許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
「えーっ⁉︎しばらく帰ってこれない⁉︎」
そう叫ぶのは藤原道雅の家で共同生活して数日が経ったジャック・ケッチの廻り者である少女千佳であった。
「そう嘆くな。仕方ないだろう?旅費が保つまで指導すると約束してしまったのだから。」
「そんなこと言わないで帰って来てよ〜。」
俺はそんな彼女に理由を説明するも納得してくれなかった。
「朝からうるせーぞガキィ!ヴラドが帰って来ないくらいでピーピー騒ぐな!」
「ナルシストは黙ってて!」
「テメェ!」
そんな彼女を咎める家主道雅の声が聞こえたかと思えばそこから口喧嘩が始まってしまった。
「変わった。済まぬな、朝から騒がしくして。」
「いや良い。仲良くやれてるようでよかった。」
「仲良くは無いと思うがな…。」
彼女の代わりに源頼親が俺に謝罪をしたが俺は気にしてないと伝えた。
やっぱりあの三人の中では一番人間ができてるなぁと思う反面一番殺人に忌避感なく積極的なのも彼なんだよなぁと思う俺だった。
「まぁ頑張れ。」
「ああ。」
頼親は短い言葉で応援してくれたので俺も短い言葉で返した。
電話では一悶着あったがそれ以外では特に問題は無く今は宿のテレビを見ていた。
西耶は学校があるため時間を取れるのは下校後というのもあってそれまでは宿で時間を潰しているのだ。
「テレビはやはり連続放火魔についての報道ばかりですねぇ。」
「まあ地元の事件だから取り上げらるだろうな、それ以外だと…異常現象とやらが気になったな。」
「廃村があった地域で木も草も枯れ果て家も朽ち果てた様はまるでそこだけ時間が何十年も経ったようだと言ってますね。」
ニュースは地元の連続放火事件を特に大きく取り上げられていたがそれ以外で気になったのが廃村での異常現象である。
その一帯だけ草も木も枯れ落ち、住宅も朽ち果てて居るようで生き物の気配は欠片も無いとの事だ。
更にその廃村は最近まで人が出入りしていた可能性があるというのはコメンテーターも驚いていた。
そりゃ誰だって驚くが俺たちは別の意味で驚いていた。
「間違いなく連中が屯していた集落でしょうね。逃げる際の最後っ屁とは思ってましたが…これは黒鋭隊が壊滅するわけです。」
「規模がデカすぎる。並の廻り者ではないというのは分かったが才能は分からんな。少なくとも並大抵の廻り者ではないのだけはわかったな。」
俺たちはその壊滅した廃村が白道教が利用していた集落だと分かったがだからこそその被害状況に驚いた。
それは敵にはまだこれだけの被害を作り出せる廻り者が居るという事になるからだ。
「一人倒してもまた別の脅威が現れる。彼らは人材豊富ですね。」
「そうだな。我々も廻り者を引き入れねばならん…。」
フーシェがため息混じりに発した言葉に俺は同調し仲間を増やす事の重要性を再確認させられた。
俺たちと西耶の合流は誰にも気づかれないよう行われた。
まず教えるのはフーシェだ。
彼の才能行使『カメレオン』は西耶が今後活動するのに便利であるためその習得は必須だ。
もう一つの才能行使『サン・クルーの風見鶏』も危機察知能力であるため持っていて損はない。
という事で俺は基本的に彼らの指導を見ているだけである。
廻り者から教わるのは初めてだったのか初日は苦戦していたようだが二日目にはもう雰囲気操作をコントロールし始めていた。
そして滞在最終日にはフーシェの才能を二つとも使えるようになっていた。
まぁ俺が指導するには時間が無かったがまぁそれはしょうがない。
名残惜しくもあったが彼と別れを告げ俺たちは拠点へと帰る事にした。