許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

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第59話:予期せぬ邂逅

「で、本当にそのような名家に廻り者が居るんですか?正直廻り者とは縁が無いようにも感じますがね。」

 

「まぁネカフェにて色々調べていた際に見つけた噂の一つに過ぎんがね。」

 

俺とフーシェは喋りながら扇寺家へと向かっていた。

ネカフェにて噂を聞いたという嘘でフーシェを騙して二人で向かう事にしたのだ。

 

ちなみにケッチは藤原道雅達の下に預けている。

 

彼女としては親を失い学校にも良い思い出はないしなんなら半年不登校で留年してるので学校行く気は無かったがかといってこの件は俺とフーシェの二人で対応するつもりでかといって一人で残しておくわけにはいかないと考えた結果である。

 

最初は彼女を警戒していた二人だが彼女の身の上話で絆されたのか道雅なんか涙を流しながら保護を了承した。

やっぱ道雅はいい奴だよ、チャラいし女の敵みたいなムーブするけど。

 

「ちなみにその噂というのは今まで平凡だった少年が突然あれもこれも出来るようになったというものだ。」

 

話を戻すが俺たちは豪邸に向かいながら噂について話していた。

 

「男子三日会わざれば刮目して見よとは言いますが人間そこまでは変わらないでしょうね。大方名家の次期当主としてのプレッシャーに押しつぶされたところで輪廻の枝を得た…と見てると。」

 

「なんならその少年は養子で実子が生まれてるって事情も追加だ。」

 

「これはまた廻り者関係なく複雑骨折してますね。」

 

フーシェは納得してくれたようで良かった。

まぁ実はそれだけじゃないんだけどな。

 

「ちなみにこの辺りで最近不審火が相次いでるって情報もネットで得ている。こちらはニュースにもなってるからより確実だ。」

 

「その放火魔は勧誘対象ではなく討伐対象ですよね?」

 

「うむ。ケッチから聞いた火を放つ廻り者、八百屋お七の犯行の可能性があるからだ。噂の方が空振りでもこちらで元を取れる可能性があるというわけだ。」

 

「なるほど本命はそちらでしたか。」

 

そうこの辺りで最近不審火が相次いでいた。

しかも火元に何か燃えそうな物は無かったという報道にケッチから教えてもらった白道教幹部の一人である八百屋お七の事が思い浮かんだ。

 

なぜソイツが単独で火つけを繰り返しているか不明だがまぁそんな事はこちらには関係なく討伐するだけだ。

違かったら違かったで勧誘、話にならなかったら討伐するだけだしな。

 

まぁこちらはオマケで目的の長男である扇寺西耶と接触するのが目的なんだがフーシェはお七の方が本命だと勘違いしてくれた。ラッキーである。

 

さてそうやって喋っていると扇寺家の豪邸へと辿り着いた。

 

「辿り着いたな。さて帰るか。」

 

漫画で見たことある立派な家を見て感動した俺は満足して帰ろうとしたためフーシェはずっこけた。

 

「侵入はしないんですか?」

 

「私の才能は暴力一辺倒なんでね。これからしばらくこの豪邸を見張るためにまず実物を間近に見ようとしただけだ。それともフーシェ、行けるのか?」

 

「まぁ…いけなくはないですがまあ厳しいですねぇ。私の才能は誤魔化しは効きますがそれまでですから。」

 

俺はそういう偵察だったり人心掌握ができる才能じゃないし仮に頼親を連れて来たとしても結構デカい豪邸だから能力が解除されてしまう可能性もあった。

 

フーシェに行けないか振ったが彼も今の状況では使い辛い才能らしい。

そう言えばこいつの才能について詳しく聞いたことは無かったな。

この際聞いてみるか。

 

「そういえば私はまだお前の才能を知らなかったな。この際だ聞いても問題はあるまい。」

 

「そういえば言ってませんでしたね。では一つ、なぜこの異形頭の私がこうやって道端を歩いても騒がれないのか疑問に思いはしませんでしたか。」

 

俺がフーシェに聞くと彼は自分の頭を指差してこれで騒ぎが起きないのはおかしいとは思わないのか?と逆に聞いてきた。

 

「そう言えばそうだな。私は現在廻り者にはなってないから良いとしてお前の顔なんか通報されねばおかしい。そうでなくても奇異の目で見られないなどありえん…、才能で誤魔化したか?」

 

彼の指摘は正しい。

これだけ目立つ頭なのに誰も気に留めないのはおかしい。

そこでこれが彼の才能かと気づいた。

そんな俺の顔を見たフーシェは胸を張っていた。

 

「はい、私の才能行使『カメレオン』は印象を操作することができます。これによって私の印象を極限まで薄めれば実質透明化となりますし、顔だけ印象をぼやかせば印象に残らない顔としか見れなくなります。まぁ透明化出来るとはいえ門を越えようとすれば当然バレますしこういった豪邸にあるであろう監視カメラは誤魔化せないんで潜入とかは案外難しいんですよね。誰か関係者に会えたなら印象操作でどうとでも出来るんですがね。」

 

彼が語る才能はかなり強力なものだった。

 

ジョゼフ・フーシェの才能行使『カメレオン』は自身の印象を自在に操作でき、これによって意図的に顔だけ印象をボカす事でこうやって人前に現れても問題はないらしい。

そういえば俺と最初に会った時はなんの変哲もないカフェだったのを思い出した。

 

ただ対人特化であるため監視カメラの目は誤魔化せず潜入調査なんかは無理らしい。

確かに門が閉まった豪邸への侵入には不得手だ。

 

「まぁこの力でご近所の方々の好感を集める事は可能ですからご安全を。」

 

「その力で我々の弱みを握られんように注意せねばならんな。」

 

恭しく頭を下げる彼に対しこちらは笑いながら釘を刺す。

やっぱ油断はできないな。

 

本格的な調査は明日からという事で今日は退散しようと来た道を戻ろうとした時、

 

「あの…僕の家に何か御用ですか?」

 

明らかに中学校帰りと思われる少年に声をかけられた。

 

その姿は漫画で見た姿とは変わっていたが目や顔などは面影が残っていた。

 

そりゃ家の前で喋っていたらこういう鉢合わせはあるよな…と内心後悔しながらその少年の方に向き直る。

 

「いや立派だなと思ってね。君はこの家の子かい?」

 

「はい、扇寺西耶って言います。」

 

こうして意図しない形で原作主人公の兄である扇寺西耶と邂逅することとなった。

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