許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて… 作:ナマハゲィータ
「うぎゃああああ」
武田金次郎の廻り者との戦いに勝利した道雅は宋江と勝利を喜び合うと立ち上がろうとした。
しかし気を緩めた次の瞬間、筋肉が裂けるような痛みが全身を襲い彼は絶叫しながらその場でうずくまる。
「宗…江…これ、なんだ…⁉︎」
「あー…おそらく肉体の限界を無理やり超えたからその反動が帰って来たんだと思う。」
痛みに耐え息も絶え絶えになりながら問う道雅に宗江は少し考えると申し訳なさそうにそう答えた。
つまりは筋肉痛レベル100みたいなものである。
「お、おまっ。それは先に…いっ言えよ!」
「ぶっつけ本番だったんだからしょうがねえだろ!」
「しょうがなく無い!!!!」
良い大人が子供のように泣き喚き、日頃女性を落として来たその顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになり見る陰もない。
そんな道雅に逃げるように言い訳した宗江だが申し訳ない気持ちもあるようで痛みに苦しむ彼をおぶると拠点としていたホテルに帰って行った。
途中痛い痛いと喚く道雅を怒鳴りつけながらもなんとか帰還することに成功した。
「一名満身創痍だがとりあえず全員生還出来たのは良かった。」
俺は痛い痛いと言いながら寝ている道雅を見ながら全員生還を喜んだ。
「ヴラド三世達と戦った廻り者、そして藤原道雅と戦った廻り者、私達はこれで敵の手駒を二つ削ったことになりますね。これは幸先が良い。」
「私は田中愿蔵を殺してはいないがまぁ悪魔公で無力化した以上もう数に数えんでも良かろう。」
「随分甘いことだなぁ。」
「君達が廻り者を殺害した事を咎めるつもりは無いし、これも計画のうちだ。」
俺が田中愿蔵を殺さなかったのに宗江は少し不満そうだった。
まぁ俺は不殺主義ってわけじゃ無いので別に道雅達を責める気はない。
俺だって今まで散々廻り者を殺しているので今更博愛精神に目覚めたわけでは無い。
「計画ってなに?」
「一緒に居たお前が知らんのかい!」
「しょうがないじゃん聞いてないんだもん!」
千佳が計画という言葉に反応したがそれに宗江はツッコミを入れムキになった彼女がキレながら返す。
そんな2人を宥めながら俺は話す。
「もう戦えないであろう奴を敵方はどうするか見るためだ。才能自体は強くただ捨てるには勿体無いと見た上で生かして帰した。」
「そのまま切り捨ててもこちらには痛くも無いですしもし再起したなら精神を回復させる廻り者が居ると考えられます。そしてもし我々以外の敵対者が居たならそんな倒しやすい獲物を見逃すはずはないと。」
「そういう事だ。まぁ明日になってからのお楽しみという事で今日は休もう。」
フーシェが補足してくれたおかげで二人も納得してくれたところで今日は寝ることになった。
さて結果はどうなるだろうか。
ヴラド三世に生かされた田中愿蔵はただ呆然としながら拠点に戻るでもなくフラフラしていた。
「帰ったら殺される…かといってもう一度奴らに挑むなんて出来ねえ!」
勝手に飛び出した挙句負けて生かされましたなんて報告すれば間違いなく自分は殺される。
かといってもう一度挑む気力は悪魔公によってポッキリ折られていた。
故に彼は当てもなくフラフラと彷徨うしかなかった。
そしてそんな彼を敵は見逃すはずは無かった。
「愚かなる罪人よ!我が眼から逃れる術はないぞ!」
背後から自分を罵る声が聞こえ振り向いた田中愿蔵は恐怖で顔を凍り付かせた
その顔はまさしく鷹であり毛は青く見たものを恐怖で縮こませるほど鋭い眼光であった。
「どうした罪人。怖くて声も出んか?なら良い貴様を責め殺そう!」
そう宣言する廻り者に対し逃げようとするも足はすくんで逃げる事は出来ない。
ならばと炎を放つもなんと炎は彼を避けてしまった。
まるで今の自分の心情を表すかのように。
こうして抵抗らしい抵抗も出来ず彼は地獄のような責苦を3時間も味わい死んでいった。
「まだだまだだ…。この地にはまだまだ罪人の臭いがする。全て全て裁かねばならん!」
田中愿蔵を責め殺した男は次の獲物を探して夜の闇に消えていった。