許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

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ヴラド公が登場するカッコいいアニメが放送されたので初投稿です
項羽戦までと思ったらopでかなり先の展開まで示されていて今から不安なのが僕です


第94話

酷吏と処刑人。

刑罰に関わる二人の廻り者が敵意を激らせ対峙する。

 

「よくもリーダーを!」

 

「その男は貴様を庇い傷付いた。咎人たる貴様を庇ったが故になあ!」

 

「な、何を。」

 

ヴラド3世を傷つけられ怒りに震えるジャック・ケッチの廻り者千佳に対し郅都はお前の罪を庇ったから傷付いたと言い放つ。

動揺する彼女に郅都は畳み掛ける。

 

「私は咎人を裁く者。貴様も貴様が属していた組織の罪を暴きその咎を裁く者。我が目は、『蒼鷹の眼』は見た者の罪を暴く。罪を知り裁くのは私だ。だからこそ主観は含まれる。そこの男は咎無しと判断したが貴様は違う!洗脳されていたから?自暴自棄だったから?それで許される範囲は超えている!!」

 

「……っ。」

 

「声を出したくても出せんよな?『蒼鷹の眼』は咎人の動きを止める力もある。裁きを待つ咎人はただ裁かれる時が来るまで待つしか無いのだ。」

 

「くっ…。」

 

「そして貴様の罪は明らかだ。貴様は洗脳されたと宣うがその実被害者をいたぶることに悦楽を感じていた。」

 

「ちが」

 

「違くない!私が見てそう判断した。汝咎有り!故に『正義の翼』がその咎を裁く!」

 

「くそっ!」

 

相手の反論も逃走も許さない『蒼鷹の眼』。

それを良い事に郅都は次々と自論をぶつけていく。

言葉を捲し立てボルテージを上げていった郅都は拷問器具で鷲のような翼を作り出し彼女に攻撃を行う。

当然逃げようとする千佳だったがそんな彼女の動きを鷲のような眼光が射抜き止める。

 

「それ…ずるいっ。」

 

「もがき苦しみ罪を悔いながら死ぬが良い!」

 

「アッアァァァァッ」

 

無法とも言える能力に彼女は思わず毒付くがそれを気にすることなく郅都は自身の才能を行使して彼女を傷つける。

容赦もない一撃に彼女は悲痛な叫びをあげる。

 

 

執拗な攻撃は確実に彼女の心と体を削っていく。

拷問は痛みによって人の心を折るものであり、確かに彼女の心は折れそうであった。

ただそれでも彼女は倒れることなく敵を睨む。

 

「ふむ、折れぬか。」

 

「ゴフッ。折れない…折れてたまるか。アタシの罪はアタシが背負う。アタシはパブロフを…あの腐った教団を、潰さないとならない!それがアタシが行うべき禊なんだ!」

 

「身勝手な!」

 

「断罪者気取りのアンタに身勝手なんて言われたくない!」

 

「貴様あ!」

 

戦意が衰えぬ千佳を見てその心の強さに驚嘆する郅都。

そんな彼に向けて千佳は折れてたまるかと血を吐きながら叫ぶ。

そこには自分がした事、それによって自身の母親を死なせてしまった後悔、そしてその原因となったパブロフおよび教団に対する強い怒りが込められていた。

郅都は身勝手な事をほざくなと一喝するも彼女から身勝手な断罪者気取りと吐き捨てられ怒りを露わにし再び攻撃を行う。

 

「なっ⁉︎先程と違い傷が浅い⁉︎」

 

「アタシの『惨殺処刑』は攻撃力が上がるだけじゃない!それに耐えうる肉体を構築するんだ!さあ今度はアンタが痛みで苦しむ番だ!」

 

しかし襲い掛かる拷問器具は彼女の肌を傷つけられなかった。

才能行使『惨殺処刑』は不殺を代償に圧倒的な攻撃力を得る能力だが、その圧倒的な攻撃力により体が自壊しないようその肉体構造も強化されているのだ。

殺意をたぎらせた彼女は攻撃をものともせずそのまま飛びかかる。

郅都は当然『蒼鷹の眼』で動きを止めようとする。

 

「馬鹿な⁉︎なぜ止まらん!」

 

「確かにアンタの言うとおりアタシは咎人だ。その罪に対する後ろめたさがあった!だけど今は違う!もうアンタの目は怖くない!もうアンタは敵じゃない!」

 

「おのれ!私を守れ『正義の翼』よ‼︎」

 

「邪魔あ!」

 

「馬鹿な⁉︎」

 

しかし全く止まらず迫ってくる彼女に動揺する郅都。

『蒼鷲の眼』は相手の罪を図ると同時に相手が恐怖または罪に対する後ろめたさ、要するに気持ちで折れていたらその動きを止めるという能力だった。

だが今の彼女は後悔を振り切り、自身を庇ってくれたヴラド公や母親のために目の前の敵を討つことに全力であった。

もう斧の射程範囲まで近づかれた郅都は慌てて『正義の翼』を盾代わりにするも彼女の一振りで拷問器具で構成された翼はあっけなく破壊された。

あまりの破壊力に戦慄を覚える郅都に千佳は渾身の一撃をその頭部に振るう。

 

 

「あぎゃああああああああ」

 

本来なら頭が弾け飛んでもおかしくない一撃を受けた郅都は白目を剥いて倒れた。

 

「ふぅーっ。よし勝った!へへん。」

 

「…いやあ、良くやったよ。本当に。へし折れてもおかしくなかっただろうに。」

 

「……あれ?リーダー死にかけだったよね?元気そうじゃない?」

 

「廻り者だからな。」

 

「絶対違うと思うけど。」

 

 

無事勝利した千佳は息を深く吐くと満足気に胸を張る。

そんな彼女の背後からヴラド3世が拍手しながら称賛の声を上げる。

振り返ってみると少し前まで死にかけだったように見えたその姿が明らかに回復してるように見えた。

驚異的な自然回復力に疑問を覚える彼女にすっとぼけるヴラド3世。

 

「とにかく帰ろうよ。もうへとへと。」

 

「そうだな。じゃあこいつ連れて行こうか。」

 

「えっ⁉︎なんで⁉︎」

 

「話が出来るからな。それにさっき倒した芹沢と無関係のようだから野良の廻り者か…。」

 

「パブロフの犬…かもって事?ならば尚更連れてくの危ないんじゃ?」

 

「ここでの尋問の方が危うい。それに殺ろうと思えば直ぐに殺れるからな私なら。」

 

「あー…分かった。従う。代わりにリーダーがおぶってよね!」

 

疲れてへとへとな彼女は帰る気満々だったがヴラド3世が郅都を連れていくと言うと難色を示す。

殺し合った敵だから当然だった。

 

だがヴラド3世の説明で態度を変える。

推定チンギス・ハーン配下の芹沢鴨とは無関係と言った郅都。

ならば野良の廻り者か…推定チンギス・ハーン討伐のために侵攻しているパブロフの犬のどちらかしかあり得ない。

となればホテルに連れていくよりこの場での尋問をした方が良いかもと思った千佳だったが、チンタラしていてまた廻り者から襲撃を受けたら溜まったものではないと考えたヴラド3世は連れて帰ることを譲る気はなかった。

 

なんせこの1日の間に3人の廻り者と出会い、内二人と交戦している。

下手に止まっていたらまた廻り者に会うかもと考えると一刻も早く帰りたい以外の思考は存在してなかった。

そんな彼の心の内を察した千佳は異議を飲み込むと、背負うのはリーダーがやってねと告げ帰路を歩く。

 

 

 

こうして長い1日は幕を閉じた。

接敵3、交戦2、勝利2

戦利品は輪廻の枝一つと一人の廻り者。

幸いこれ以降戦闘はなく、ヴラド3世はようやく落ち着くことができたのだった。

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