許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
という事で自由行動なのだが俺は千佳と共に水戸を観光していた。
道雅や宋江は目立つため夜になって動くようだし、フーシェは動く気もないので観光気分の千佳を連れてぶらつく事になった。
しかしフーシェの才能はやはり便利だ。
首の印象をぼやかす事で目立つ首から流れる赤い花弁をスルーさせれるし、顔の印象をボカせば風見鶏頭でもこうして騒がれる事なく他人とコミュニケーションできる。
完全に浮いた見た目の道雅と宋江もそういう趣味の人物だと思わせる事で違和感を減らしてるというのだから凄いものだ。
まぁ見た目平安貴族の道雅と見た目京劇の宋江はハロウィンとかじゃない限りどう見たって奇異の目に晒されるのでそこを誤魔化せるってだけで完全な廻り者からしたら便利としか言い様がない。
「いやー旅行なんて殆どした事ないからドキドキしてるよー!」
「私もドキドキしてるよ。不審者として通報されないか心配でな。」
「大丈夫だよー。どうせ親子連れにしか見えないって。」
こうして二人で歩いているとドキドキして来るものだ。
無論俺が通報されないか心配って意味でだがな!
当然だろ⁉︎
だってこちらとら推定だが50代のホームレスであっちはまだぴちぴちの高校生なんだからさあ!
いざ親子ですか?って聞かれた際に即答できる自信がねえ!
廻り者は完全な廻り者になるとそれ以前の記憶が失われるためか浮世離れしてる連中も多い。
しかし俺は前世もあるし、まだ不完全な廻り者であるため現実世界の常識に足がつかっているので気にしないなんてできないのだ。
というか逆になんで千佳の奴はこんなに余裕そうなんだ?
父親と年齢が変わらないオッサンと一緒とかあんまり良い気はしないんでは?
そんなビクつく俺を見て彼女は意外そうな顔をしたかと思ったら悪魔のような笑みを浮かべ、急に手を繋ごうとしてきた。
「貴様!」
「ハハハ。おじ、違ったお父さん大袈裟すぎだよー。」
「お前面白がってるだろ。というかそんなメスガキみたいな性格が素なのか。」
「だってこんなにおっかなびっくりなお父さん見たの初めてだもん!」
「今の俺は一般人なのだから現実の倫理に従うのは当然ではないかね?」
手繋ぎ攻撃はとっさにかわせたが彼女が悪魔のような笑みを崩さないのを見て怒りがこみあげてきそうだった。
舐めるなメスガキィ!!
「そういう態度なら帰るぞ。」
「待ってよ!流石に知らない場所でアタシ独りぼっちは嫌だ!」
「冗談だ。泣くな泣くな。」
そういう態度に出るならこちらもこう出るぞという感じでホテルに戻ろうとしたが悲壮な面で涙まで流してきたのでこちらは降伏するしかなかった。
女の涙、しかも親を目の前で無くし独りぼっちになった少女の涙なんて反則だろと思いながら仕方なく手を繋いでぶらつく事になった。
だってここで強行したら本当に不審者として通報されかねんからな。
しかし流石は都会と言うべきか駅のすぐ近くに俺らが泊まるホテルがあり、デパートがあり、ビルも並んでいる。
俺たちがいたのも田舎という訳ではないがここと比べると当然ながら見劣りを感じてしまう。
(流石にこんな街中で廻り者と遭遇とはいかないか。)
デパート内を散策しながら内心警戒していたがどうやら街中での戦闘はなさそうだった。
水戸駅から水戸城は普通に歩いていける距離なので自称チンギス・ハーンまたはそいつの手下なんかと遭遇するかもしれないと考えていたが今日は戦闘せず軽い観光するだけで終わりそうでよかった。
そうして千佳が満足するまであちこちを歩いたり買い食いしたりしてると日が傾いて来たのでホテルへと戻る事にした。
そうしてホテルに戻り夕食を済ませたら今度は道雅と宋江が夜の街へと繰り出したので俺は念のため宋江に同行するに決めた。
「で、何をする気だ?」
「まぁ手駒作りだな。『星受好漢』で部下を作らないと足手纏いにしかならねえからな。」
「なるほどついてきて正解だったな。」
どうやら宋江はチンピラを手駒に変えるために夜の街に出たようだ。
都会とはいえ路地を進めば人通りは少ないし、広場に屯している族も居る。
そういう連中をボコして手駒にするのが彼の才能なのだが、変に誤解が生まれる前に俺がついてきてよかった。
基本的に俺の仲間は悪人や素行の悪い人間に対する暴力行為へのハードルが低いので見たことを説明すれば受け入れてくれるだろうしな。
そうやって歩いていると明らかにチンピラって感じの男達が2、3人絡んできたのでボコして『星受好漢』で特撮の雑魚戦闘員にしてしまった。
ただそれ以降都合の良いチンピラは出てこなかったので数少ない収穫を連れてホテルに戻る事になった。
ちなみに雑魚戦闘員は白い星に姿を変え持ち運びも可能なようでいつでも元の姿に戻れるようだ。
だからあの戦闘の時に突然現れたのかと感心すると同時に中の人間が保護されている事に安堵もした。
こうして水戸来訪初日は終わりを告げた。
二日目から本番なので気を引き締めて行こう。