許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

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第85話:燃える強欲の火

三方面で行われた戦闘のうち一つはパブロフ隷下のジャック・マクガーンの勝利で終わった。

 

そして残る二つの戦場はどうなっているだろうか。

 

 

俺と千佳が相対する炎の廻り者は以前俺が戦ったお七と比べて火力は下がっていた。

ただ刀に炎を纏わせた斬撃は強力だしただ闇雲に炎を放つお七より使い方は上手いと思った。

 

「とはいえ壁は機能している。問題はないな。」

 

「いや問題大アリだよ!モロに食らったら火傷じゃすまないよ!」

 

「このまま座していては死を待つのみだ。打って出ねば勝ちは掴めんぞ?」

 

「何騒いでんだアアン?テメェらまとめて燃やしてやるから覚悟しやがれ!」

 

俺たちは炎を遮る壁の後ろで話していたが彼女は敵に突っ込むのは恐ろしいと拒絶していた。

とはいえ彼女の攻撃方法は近接しかないんだから仕方ないというのに。

そんな俺らの声を聞いている敵は非常に上機嫌のようだ。

 

ではその上機嫌を崩さんと俺は壁から飛び出す。

無論奴はそれを見逃さず炎を飛ばすがこちらも直ぐに鉄杭を壁代わりにして防ぎつつ近づく。

 

「鉄杭も束ねれば炎を防ぐ壁となる。それを手軽に生み出せる私が貴様相手に怖気付く道理などない。」

 

「クソガァ!ならその壁を奪ってやるよ!」

 

余裕を崩さない俺に苛立ちを隠せない奴は刀を持たない手をこちらにかざす。

すると奴の腕を炎が纏い巨大な炎の手となった。

 

「オラァ!『愿蔵火事』!!」

 

その炎の腕は俺の方へ向かって伸びる。

 

今までとは違い明らかに才能行使である以上同じ行動をしてはいけない、そう感じた俺は鉄杭で壁を作りつつあえて壁から離れた。

 

そして鉄の壁にぶち当たった炎の腕はそれを掴み激しく燃えたかと思うと帰依してしまった。

そして炎の腕が消えたところには燃え跡しか残ってなかった。

 

見ると炎の手を作っていた方の腕に鉄の杭が握られていた。

 

「この炎が掴んだ物は奪うことが出来るんだよ!」

 

そう言った奴の顔は勝ち誇るかのようだった。

 

愿蔵火事って事は奴は田中愿蔵の廻り者か。

田中愿蔵は天狗党の乱で隊を率いて資金調達を行い、資金提供を拒んだ栃木宿の半分を燃やし金品を奪った悪名高い男だ。

 

「なら当たらなければどうとでもなるな。」

 

「はっ!もう一人がびびって出てこない以上お前さえ殺せば勝ちだ!」

 

そう言うと奴は手に持った鉄杭を投げ捨て再び炎の手を作りこちらに差し向ける。

ただ対抗策は用意できてる。

元の人物の逸話からのメタ読みだがな。

 

炎の手は俺を掴もうと近づくが俺は手に向かって小銭を投げつけた。

すると手は小銭を掴み消えていった。

 

「なっ⁉︎」

 

「一々鉄杭を出していては手札が尽きてしまうのでな。小銭を失う程度あまり痛くはない。」

 

やはりすぐ燃え尽きない物が当たるとそれを掴んで奪ってしまうようだ。

そして手が消えてから再び作るのにタイムラグがあるのでその隙をついて『串刺公』で攻撃を仕掛ける。

 

一発で仕留める事は出来なかったが深手を負わせるのに成功した。

 

「終わりだ。」

 

「舐めるなァァァァ!!」

 

止めを刺そうとしたその時、奴は雄叫びを上げるとその上半身が炎に包まれていく。

その姿はさながら妖怪火取り魔のようであった。

 

ただ攻撃は止まらなかったので鉄の杭が炎となった奴の体を貫いた。

だがそこから血が流れることはなく空いた穴は何事もないかのように塞がっていった。

 

「ウバウウバウウバウゥゥゥ!」

 

「これは…厳しいな。」

 

炎は大きな手に形成されていきこちらを狙う。

まさしく全てを燃やし奪っていく大火の如く。

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