許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
西耶少年が新たな目標を見つけ、ヴラド3世とフーシェも自分たちの目的のために行動するなかで彼女もまた動いていた。
そもそもなぜお七が大元任や他の白道教幹部と離れて行動しているのか、それにはもちろん理由がある。
時間は黒鋭隊による白道教壊滅作戦にまで遡る。
黒鋭隊の侵攻に対しお七は自身の才能で持って排除すると宣言し意気揚々と出陣した。
彼女は火に強い人間など存在しない、防火服に身を包んだとしても限界はあると考え自分の才能が負けるわけはないという絶対の自信があった。
愛する大元任の為に無粋な奴らは皆焼き殺す!と挑んだ彼女は放水車によってその勢いを殺され這う這うの体で逃げ出すしかなかった。
彼女だけでなく信者軍団を率いていたメリクールも放水車が放つ水で信者達の身も心も冷やされまともな抵抗も出来ず退く羽目になったため責任追求はなされなかったが失態は失態。
そもそも敵はこちらの才能について知っていると分かっていながら今まで通りのやり方で行こうとした彼女が全面的に悪い。
火に強い人間など存在しないが、なら当然対策するに決まってる。
結局パブロフが切り札を切った事で黒鋭隊を撤退させる事には成功したがその代償に今までの拠点を村ごと失う羽目になった。
隠れ蓑があったためそこに逃げ込めば良かったがそれが無かったなら壊滅するしかない状況にお七は自責の念を感じざるを得なかった。
故に彼女は単独行動をしたいと大元任に申し出てゴネる彼を他の幹部が宥める形で通した。
その理由は一つ。
「私が目立つ形で暴れこちらに注意を向けられたなら大元任様達は安全に逃げ切れるはず。」
役に立たなかった自分が囮になる事で白道教の存続を図ったのだ。
ただ彼女の誤算はパブロフの切り札によって黒鋭隊の隊長ら指揮系統が潰されただけでなく戦闘要員も吹き飛ばされ再建のために黒鋭隊は動けなかった事である。
そうとも知らず彼女は一向が逃れた道とは逆方向に向かいそこで放火を繰り返した。
それも連続放火魔というには明らかに距離が離れた場所を短期間で焼いたのだ。
地理的には朝名古屋で火事が起きたかと思ったら昼には大阪で火事が起こったという感じだ。
なぜそのようなことが出来るのか、もちろん彼女の才能によるものだ。
才能行使『狂愛の大火』
ただ火を起こすだけでなく火を纏う事で火の鳥と化す事ができる。
これによって物理的に不可能な距離でも一っ飛びで向かい放火ができる。
ただし火の鳥となっても銃撃は通るしなにより火なので水に弱い。
こうして彼女は日本各地を放火して回ったが最近は扇寺家があるエリアにて放火を繰り返している。
これは黒鋭隊が動かないのを見てより大胆に立ち回っても問題ないと考えたからだ。
何よりここなら自身が起こした大火を愛しの大元任に見てもらえるかもしれないという私情も挟まっていた。
まぁ結構離れているのでそれは不可能なのだが彼女は気付かなかった。
彼女は愛しの大元任と長く離れたせいで狂っていた。
とはいえ警察ではこの恋に狂う火の鳥には勝てず後手後手で消火活動を行うしかなかった。
そんな彼女は一つの建物に狙いを定めようとしていた。
「ふふふ。あれだけ大きい館を燃やしたら大元任様に褒めていただけるかしら?」
妖艶な笑みを浮かべながら見つめる先には扇寺家の館があった。
前々から狙っていたがメインは最後に取っておこうと考え放置していたがそろそろ頃合いかもと思っていた。
「へいへーいそこの嬢ちゃん可愛いね!」
そんな彼女に水を差すように1人の男が声をかけた。
周りには他の男も居た。
「ちょっとちょっと無視は良くないんじゃねえか?一人じゃ寂しそうだし俺と飲まないか?」
「ほらほら可愛い顔が台無しだよ?」
「俺たちと遊ぼうぜ〜?」
お七は無視していたが男達にしつこく声をかけられ誘われたため仕方なく着いていくことにした。
今日は彼らにしよう、そう心の内で笑みを浮かべながら。
その日、また一件火事が起き複数の焼死体が発見された。