許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

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第84話:他方での戦い

さてヴラド3世と廻り者達の戦いが始まる頃、パブロフとその一行もまたこの水戸へとやってきていた。

 

目的はチンギス・ハーンの討伐である。

 

彼女が再び組織内で復権する為にもこの作戦の成功は必須だった。

 

「どんな手を使ってもこの作戦は成功させねばなりません…。その為にわざわざこんなとこまで来たんですから。」

 

「こんなところってほど田舎ではありませんけどね、ここは。」

 

犬頭の廻り者パブロフは焦りと苛立ちをない混ぜにした表情をしながら吐き捨てた。

そんな彼女と共に居るのは今回案内役兼監視役となった廻り者である。

 

「で、いつ行動するのですか?ここに来てから数日経ってますが。」

 

「敵は強力なのですから準備は必要なんですよ。」

 

彼女としては早く仕掛けたかったが絶対失敗できないパブロフは念入りに準備してから挑むつもりだった。

 

「だからってマンションの一室を借りてこのマンションの住民を駒にするのは時間がかかり過ぎですし、奴らにバレるのでは?」

 

「それはありません。まず『沈黙の塔』でこのマンション全体を防音状態にしてるので外に調教の音は漏れることはありません。次に時間ですがこちらも『沈黙の塔』及び暴力と『パブロフの犬』を用いた調教でもうすぐマンション全体の調教は完了します。」

 

「…予想以上ですね。」

 

そんなパブロフは悠長ではないか?と問われると自身の才能と調教の状況を説明して不安を払拭した。

質問した側が言葉に詰まるほど彼女の才能は強力であった。

彼女の才能行使の一つ『沈黙の塔』は外部から切り離したゾーンの生成という恐ろしい能力。

これによって外部からの介入を防いだ後は暴力に次ぐ暴力でまともな判断能力を削いだところに彼女の刷り込みはしっかり効くのだ。

 

「あと一部の廻り者は既に放ってます。これで奴らを削れたなら上々ですし仮に倒されても被害は軽微です。その程度という事ですから。」

 

さらに彼女はすでに廻り者の一部を解き放っていると言った。

目的は偵察及び敵廻り者との戦闘。

撃破できれば上々だがそこまで期待はしてない。

 

現状打てる手は打っている彼女の目は真剣である。

故に監視役の方も現状逃走の可能性は考えてなかった。

 

「さて敵はどう動くか、またはもう動いているかその辺りが分かれば良いですがね。」

 

 

 

 

そんなパブロフが放った廻り者の一人は既に接敵していた。

 

病院の時のように遠隔で催眠を解かれた男はすぐに輪廻の枝で廻り者と化し夜の街を練り歩いていた。

 

白いボルサリーノハットを被り黒いスーツでキメたその姿はまさしくマフィアであった。

その整った顔は女性を惹きつけ、獣のような眼光は彼の気性の荒さを物語っていた。

 

そんな彼が行ったのは殺しである。

 

それも半グレ、ヤクザ、活動家といった裏の人間ばかりを狙ってだ。

パブロフらはすでにチンギス・ハーンの手下が水戸の裏に巣食っていたことは知っていたので彼らを誘き出すために殺しを行っていた。

 

とはいえそう簡単に出来るわけでは無かったのだがヴラド3世らの挑発によって彼らが観光客狩を行ったのをみて行動を開始した。

この殺害によって彼らの行為はエスカレートし警察による大捕物へと繋がった。

 

半グレが混乱してるのを尻目に彼は闇に潜む極まった活動家に目をつけ殺していった。

 

こうして2、3人殺したところでついに発見され相対する事になった。

 

「我が名は小沼正。貴様、我々の同士を良くも殺したな。」

 

「ギャハハハっ!そりゃあこうやって出てくるネズミを殺すためだからな!引っかかってくれて良かったぜ!」

 

背中に血盟の文字が縫われた和服を着た小沼正と名乗る廻り者が手下を連れて下手人を取り囲んでいたが、男は余裕そうに軽口を叩いていた。

 

「それよりそんな大勢ジジイ共連れて何する気だ?」

 

「こうするのだ。お前たち私に命を預けてくれ!」

 

囲まれた状況ながら余裕そうなマフィアに対し、小沼はそう声を上げると近くにいた老人を掴むとぶん投げた。

 

危険を感じたマフィアが避けると投げられた老人が爆発したのだ。

 

「これが我が才能『一人一殺』文字通り一人の命を生贄に一人を殺さんとする業だ。」

 

「テメェらイカれてるだろ!」

 

「これが覚悟だ。」

 

その光景に動揺するマフィアに対し何事もないように自身の才能について語り二投目を放つ。

人を騙し貶め殺すのも厭わない彼だったが生き残る事には人一倍貪欲であったがために何の文句もなく生贄となる老人達もそれを一切の躊躇もなく行う小沼正に対しても理解できない化け物を見るような感覚に陥る。

 

一発でも当たれば命がないというのは爆発の威力とその跡でわかりきっていたがだからこそ回避に全力を注がねばならず攻撃することはできなかった。

何より投げられる老人達が動揺してないのもまた異常だった。

 

「彼らは死場所を見失ってしまった。だからこそ私と血盟を結びこうして命を代償に敵を討つ役割を買って出たのだ。」

 

そんな異常な攻撃を彼は避け続けることは出来ず四投目に直撃を受けてしまった。

 

「ガッ…ガッ。」

 

もはや死ぬのは疑い無しという惨状に勝利を確信した小沼は背を向けてしまった。

まだ相手の消滅も相手の才能も確認してないのにだ。

 

後ろで何かが立ち上がる音に気づいて振り返った時には彼は爆発をモロに受けたとは思えないほど綺麗な体でマシンガンとなった片手を小沼らにむけていた。

 

そして放たれたマシンガンの掃射によって彼らは一人残らずミンチと化した。

 

「バカが!このマシンガン・マクガーン様を舐めた罰よ!」

 

そう言うと男は血溜まりと肉片の中から輪廻の枝を取り出し帰路へと着いた。

 

こうして最初の脱落者がヴラド公達が知らないところで出た。

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