしてるようにも感じて心配になる。
仕方ないので着いていく事にした。
尚案内されたのは当たり障りないカフェである。
まさか宗教勧誘かなんかかぁ?と思って案内された席に向かう。
そこには頭が風見鶏でこの時代には合わない豪奢な服を着た廻り者だった。
俺は躊躇なく懐から針を取り出しその廻り者に向ける。
「おっとそう警戒なさらずに。」
「それは酷ではないかね?こんな人前に現れる初対面の異形頭の廻り者.警戒せぬ理由などあるまい。」
「フフフ…酷い言われようですね。事実なのでしょうがないですが。」
表情は分からないが不敵な笑みを浮かべてるように見える相手に警戒心は上がり口調は厳しくなる。
当然ではあるがあまりに怪し過ぎなのだから、ここでこの廻り者の言う事に従って警戒を解く方が馬鹿だ。
「さてまずは自己紹介と行きましょう。私はジョゼフ・フーシェと申します。以降よろしくお願いします。」
「…私はヴラド・ドラクル、ヴラド3世と呼べば良い。まぁ貴様の名を聞いてよろしくしたくはなくなったがな。」
奴の自己紹介に俺の警戒心はぶち上がる。
ジョゼフ・フーシェ。
「リヨンの霰弾乱殺者」「サン・クルーの風見鶏」「カメレオン」と言った碌でもない異名を持ち秘密警察の長として秘密を握り革命期の荒波を乗り切って生き残った傑物である。
なんでこんなのに目をつけられたんだ俺⁉︎
病院で目立ち過ぎたか?
「あー、別に弱みを握ろうなどと思ったわけではないです。むしろ私は貴方と協力したいんです。」
「胡散臭過ぎて逆に信用しそうになってしまいそうだ。しかし協力だと?何を協力すると言うのだ?そもそも貴様の名を聞いて弱みを握る気はないなど信用できんだろう。」
「そう仰らず。」
正直胡散臭過ぎてすぐ帰りたい気分だが協力ってワードが気になった。
「廻り者同士でこの社会を生き抜くためにグループ作りをしようという話です。リーダーは貴方にしてもらいたいと思いまして。」
そんな俺の反応に釣れたと考えたのかフーシェは自身の案を提示する。
グループってのは項羽が作った◯◯会だったり原作主人公の兄達が発起人となった偉人の社みたいなものだろう。
それは良い。
いかに強力な力を持っているとしても廻り者はマイノリティだ。
だからこそ同じような存在で集まろうって提案には賛成だ。
それは良いが俺がリーダーってのには疑問だ。
「まだ完全な廻り者ではない私がリーダーだと?それを言うなら言い出しっぺのお前が…と言いたいところだがお前では信用されんな。」
「ご理解いただきありがとうございます。貴方がまだ完全な廻り者になっていないとはいえグループのリーダーとしては充分な素質があると感じました。まぁ私が知る中では貴方以外に適任が居ないだけでもありますが。あ、私がリーダーは無理です。間違いなく警戒されますから。」
「だろうな。」
こいつ俺を褒めたかと思えば本音をぶっちゃけやがった…。
正直蹴りたい気持ちはあるが乗っかりたい気持ちもある。
ただ問題もある。
「その話はありがたいが…黒鋭隊はどうする?私は彼らに監視されてる身でね。下手な動きをして彼らを刺激したくないのだ。」
俺は気持ちはありがたいがこっちにも事情がね…みたいな表情とセリフで相手の反応を伺う。
そんな俺を嘲笑うように奴はサラッとこう言った。
「それならご心配なく。彼らなら白道教討伐に失敗し隊長初め主要な戦闘員が死亡または重症、機能不全に陥りました。」
フーシェの爆弾発言に俺は目を開き驚くしかなかった。