許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
「出来た!」
そう大声をあげ喜びを露わにするのはレオナルド・ダヴィンチの廻り者である扇寺西耶である。
「流石だな。」
「自分の才能を数日で二つともある程度使えるようになっているの見せられるのってなんか妙な感覚ですね。」
そんな彼を褒めるのは応援兼監視で特訓を見ていたヴラド3世、彼が自分の才能をきっちり使えてることに複雑な感情を吐露するのが風見鶏頭のフーシェである。
彼らは西耶の才能強化の為に、フーシェの才能をラーニングさせようという事で数日間特訓を行っていた。
フーシェの才能行使は『カメレオン』『サン・クルーの風見鶏』の二つでありまずはこの二つをしっかり扱えるようにしようというのが目標だった。
まず『サン・クルーの風見鶏』は自身に有利な風向きを読む能力であり、これによりどこと繋がりを作れば上手く行くか、どこへ行ったらマズイかなどが分かり危機回避や良縁を結んだりと有利な立ち回りができる。
ただしあくまでそのとき確認した風向きの確認であるため突然風向きが変わると対応できないという弱点がある。
続いて『カメレオン』は簡単に言えば印象操作である。
この能力を用いて顔や首周りの印象を薄めれば他人はぼんやりとしか思い出せないので自身が廻り者である事を隠せる。
これによって異形頭でもこうして騒がれることなく人前に出る事ができる。
二つとも優秀な力であり、特に後者は西耶の活動範囲を広げる事が出来るのでヴラド3世としては是が非でも習得してもらいたかった。
ただ単純な戦闘技能ではないためその特訓内容も独特だった。
例えばヴラド3世とフーシェが立ってる地点のどちらかにトラップが仕掛けてあるため、それを『サン・クルーの風見鶏』を使って回避する特訓や『カメレオン』を使って自身の印象を求められた物にすぐ変える特訓などが行われた。
戦闘は無いもののそれと同じくらいに疲れるような内容だったようだ。
こうした特訓の結果、西耶は見事二つの才能を使えるようになったのだ。
ただし二人の滞在期間も終わりが近づいていたためヴラド3世の才能を得る時間は無かった。
ただ西耶からすれば新たな扉が開かれたようなものであり感謝の気持ちでいっぱいであった。
「ありがとうございます!お二人のおかげで僕はまた一つ弟に胸を張れる兄に近づけたと思います。」
「他人のふんどしで相撲を取るようなものでは?」
「そう手厳しいことをいうな。時間があれば私も教えたかったのだがね。」
「いえいえフーシェさんのおっしゃる通りです。本当なら僕自身の力だけで弟に尊敬されなきゃならないんですから。でもそれが出来なかったからこそ輪廻の枝に頼りました。だったらむしろ開き直った方が良いと思う事にしました!」
「まだお若いのに図太いですねー。」
そんな西耶の感謝をフーシェは嫌味で返しヴラド3世から嗜められた。
ただ西耶は図星だったのか苦笑いしながらフーシェの言を肯定した上でそれでも自分の意思を貫くと表明した。
こうして短いながら交流した廻り者達は別れることになった。
その縁が再び交わるのがいつになるか、今はまだ誰にも分からない。