許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

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第88話:好漢の星光る

宋江と聞けばやはり水滸伝を思い浮かべるだろう。

というか物語の登場人物に過ぎず実在する同名の人物をモデルにしたと思う人は少ないだろう。

 

元は北宋末期で反乱を起こし各地を荒らし回り、十もの郡を落とし当時の朝廷を震え上がらせ、一時はその罪を許し取り込む策まで採用されかけた程の大人物である。

最後には降伏したが後に方臘討伐軍の中に宋江の名があり官軍に属したと言われている。

 

彼は36人の部隊を率いる将軍を従えその才は人より優れていると評された。

 

宋江の才能とは無理矢理他者を隷属させるのではなく他者を心腹させ従えその力を引き出すというものである。

 

 

「はっはっは!本来俺は武闘派じゃなくて手下に任せる陰険貴族様だが今回だけは特別だ!貴族の高貴な太刀筋を感謝しながら受けるんだな!」

 

「クソが!なんで俺とテメェが互角なんだ⁉︎限界まで血塗れの俺とテメェがぁ!」

 

戦況は五分五分である。

本来なら戦闘系の才能を持たない道雅では才能でその戦闘能力を底上げさせた武田金次郎に叶う筈は無かった。

 

ただ今の彼は『星受好漢』によってまるで物語の猛将が憑依したかのような武勇である。

その彼の背中には星が刻まれ中央には六と書かれていた。

 

(くそっ!近接じゃあ埒があかねえ!距離を取って血礫で蜂の巣にしてやる!)

 

「道雅!奴は後ろに退いて体制を立て直すつもりだ!」

 

「そうはさせねえ!『穢荒狗』これで足止めだ。」

 

このまま近接戦を続けても意味がないと考えた金次郎は遠距離から敵を攻撃するために大きく後方に飛び退かんとした。

しかし事前に敵の動きを読んだ宋江が道雅に伝えた。

それを受けて彼が呼び出した犬頭の怪人によって防がれた。

 

このまま無防備なまま飛び込んでは死んでしまう。

金次郎の才能行使はあくまで自身の血を操り流した血の分だけ殺傷能力が増すというだけで別に防御力が上がるわけではないからだ。

そして流れた血が戻るわけでも無いため余りに流し過ぎると失血死に陥る可能性もあった。

 

ただ後方に気を取られていると正面への対応が遅れてしまう。

 

金次郎は非常に激しやすく、非常に視野が狭い。

故に彼は自分の邪魔をした怪人の方へ矛先を逸らしてしまった。

 

金次郎は血で作り上げた刀で怪人を斬り捨てるもそれによって生まれた隙を突かれ道雅の放つ一撃をモロに食らってしまった。

 

「ガッ…ガァァ。舐めるなやぁ!」

 

吹き飛ばされ地面に転がった金次郎はヨロヨロと立ち上がると道雅に向かって血の礫を飛ばしまくった。

 

威力は凄まじく弾の数も多いため強化された身体能力を持ってしても捌ききれず急所狙いを弾くので精一杯だった。

そもそも本来ならこうして弾くのすら不可能な程の威力なのだが、今の彼には最早抗しきれる代物と化していた。

 

そして金次郎は忘れていた。

自分が相手していた廻り者は2人であったことを。

 

突然背中に激痛が走ったかと思えば胸の辺りから刀が生えていた。

 

「お前、完全に俺の事、頭から抜けてたろ?今は彼奴への支援に才能使ってるが別に才能なんかなくても棒立ちしてる奴を殺すのなんて軽く出来るんだよ。」

 

「ガアッ…ガフッ。」

 

そう言って刀を引き抜くと金次郎の体から力が抜け地面に倒れ伏した後花弁となり散っていき輪廻の枝だけ残った。

 

「ふーっ。どうにか勝利出来たな。」

 

「ははっ。今日から俺は武闘派貴族様だ。」

 

「調子に乗んな。」

 

強敵相手になんとか勝ちをもぎ取った二人は地面に寝そべり勝利の余韻に浸った。

 

こうして三つの戦線はどれもチンギス・ハーンが作った廻り者が敗れた形となった。

そしてここから水戸は荒れに荒れていく事となる。

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