許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
感覚に従い唱えたその言葉によって宋江は倒れた。
『悪魔公』の効果はおそらく恐怖のイメージを流し込むというものだろう。俺が串で貫く戦法を取るから基本的に流れるのは串刺しにされるイメージというところだろう。
ヴラド3世は何も直接大軍を撃破したわけではなく沢山の串刺し刑に処された兵士達を見せる事で敵の戦意を喪失させ撤退させる事で勝利した。それに由来している力といえる。
相手に接近してないと使えないのと相手がこちらに対して明確に恐れを抱いてないと使えないってのが推測できる条件だ。
あとはこちらがどれだけ恐怖を与えたいのかでイメージの強弱も変わるらしい。最初にチンピラ相手に使った時は右手だけだったが宋江相手の場合は多少どういう能力か分かったので容赦なく全身串刺しになってるようだ。
とにかく俺は初戦闘で初勝利を得た。気づくと姿も戻っていた。
「さて夜中とはいえこれだけ騒いでいたら近隣住人から通報受けてそうだし警察が来る前にこいつだけでも連れてかないとな。」
俺は一人言を終えると宋江を背負ってその場を離れた。
流石に廻り者が一般人に見つかるのはマズイし、チンピラの方は夜中喧嘩して全滅したと警察は解釈するだろうと考えての行動だ。
「待て」
突然誰かから声をかけられた。
辺りを見回すも誰もいない。
「誰だ?」
「…すまんな、姿を見せずに。見せられぬと言った方が正しいがな。」
声のする方に振り向くと誰もいなかった。ただよく見るとその辺りに踏まれてるように草が潰れている。
「透明な相手に声をかけられ警戒するのは当然だがこちらに敵意は無い。」
「まぁそんな透明能力あるなら不意打ちで俺を殺せるだろうしな。」
警戒心は解くことなく俺は声がする方を向き返事をする。
「何か話があるんだろうがそれならここを離れないか?警察に見つかるとマズイし面倒だ。透明なお前には関係ないだろうがな。」
透明人間は返事を返さなかったが俺が宋江を背負って公園から離れるのを咎めない辺り肯定したようだ。
戦闘を行った公園の広場から奥の方に移動した俺は宋江を下ろしベンチに腰掛けた。
後ろを振り向くとそこには顔を雑面という布で隠したいかにも平安貴族ですという格好の男が立っていた。もちろん首からは赤い花弁が待っている。
「某の名は源頼親。見ての通り前世は平安貴族だ。」
殺人上手と称された源頼親か。これまた今の人間から見るととんでもない奴が現れたものだ。
「藤原道長の影響下で在地勢力と争い、その道長に殺人上手とまで称された大和源氏の祖…雅な見た目とは裏腹に随分血生臭い前世じゃないか。」
「物理的にも精神的にも殺す事が出来る能力を持ったヴラド3世が言うではないか。前世としても能力としてもそちらの方が血生臭いではないか。」
少し棘を含みながら頼親に返すが皮肉で返されてしまった。
というかその言い方だと俺の戦闘を見ていたって事じゃねーか。
「某はお主を監視していた。当然だろう?才能を使ってあんなしょうもない手品で金を稼ぐ廻り者など他にはいないだろうからな。」
奴の言葉が突き刺さる。
いやしょうがないじゃん、生きていくために金が欲しかったんだから。
犯罪をしたわけじゃないんだから良いじゃん。
「見て分かる通りまだ廻り者成り立てでな、金を稼がねば死ぬ身だったのでね。」
「すまんすまん。悪気はなかった。むしろ面白い使い方をすると思ってな。」
俺が少し怒りを含んだ言葉を放つと頼親は面白そうな態度で謝罪をしてきた。
さて談笑はここまでだ。雰囲気がピリッとしたものに変わる。
「何が目的なんだ?」