ウマ娘二次創作SS集<奈良ひさぎ版>   作:奈良ひさぎ

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期限が危うく切れるところだったチケットを使い、温泉旅行に来たネオユニヴァースとそのトレーナー。そこで偶然、一人で星を眺めるついでに温泉を楽しみに来たアドマイヤベガと出会う。言葉は高度で隔たりがあれど、同じ星を愛する者として、通じ合う二人。姉妹の関係ともどこか似た二人の仲が、深まるひと時。


-・・ ・ ・- ・-・ / -・-- --- ・・- ・-・ / ・・・ ・・ ・・・ - ・ ・-・【ネオユニヴァース】

「トレーナー」

「ん、どうしたユニ……って、それ」

「福の神が、降りてきたね。これは、”邂逅(かいこう)”? それとも、『未知との遭遇』?」

「これは、あれだな。ユニが二回目に引いた温泉旅行券。覚えてない?」

「……”追憶”。ゼンノロブロイと、二人三脚……”買い出し”をしたとき?」

「そうそう。みんなで鍋作るからって食材とかいろいろ買ったから、結構な回数引いたような」

「”インナーブル”を狙うには、試行回数が大切。ところで、期限が近いけど、問題はない?」

「明日まで……! 使おう、今日から行けるかユニ」

「突然、これは僥倖(ぎょうこう)? ちょうど、ネオユニヴァースは”生まれ変わり”をしたい気分だったよ」

「よし、じゃあ三時間後に出発だ。その間に用意はできそう?」

「アファーマティブ。それだけあれば”POCK”だよ」

 

 

***

 

 

「それにしても、ユニ。前に比べて、だいぶストレートにいろいろ言ってくれるようになったよな」

「それは、”一度目”が、比較対象?」

「まあ、そうかな。あの三年ともうちょっと経ったけど、そのもうちょっとでまた変わった気がする」

「”報連相”は大事。別宇宙(アナザーバース)では、それができなかった。”伝達”が可能なら、トレーナーと交信すべき。そう教えてくれたのは、トレーナーだから」

「俺もネオの言うことがだいぶ分かるようになったし、嬉しいよ」

「『以心電信』。とっても、スフィーラだね」

 

 

「そろそろ着くけど、酔ってない?」

「”ALGN”。トレーナーの”航海”は、すごく上手だったよ」

「隣にユニを乗せてちゃ、下手なことはできないからな」

「その意味……トレーナーは、”わたし”のことを意識している? それとも、”ぼく”と重ねている?」

「どっちも、かな。この世界のネオには、幸せで溢れていてほしいし。時を超えて、時空を超えて、世界線を超えて……それで俺に会いに来てくれたんだとしたら、その想いには報いないといけないしな」

「トレーナーの気持ちは……”ビスマス”。だけど、”AIRY”でもあるね。応えるなら、湯上がりも”ランデブー”する?」

「そうだな。寝るまではいろいろ話そうか」

「”楽しい”をするのは、何度でも飽きないね」

 

 

***

 

 

「……え。どうしてあなたたちが、ここに」

「どうしてもこうしても、ユニが当ててくれた温泉旅行券、期限が明日までだったから」

「はあ……その様子だと、トレーナー室の片付けをしているところで偶然見つかったんでしょう。そんなに大切なものがずさんな管理で、本当にトレーナーが務まるの?」

「すみません……」

「”仲裁”。トレーナーは、アドマイヤベガと仲が悪い? それとも、夫婦喧嘩?」

「ふッ……夫婦!? ちがっ、……」

「違う違う、誤解だユニ。彼女の担当トレーナーと個人的に仲が良くて。よく一緒にメシに行く仲なんだけど、その縁あってトレーニングとかいろいろ見させてもらってるんだ」

「複数人のトレーニング管理……トレーナーは、”YOKN”なんだね」

「それほどでもないよ」

「私の目の前でのろけ話をしないで……」

「あぁごめん。それはそうと、あいつは? 一緒じゃないのか」

「今日は星を見に来たの。旅館も取ってあるけれど、基本は近くにテントを張って、そこで夜を明かすつもり。そのついでに、少しさっぱりしようと思ったの」

「なるほど」

「あの人は一緒に星を見たいとか、簡単に言ってくるけれど。ここはそう何度も来るところではないし、毎回振り回して、付き合わせるわけにはいかないから」

「あいつならどこへでも、アヤベについて行きそうだけどな」

「だからこそ、よ。あなたも、ユニヴァースさんも。一人の時間が全くないのは、嫌でしょう? だからあらかじめ断っておいたの。これは、私一人でやりたいことだから」

 

 

「アドマイヤベガ……今日は、ずっと”独立”をしたい?」

 

 

「え? えっと……」

「ネオユニヴァースは、アドマイヤベガと”対話”がしたい。それは不可能?」

「今の話、聞いてたの?」

「星座との”対話”は、喧騒(ノイズ)の排除をしたい。だけど、”OSN”は二人の方がもっと”楽しい”。アドマイヤベガは、賛同しない?」

「どうしてそんなに私に興味を示しているのか、分からないけれど……まあ、うるさくしないなら」

「アファーマティブ。ネオユニヴァースは、”大人しい”をするよ」

 

 

***

 

 

「……ここからでも、星が良く見えるわね」

「……っ!」

「……なに」

「ネオユニヴァースは、驚いた。語りかけが、積極的」

「私と一緒に入るって言ってきたのに、黙りっぱなしなのもおかしい話でしょう」

「”HMNN”……アドマイヤベガは、対話を望んでいる?」

「……私のどこが、気になるというの」

「”あなた”は、『やすらぎ』を得た? ”星”との対話を、最近はしていない?」

「……そうね。どこまで話すべきか、悩むけれど。あなたなら、全てお見通しかもしれないから、今さら隠してもあまり意味はないのかもしれないわね」

「”交信”は、心の隙間を埋めてくれる……でも、”さみしい”の声を、かき消してしまうこともあるから」

「あなたにそう言われると、やっぱり私のことがそう(・・)見えていたのでしょうね……囚われているような、取り憑かれているような。ううん、実際、取り憑かれていたようなものなのだけれど」

「聞いたことがある……”交信”の相手は、”ポルックス”?」

「やっぱり、そこまで知っていたのね」

「”星”は、まだ見える? それとも、”淀の坂”からは、見えなくなってしまった?」

「……いいの」

「……?」

「はっきりとは、見えなくても。あの子が見守ってくれているって、分かれば。それでいい」

「……星は、曇り空でも”わたしたち”を照らしてくれる。アドマイヤベガの考え方は、”MEVE”だね」

「あなたに肯定してもらえると。……なんだか、少し、嬉しいわね」

 

 

***

 

 

「ネオ。ちゃんと大人しくしてたか」

「大丈夫よ。話し相手になってくれたけれど、邪魔とは少しも思わなかったわ」

「アヤベがそう言うなら、いいんだけど」

「私が言うのもおこがましいのかもしれないけれど、あなたは担当のことをもう少し、信用してあげた方がいいわ。ユニヴァースさんだって、あなたと一生のパートナーになると誓ったくらいには、大人なのだから」

「それは、アヤベには言われたくないな。アヤベこそ、今はもう違うのかもしれないけど」

「私は……大丈夫よ。私は、もう私のために走っていい。あの子にすべてを捧げるのは、あの子自身も望んでいないから……そう、教えてもらったの」

「半分こ、だね」

「……ん、ええ」

「”かなしい”も、”さみしい”も、”うれしい”も、”しあわせ”も。”IYIM”のように半分こにできれば、とってもスフィーラ、だからね」

「……あなたが、望んでくれるなら。これからも、そうしましょう」

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