許せなかった…ヴラド3世が罪人格だなんて…   作:ナマハゲィータ

97 / 97
第97話

翌朝ホテルを出て次のホテルに向かうというところで問題が発生する

 

そう郅都を連れて行く事になったため一人増えてしまった事だ。

元々五人でチェックイン予定だったのが急遽六人に増えるというのはホテル側も困るしこっちとしても実は困る事があった。

 

「そろそろ旅費も尽きかけてるのにそこから一人分増やすのは流石に厳しいです。」

 

うちの金庫番であるフーシェからも泣きが入る。

帰るのにも金が必要な以上、あれこれ切り詰めて動かねばならない。

そんな状況での人員増加は良く無かったのだろう。

これに関してはこちらの考えが足りなかったと言えた。

 

「じ、じゃあ俺が離脱するわ。いや、筋肉痛がまだ取れなくて体のあちこちが痛いんだよ。このまま居ても足手纏いになるし、俺には帰る家があるからな。」

 

「そうか…ここから先は厳しい戦いとなるやもしれん。その考えは懸命だろう。」

 

「うわ、上から目線。まぁ良いか。とにかく俺はここまでだがお前らは頑張って目的を果たせよ!これで成果が無くて呑気に観光してました!とか抜かしたら痛い目見ると思えよ!」

 

どうするべき悩んでいると未だ筋肉痛が取れず今も宋江によって支えられている藤原道雅が離脱を申し出た。

この申し出はこちらとしても有り難かった。

ここからはより戦いが激しくなり下手したらホテルへの襲撃すら頭に入れないといけない状況で未だ復帰していない道雅を抱えていくのは…正直厳しいとしか言えない。

本当ならば引き留めた方が良いのだろうが俺は敢えてこの申し出を歓迎する。

その様子を見て呆れた顔をして頭道雅だったがすぐにいつもの調子で俺たちを激励する。

 

俺は道雅を駅まで送って行きそこで見送りを行った。

千佳はボロボロだしフーシェはアイツが離れた途端道雅の本当の姿が露わになった方が不味く他の二人は論外という事で俺が担当となった。

 

「え〜!千佳ちゃんが良かったなあ!」

 

「文句を言うな!先の戦いでの負傷で万全ではないのだ。そんな少女とコスプレ男が一緒に居るなど通報してくれと言ってるようなものだろうが。」

 

「はぁ〜。前の俺は何を望んで廻り者なんかになったのやら。」

 

「知るか。」

 

フーシェ無しの道雅はまあ目立ちに目立ったがそれでも気合いが入ったコスプレだなあと注目を浴びる程度で済んだ。

なおその間ずっと付き添いが俺である事に文句を垂れていた。

見た目からして不審者が痛みを理由に寄りかかるなんてすれば直ぐに警察が飛んでくるだろうに随分認識が甘い奴だ。ったく。

 

「誰一人欠けんじゃねえぞ?お前らと居るとこっちも気が楽だ。」

 

「そっちこそ俺たちが居ない間に羽目外したりすんなよ?帰って来たら死んでましたなんて事になっては悲しみより先に呆れが出てくる。」

 

「けっ。馬鹿にすんじゃねえよ。………まあ努力する。」

 

「おいなんだ今のは。いや本当にやめろ、これはフリじゃないからな!」

 

駅も近づきいよいよ別れの時。

死ぬなよと言われたのでそっちもなと返すとどこか自信無さげな返事が返ってくる。

いや本当にやめて欲しいと強く懇願し俺は彼を見送った。

……なんでこれから死地に赴く俺が戦線離脱するアイツの心配をせにゃならんのだろうな?

 

 

 

 

 

 

見送りも終わり皆と合流すると目的のホテルへ向かう。

朝に移動するつもりがすっかり昼になっちまった。

とはいえまだ人通りも多い中、襲撃などあるはずもなく無事チェックインを済ませる事が出来た。

 

「それで、あとどれくらいは保つ?」

 

「帰りも計算に入れますと…今日入れてあと四日ですかねぇ。」

 

「まだ敵の親玉の所在も分からんというのに…どうしたものか。」

 

「おそらく水戸城跡なんでしょうが…敵の数が分からない以上迂闊に突撃出来ません。」

 

「リーダー一人でパブロフのとこにカチコミが正しかったか?こりゃ」

 

「言い出したのは俺だが無茶だろうな。そこで一つ策を提案しよう。パブロフの居場所が分かったのだからこれを利用して自称チンギス・ハーン陣営とぶつけ消耗を狙いたい。」

 

「なら次はそのチンギス・ハーンの廻り者の仲間を探せば良いんだ!」

 

「で、こっちでぶちのめした後に敢えてパブロフらの居場所を教えて誘導する。そうして消耗したところをこちらで叩く。」

 

「結構良さそうな作戦では無いですか。」

 

「ならばそれを頭に入れて早速今日の夜から俺は外に出る。」

 

「待て。ならば私も同行する。ここで一つ働いておかねば面目も立たんのでな。」

 

「それは頼もしい。では皆あとは任せた。」

 

無事に部屋に辿り着き一息つく俺たちだったがフーシェが示すタイムリミットによってすぐ動かねばならなくなる。

ただパブロフはともかく自称チンギス・ハーン一味の居場所が検討も付かず頭を悩ませる俺たち。

正直水戸城跡が拠点なのだろうがそこに突撃を仕掛けるには敵の数が分からず不安しか残らない。

ならばまだ敵の数が分かるパブロフの拠点を俺が単騎突撃した方が良かったのでは?と宋江がボヤくが俺はそれを否定し一つ策を提案する。

 

それは自称チンギス・ハーン陣営にパブロフの居場所を流し共倒れを狙うというものだ。

まず自称チンギス・ハーンの手下に当たる廻り者を探し出しボコボコにしつつこちらはパブロフ陣営を装い奴の拠点の居場所をバラし生かして解放する。

これを何度か繰り返して奴らがパブロフの拠点に攻め込んだらその混乱に乗じて両勢力の壊滅を狙う。 

これが一連の流れだ。

 

皆からの賛同を得た俺は早速今夜行動を開始する。

郅都が同行を申し出たため彼を連れ夜中ホテルを出る。

 

 

「あの場では言わなかったが私はあの策に反対だ。無辜の民に被害が出過ぎだ。彼らはパブロフの被害者でなんの咎は無いはずだ。」

 

「今更だな?」

 

「今更だとも。それで折れぬとわかっている。だからこそ問うておきたいのだ。」

 

「……タイムリミットも迫る中でこれが確実だ。パブロフも自称チンギス・ハーンもこれ以上生かしていればさらに被害を増やす。それに罪なき民の被害など以前のパブロフとの戦いで多く出ている。こちらが望まずとも彼方が好んで被害を出していくのだからもはや躊躇っている場合では無い。」

 

「それがお主の覚悟か。ならば私は目を瞑ろう。だが被害を許容するのは此度限りだ。」

 

「分かった。」

 

水戸城跡へ向かう最中、郅都から作戦に反対だと告げられた。

まぁ覆らないと分かって俺にそう告げるのはこちらの覚悟を測っているのだろう。

ならばそれに応えようと俺は覚悟を語る。

大のために小を捨てるというのは独裁者仕草が過ぎるがきっとヴラド3世ならば同じように言うはずだ。

悪魔と罵られようとも未来を歩むためにここで奴らを討つ。

赤の他人が介在する隙など無いのだ。

 

俺の覚悟を見た郅都は目を閉じ今回だけは黙認すると告げた。

俺は内心ホッとするとこの機を逃さぬよう歩を進める。

終局が近づきつつあった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

リィンカーネーションの花弁〜夢に囚われた狩人〜(作者:秋山悠人)(原作:リィンカーネーションの花弁)

男子高校生の灰夜雁人は仲良くしている扇寺東耶と共にとある事件に巻き込まれてしまった!輪廻の枝と呼ばれるナイフで首を切ると前世の才能を得られるという、不可思議な話を聞かされた灰夜と東耶はいったい、どうするというのか………!?(こんな明るく進む話ではありません)▼・この作品はリィンカーネーションの花弁という漫画作品とBloodborneというゲーム作品のクロスオ…


総合評価:228/評価:8.33/連載:15話/更新日時:2026年04月30日(木) 19:00 小説情報

猫は憑依者(作者:ゴロゴロ鼠)(原作:リィンカーネーションの花弁)

あの廻り者に憑依した男があの戦いをどう切り抜けるのかのお話。▼あの人油断しないで準備を万端にしてたらやられることは無いでしょと思ってます。▼X始めました。▼ゴロゴロ鼠▼https://twitter.com/gorogororat


総合評価:245/評価:8.83/短編:4話/更新日時:2024年08月19日(月) 18:00 小説情報

モルガンと行く冬木聖杯戦争(作者:座右の銘は天衣無縫)(原作:Fate/)

zero、stay nightにモルガン様ぶっ込んだだけ▼なお、異聞帯モルガンではなく、異聞帯モルガンのプロフィールから作者が推測した汎人類史のモルガンです。▼2021/7/29 zero編完結しました▼作者のTwitterこちら↓▼https://mobile.twitter.com/zayu_tennimuhou


総合評価:32997/評価:8.85/連載:54話/更新日時:2025年08月29日(金) 21:31 小説情報

転生したら第八王子だったので、早めに呪術を極めます(作者:三世)(原作:転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます)

▼ 俺は渋谷で宿儺に殺された……筈だった。▼ 目が覚めたら赤ん坊になっていて、術式は前世のまま、さらにはこの体やけに才能に満ち溢れている……▼ 渋谷での雪辱を果たすためにも、バカ目隠しを助けるためにも、とにかく早く前世に戻らなくては!!▼ 「転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます」と「呪術廻戦」のクロスオーバー作品です。呪術廻戦世界で生まれた主…


総合評価:1326/評価:8.48/連載:16話/更新日時:2026年04月28日(火) 00:00 小説情報

【速報】俺氏モブつきんちゅになる(作者:月面の蟹)(原作:超かぐや姫!)

モブつきんちゅになった俺氏のお話。▼ただし役職はかぐやの付き人(記憶取り戻し後も含む)とする。


総合評価:7713/評価:8.94/短編:10話/更新日時:2026年04月09日(木) 08:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>