ハリー・ポッター×呪術廻戦   作:敗北者

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なんか、思いついた。


ハリー・ポッター×呪術廻戦ってマジ?

「なるほどそう来たか……」

 

 鏡の前に立つ少年は小さく呟いた。

 愕然とした、というよりは、予想はしていた、といった雰囲気だ。

 ゆえに彼に驚きは少ない。

 

 ──否。

 

 少なからず彼にとっても最も選択肢から外していたことには違いない。それは彼が未だに抜け落ちた表情のまま鏡を見ていることから間違いないだろう。

 

「ガワだけクロスオーバー……ってやつ? いくら流行ってるからってそりゃねぇよ。なんだよ、『僕、最強だから』とでも言えって? ははっ、ウケる」

 

 彼は鏡越しに()の存在を垣間見た。

 

 日本人離れした美貌。

 丸っきり色素が抜けたような白髪。

 見るものを引き込ませる仄かに輝くアクアマリンの瞳。

 

 11歳の子どもとは思えないほどに、それは美として完成されていた。

 街に繰り出せば、女性からは見惚れその美貌に陶酔し、男性からは嫉妬ないし羨望の目で見られるに違いない。

 

 特に平和な日本とは違い、少し道を外れれば危険の迫るここ『ロンドン』であれば、なにか良からぬことに巻き込まれる事態になりうる。

 

 しかし、ことトラブルにおいて少年は危険たりえるものではない。

 世間一般的な危険の枠組みを無視できる超越した力を彼は持っている。 

  

 だが、ここまで彼の()()で見た『呪術廻戦』に登場する作中最強キャラ──『五条悟』の特徴を引き継いでいるというのに、11になるまでに彼が気がつかなかったことには無論理由がある。

 

 一つは、この世界に呪術は愚か呪霊すらも存在していないのだ。

 そしてもう一つは、彼の今の特徴が、全て後天的であることに由来する。

 

 元からかなりの美形ではあったものの、日本人らしい黒髪黒目で、あぁ、確かに似てると言えば少し五条悟に似てる、と曖昧なものであったからだ。

 ならなぜ、彼がまんま似てしまったの理由は単純。

 

 事故に遭ったのだ。

 車に跳ねられたことにより、一時期生死を彷徨う。

 

 その際、脳に過度な負担がかかったことで、髪の毛の色素が抜け落ち、事故の衝撃で虹彩異色症が起こった。

 

 ──とまあ、公式記録ではそうなっているものの、実際は彼が『五条悟』の能力を手に入れるための布石だったに違いないのだ。

 

 そして、今彼は自分の変わった姿に驚愕しているのである。

 

「えぇ……。なんか事故直後から変な力使えるし変なもの見えるなと思ったら六眼と無下限呪術のせいかよ。だが、呪霊はいねぇし、ここ日本ですらねぇし、家は普通の一般家庭。……まじで意味わかんねぇ」

 

 一通り現状を嘆いた彼は、やはりガワだけクロスオーバーというジャンルものなのか、と判断した。

 では、なにとクロスオーバーしているのだろうか。

 

 彼は眩暈のする自問自答にふらつきかけたものの、郵便がやってきたため、一度思考を中断して取りに行く。

 

「宛先が俺? 嫌な予感すんだけど」

 

 宛先には慣れていないことが一目瞭然である崩れた日本語で、『一色(いっしき)悟様』と書かれていた。

 彼は胡乱な目付きでビリビリと乱雑に封を開け、中にある手紙を取り出し読む。

 

 

「うわーお、これはちょっと想像の埒外だ」

 

 悟は天を向いて白目を剥いた。

 

 そこには『ホグワーツ』という文字を読み取ることができた。

 

 そう。皆さんご存じハリー・ポッターである。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 ハリー・ポッター×呪術廻戦

 

 

 悟は眉間を揉んで、手紙に書かれていることに間違いがないことを理解し、魂まで漏れ出るほどの大きなため息を吐いた。

 

「俺の力ってどういう扱いなんだよ、めんどくせー。こちとら見た目が五条悟でも、中身はただの小市民だし目立ちたくない……ってわけじゃないけどさぁ」

 

 悟の承認欲求は比較的強い方である。

 だが、そのために他者を害することや、外道な手段を取ることはない。

 なにより、目立ちたいには目立ちたいが、悪目立ちすることは避けたいと考える小市民だった。

 

 

「あー、無下限呪術はギリギリ杖なし魔法で成立するけど……。六眼がなぁ」

 

 モノホンが無下限呪術をアキレスと亀、と評していたが、実際のところ何も考えずに説明だけをするなら、無限を操る技だという。

 これは説明が面倒、というか説明のしようがないから、そういうものだと思った方がいい。

 

 彼はまだ能力を手にして日が浅い。

 今は何となく程度しか操ることができないし、術式順転『蒼』すらもまともに行使できない。

 

 それはともかく、彼の言う六眼とは主に呪力の流れを見ることができるモノだが、この世界では魔法力や物の能力を看破する『鑑定』の力を担っている。

 勿論、原作のように無下限呪術を精密に制御することができる。恐らく、一部を覗き、呪力という概念は魔法力に変換されたのだろう。

 

 

「身の振り方を考えないとキツイな。それに、俺ってどこの寮配属になるんだか。勇気も叡知も狡猾さもないといったらハッフルパフ? いやいや、寛容さもねぇよ」

 

 性格診断により配属される寮の特色を振り返る悟だったが、いずれも自分に当てはまらないとかぶりを振った。

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 ──純血──

 

 

 純血といったら何が思い浮かぶだろうか。

 

 ことハリー・ポッターの世界観において、純血の要素によって左右する事柄は多い。

 

 ──純血至上主義。

 

 マグル生まれの魔法使いを差別し、穢れた血と称す。

 かのヴォルデモート卿も純血至上主義の典型的例であり、未だこの地に根付く重要な問題だ。

 

 悟自身は血で何かが変わることもないだろうに。それに、純血でもない俺が考える必要のないことだ、と思っていたのだが、両親が悟の持つ手紙を視認した途端、それは変わった。

 

 

「……悟、貴方は純血。魔法族である私たちの間に産まれた子なの」

 

 どうやら悟は純血らしかった。

 バックボーンもとい、両親の馴れ初め曰く、互いに産まれた家が憎み合っている一族に生まれた二人は恋をして紆余曲折の末に逃げて結婚したらしい。

 何ともラブロマンスの香りがする、と悟は恍惚とした様子で馴れ初めを話す母親に引きつつそんな感想を抱いた。

 

 ならなぜ、今の今まで両親が悟の前で魔法を使っていなかった理由は、単に視野を広くするためだ。

 自分たちの二の舞に合わせまいとするため、マグルの価値観で育て、いずれホグワーツから手紙が来た際に行くか行かないかを選ばせるのだという。

 そもそも、母の方は魔法の使えないスクイブで、父は元闇祓いのエリートらしかった。

 

 今の父はどこかの有名企業で働いてると聞いていたが、実際のとこはイギリス魔法省に勤務しているそう。戦いはしないけどね、と朗らかに笑っていたが。

 

 まあ、悟自身は純血であろうと別に考え方に差異が生じるわけでもない。

 

「まぁ、どのみち普通の学校に通っても退屈だし行くよ。ホグワーツとやらに」

 

 両親は心配げだったが、悟に行かないという選択肢は存在していなかった。

 

 ──目立てるチャンスだ!

 

 虎視眈々と彼は目立つための計画を練り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 ──ダイアゴン横丁──

 

 入学まで幾らかの猶予がある。

 もちろん、ダイアゴン横丁で教科書類を買い揃える必要があるが、その前に悟が行ったのは修行だった。

 

 正直今のままでは話にならないと判断したのだ。

 折角ガワだけでもクロスオーバーしているなら、最強とは言わずともできるだけ本当の五条悟に近づきたいものだ。

 ゆえに、彼は入学までの間にひたすら自分を苛め抜いて研鑽した。

 

 これは、修行の間の出来事である。

 

 

 ダイアゴン横丁。

 

 煙突飛行粉(フルーパウダー)でダイアゴン横丁にたどり着いた悟は、すれ違う人に好奇な視線を向けながら笑みを深める。

 今の彼の姿は、帽子にローブと実に魔法使い然とした格好であったが、目を鉢巻で覆っていた。

 

 別にこれは五条悟ロールプレイをしようという心積もりではなく、()()()()()()()()六眼対策である。

 使いすぎると体調が悪くなる程度で済むが、できるだけ往路で倒れるようなことは避けたい。

 ゆえにサーモグラフィ効果もある六眼にて視界を補っている。

 

 マグルの街では、こんな格好をしていれば多少なりとも怪しまれるが、生憎とここは魔法界である。悟程度の格好では見向きもされないだろう。

 

「喜んで良いんだかな……」

 

 微妙な気持ちのまま、彼は一番始めに『オリバンダーの店』へと向かう。

 彼の杖を見繕ってもらうためである。

 悟は杖がなくとも構わないのだが、魔法を学びに来ている以上買わなくてはいけない。

 郷にはいっては郷に従えという諺がある通りだ。

 

 表情にはおくびにも出さない。

 しかし彼は、多少なりともハリー・ポッターを前世で嗜んでいる。故に、杖選び──否、杖が選ぶ現象に興味を抱いていた。

 

「さて、どんな杖が俺を選ぶかな」

 

 悟は端正な顔立ちをニヤリとあくどい笑みで歪めた。

 

 

 

 

 




気が向いたり、続きが欲しい人が多かったら多分書きます。多分。
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