許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
ヴラド3世一向が水戸へ向けて出発した頃、別の勢力もまた水戸へ向かおうとしていた。
「なぜ…なぜこんな事に。」
「そりゃ失敗続きな上背信行為でしょう?当然でしょう。」
マンションの一室で頭を抱える犬頭の廻り者パブロフに対して冷ややかな目を向けるのは一人の廻り者である。
「続きというほど失敗はしてないはずですが⁉︎」
「なら言い換えましょう。一回の失敗が致命傷となったのです。あの作戦で貴方はどれだけ手駒を浪費したと思ったのですか?」
「ぐっ…。」
抗議をする彼女に対して反論を許さぬようピシャリと言い捨てる。
そんな彼女の頑なであり鋭い世論にパブロフは何も言えなくなっていた。
「私達があの外道を追ってる間にここまで組織が崩れるとは思ってもいませんでした。ジャクソンもお七も弱い廻りではありませんでしたし。」
「それは理解してますよ。そもそもここまで強い廻り者が敵として現れるとは私も思ってませんでした。」
「そもそも廻り者自体潜んでいてそうそう会えるものではないですからね。そこで隠れた虎の尾を踏んでしまうとはジャクソンも思わなかったでしょうね。」
ただ彼女もパブロフを責めてはいたが同時に同情もしていた。
元々彼女達が警戒していたのは転龍会のフィクサーであり自分達の教祖をハメて殺そうしたあの廻り者だけだった。
それが突然現れた謎の廻り者によって二人の幹部が殺害され一人の廻り者が引き抜かれパブロフの駒の多くを失う羽目になった。
事故と言えば事故だがそういうには被害が出過ぎである。
「とはいえ縁故の組織に逃亡しようとしたのは許されません。そもそもこの組織を作り上げたのは貴方なのですから最後まで責任を持ってもらわねば。」
「……分かりましたよ。アレも含めて動かせる廻り者も動員して水戸に向かいます。で、貴方は私の監視役ですか?」
ただそれとこれとは話は別と彼女はパブロフの行いを断罪する。
責任を取らず一人で逃げるのは許さんと口だけでなく目でも訴えていた。
そんな彼女にパブロフは目を逸らしながら責任を取ると言い監視役として同行するのかと尋ねた。
「私ではなく私と共にあの外道を追っていた私の相方を監視役につけます。」
「なるほど分かりました。では準備があるので失礼いたします。」
監視役は別の人物だと分かるとパブロフは準備の為に部屋を出た。
そして数日後、準備を終えたパブロフは手駒を連れ監視役と共に水戸へと向かっていった。
そうしてヴラド陣営、白道教陣営が水戸へと向かうと決める少し前その水戸に潜伏していた男はスマホで通話していた。
「いきなり知らない電話番号から連絡来たときにはびっくりしたぜ!」
「そりゃあ弱者から奪った奴だからな。それより俺が潜伏しているのが奴らにバレたかもしれん。粗方声をかけたがお前にも来てもらいたくてな。」
電話相手の男は知らない電話番号からかかってきた事に驚いていたようだが彼は弱者から奪った物だと笑いながら言ってのけた。
そんな彼が電話をした理由は戦力を増やすためであった。
「熊を殺すのも飽きていたところだからなぁ!廻り者相手に腕試しと行こうか!」
そんな彼の要請に男はちょうど良いところだと快諾し電話を切った。
獣を殺すのも良いがやはり強力な廻り者との戦いこそ自分達の存在価値を示してくれるとまだ見ぬ強敵に口角が上がっていた。
「よしよし、これだけ集まったら時間稼ぎは出来そうだ。俺は諦めねえ!人間は腐るほど居るんだ、必ず当たりは引けるはずだ!」
粗方招集も終え、チンギス・ハーン自身も動き出す。
彼の目的は変わらない。
弱者は強者に生まれ変われる、そう信じ彼は今日も一般人を手にかける。
こうしてそれぞれの思惑が混じりながら舞台は水戸へと移っていく。