許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

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リィンカーネーションの花弁のアニメが始まってますが、かなり展開が早いですね
その関係でチカチーロの回想が飛んだり岡田以蔵が死亡シーンすらカットされたりしてました
アニメで岡田以蔵の才能の一端が明らかになるかと思ったんですがねぇ


第95話

倒した郅都を背負って俺は千佳と共に拠点となるホテルの前まで辿り着いていた。

既に廻り者状態は解除されているから見た目こそ問題無いが負傷が治ってるわけでは無いからこのズタボロのままでホテルに突入してしまえば間違いなく騒ぎになる。

 

ただそのための対策は用意してある。

 

「お客様、お待ちしておりました。お疲れのようですからすぐご案内いたします。お荷物はどうしますか?」

 

「ありがとうございます。荷物はこちらで持って行きます。」

 

「承知いたしました。ではご案内いたします。」

 

人目につかぬよう外で待っていた俺を目ざとく見つけたホテルマンがお待ちしていたと声をかけ案内を申し出る。

このありがたい申し出を俺は快く受け取るとホテルマンの案内でホテルの中に入っていく。

そうして俺たちは帰還を果たした。

 

 

「ふー!フカフカベッドで癒されるー!しっかひお客さんにもホテルの従業員にも疑問にすら思われなかったねー。わざわざホテルマンが部屋まで案内なんておかしいだろうに。そもそも風見鶏だし。

 

「これが私の才能ですから。周りに溶け込む事においては負ける気はありません。そもそも余程目立たない限り基本的に人は他者への興味は薄い。目立たないよう溶け込ませる事が出来れば廻り者がこの社会で暮らすのも問題は無いんです。」

 

「我々がこうして自由に動けるのもフーシェのおかげだ。いなければ間違いなく騒がれていただろうからな。」

 

「そもそもこいつの頭が風見鶏だからなあ。」

 

「才能様々です。」

 

無事ホテルの一室への帰還を果たした千佳は大きく息を吐くとベッドに飛び込み癒されていた。

全身でベッドを楽しむ彼女は結局周りの人から疑問にすら思われなかったねー、なんなら風見鶏なのにと不思議そうに語る。

 

そう俺たちを案内したホテルマンの正体は頭部が風見鶏となっているジョゼフ・フーシェだったのだ。

ジョゼフ・フーシェの才能行使『カメレオン』は自身及び半径10m以内の人物の印象を自由に変化させる事ができる。

ただでさえ目立つ廻り者の中でも異形頭という特に目立つ特徴を持つフーシェが何不自由なく人間社会を渡り歩いていける理由がこの力にある。

 

フーシェは自身の印象をホテルマンへと変え、その状態で我々に接触する事で俺たちの印象も大きいリュックを背負う俺と元気な少女に変わった。

背負っていた郅都が気絶したままだったため違和感を持たれなかったのも良かった。

そうして俺たちはなんの疑問も持たれず帰還を果たせたのだ。

…戦闘には向いてないが間違いなく強い才能だよなあ、これって。

自分で自分の才能を誉めるフーシェを見るとやはり才能には当たり外れがあるなと再確認させられる。

 

 

「それでこの方が確保した廻り者ですか。発信機や盗聴器の類は付いてましたか?」

 

「それは確認したが無かった。でなければ連れてなど来ない。」

 

「でしょうね。ヴラド公はしっかりしておられますから心配はしておりませんが念のためです。」

 

 

ひとしきりフーシェを誉めるターンが終わり、彼は椅子に縛り付けられている郅都に目を向ける。

発信機や盗聴器の類の確認は済んでるか?という質問に俺はきちんと無い事が確認されていると返す。

 

流石に無警戒で連れ帰って逆探知され襲撃されましたなんて話にはならない。

推定ではあるがパブロフ支配下だった場合、病院での惨状から一般人の犠牲など全く気にせず襲撃を仕掛けてくるなんて簡単に想像出来る以上警戒するに越した事は無いだろう。

 

 

「おい、起きろ。」

 

「んむ…。はっ!こ、ここは⁉︎」

 

「我々の拠点だ。期間限定だがな。」

 

「…この状況、尋問という訳か。」

 

「そうだ。尋問の時間だ。お前は比較的話が出来そうに見えたからこその対応だ。だがふざけた態度を取るならば容赦はせん。」

 

「ふっ。私は敗軍の将だが奴らに思い入れはない。話せと言うならいくらでも話してやろう。」

 

「…随分と殊勝だな。」

 

「私の役割は咎人の断罪だ。だというのに長く奴らの走狗として縛り付けられていた。その事に気づく事すら出来なかった。」

 

「なるほど。ならば貴様の事情も含めて色々話して貰おうではないか。」

 

 

寝ていた郅都を起こし尋問を始める。

つもりだったが起こされた郅都は最初こそ戸惑っていたが、状況を飲み込むとかなり協力的な態度を取り俺たちへの情報提供に肯定的だった。

まぁ郅都がどういう人物だったのかを考えればその廻り者である彼の憤りと潔さは納得できる。

 

気性が激しく悪人には非常に厳し妥協も情もなく罪を責め立てる、それが郅都という人物だ。

その廻り者というには丸いと言えるほど尖り切っているのが郅都である。

そうして彼は自分の身に起こった事について話し始める。

 

 

 

 

「私は咎人を裁く者として闇に紛れ活動を続けていた。この目は裁かれていない他者の咎がよく見えるからな。とはいえ殺してはいない。きちんとこの国の法を頭に入れた上で裁きを下しているからな。死刑になるような外道がその辺を歩いている訳もないしな。因みに裁いた相手はきちんと警察に自首させている。」

 

「そもそも私刑自体法から逸脱してるのでは?」

 

「そこは廻り者である以上突っ込んでも仕方がない。続けてくれ。」

 

まず郅都が話したのは自身の活動について。

裁かれていない咎を視認出来る彼は鷹の如く獲物を捕らえ苛烈な裁きを与える暮らしを続けていた。

私刑という法をガン無視した活動をしながら、法を守り死刑にはしてないという主張はかなりズレた者だがそもそも廻り者自体が社会からズレた存在なのだからそこに触れては仕方ないと指摘したフーシェを嗜める。

 

現在郅都の話を聞いているのは俺とフーシェ、宗江と源頼親の4人だ。

ただ頼親はいつでも相手を不意打ちで殺せるようステルス状態で話を聞いている。

因みに千佳は疲れがあったのかベッドに沈み爆睡しており、藤原道雅も眠っている。

 

 

話を続けるよう促された郅都は話を続ける。

 

「そうして咎人狩を続けていた頃、私はとある咎人を裁きにかけた。罪状は…多かった。こんな咎人が何食わぬ顔で歩いているのかと我が目を疑った。そうして捕らえ裁きを与えていたが…その時、教団の名を聞き出した。」

 

「なるほどねぇ。そいつは信者だったって訳か。」

 

「それ以降はその教団をターゲットとし、重点的に狩を続けた。だが奴らも私の動きに気づいたのか廻り者を送り込み私を捕らえた。」

 

「そうしてパブロフの支配下に置かれたと。」

 

「最初こそ抵抗したが数日かけて水も食料も抜いての反復作業に私は折れてしまった…。そこで舌を噛んで自害出来なかったのが我が弱さ。」

 

「随分と念入りですね。殺すのではなく手駒に加えたのは使えると見られたのでしょうね。」

 

「もしくは裁くべき悪人の手駒になっている様を見て嘲笑いたかったからかもしれんな。」

 

そうして咎人狩を続けているとある日、教団の関係者にぶち当たりそれ以降は教団関係者に狙いを定め狩を続けていたらしい。

ただ教団側も黙って見ている訳ではなく複数の廻り者が郅都を襲撃し彼を捕獲。

そのあとはパブロフの才能によって都合の良い操り人形に仕立て上げられた。

ただ殺さず手駒に加えたのは彼が優秀というよりも裁くべき悪人の手駒になったという尊厳破壊がされている様を嘲笑いたかったからだけだろうなと俺は思った。

 

「こうして私は咎人共の走狗に落ちた。まぁその後、自身に『正義の翼』を行使し洗脳状態からの脱却には成功したがな。」

 

「えぇ…。」

 

「それからは奴の調教によって特定の行動で敵対していた記憶が飛んだフリをして奴の都合の良いように振る舞っていた。その上で私の信念に沿わぬ事をやらされそうになったら正気に戻りそうな素振りを見せ取りやめさせた。」

 

「さっきまでの同情の雰囲気返せよ。てめえやりたい放題じゃねえか。」

 

「奴らについて暴くにはあえて懐に飛び込む必要があった。」

 

「なら今回パブロフに従い水戸まで来たのはなぜだ?」

 

「奴らは咎人だがチンギス・ハーンとその一味もまた咎人だ。都合が良かったのだよ。」

 

「やりたい放題じゃねえか。」

 

ただちょっとしんみりした空気を郅都が破壊していった。

こいつ、自らを痛めつけて洗脳状態からの脱却に成功した後、洗脳状態が維持されたかのように振る舞いパブロフらについて探っていたのだ。

水戸遠征に同行したのも自称チンギス・ハーン一味もまた裁くべき悪人だからというのだからそのブレなさに感動すら覚えた。

やりたい放題だと突っ込む宗江だったが廻り者になった以上はこれくらいのめちゃくちゃはやってなんぼかもしれないとすら思わされていた。

 

 

こうして郅都の身の上話を聞き終えた俺たちは奴に水を飲ませ小休止を取ると次の質問へと移る。

 

 

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