ハリー・ポッター×呪術廻戦   作:敗北者

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続きが思い浮かんだので書いてみた。


杖が使い手を選ぶって格好良くない?

「ようこそ。オリバンダーの店へ。おや、ホグワーツの新入生かい?」

「そうですね。俺を選ぶ杖を探しに」

「ほう、貴方は杖というものを良く知っているようじゃ。こちらに」

 

 悟が足を踏み入れると、木材の漂う香りが彼を迎えた。

 不快になるような香りではなく、上品で、どこか懐かしさのようなものも感じた。不思議で神秘的な場所だった。

 店内は杖の箱や書物で雑多であったが、却ってそれが雰囲気を醸し出していると、悟は思った。

 

 人が杖を選ぶのではなく、杖が人を選ぶ。

 昨今の魔法使いや、闇の魔法使いは杖をただの道具であるとしか思っていない者が多い。

 しかし、そういう者こそ杖に嫌われ、杖に裏切られる。

 

 ロン・ウィーズリーが兄から譲り受けた杖を扱えなかったように、人が杖を選ぶわけではないのだ。

 

 店主、オリバンダーは、それを理解した上で杖を買いに来た悟に、満足げな笑みで出迎える。

 

「さて、俺という存在を選ぶ杖は存在するかな」

 

 が、この一言で彼は失望する。

 杖が人を選ぶことを分かっていながら、悟の発した言葉は酷く傲慢なものだったからだ。

 杖と人は一心同体。ともに成長し、ともに戦うのだ。

 だからこそ、彼のような傲慢な物言いはオリバンダーにとって悲嘆しうるに値するものだった。

 

(ガワだけでも五条悟になったからには、彼に見合うだけの存在になりたい。例え能力的に杖が必要じゃないとしても、ハリー・ポッターの世界だ。何が起こるかも分からない)

 

 悟とオリバンダーの心はすれ違っていた。 

 悟にとって、『杖購入』というイベントは、自身の存在をある意味定義することのできるものだ。

 使い手の性格、魔法使いとしての資質。

 組分けと同様に、ハリー・ポッター世界においては重要なイベントなのだ。

 彼は傲慢になっているわけではなく、()()()()()()()()()()()()()()()が、不安なだけだ。

 

 つまりは『俺という存在』=『五条悟』に変換。

 とどのつまり、転生していることを知らないオリバンダーに理解することは到底叶うわけもなく、意味深なことを呟く悟の悪い癖である。

 

 

「……では、こちらを。ニレの木に、ユニコーンの毛の芯材……おっと、手を離して!」

「……!!」

 

 悟は手渡された杖から火花が飛び散り、驚く気持ちを落ち着かせる。この姿で情けない悲鳴をあげるのは何か違う、というプライドの表れである。

 

(ふむ、傲慢で一本筋のある者ならニレの木は相性が良いのだが……彼は違うのか)

 

 一方のオリバンダーは、ニレの木と悟の相性が悪かったことに驚いていた。

 ニレの木は絶対というわけではないが、純血の魔法使いを選びやすい傾向にある。その点からも良く言えば品性が、悪く言えば純血主義者の傲慢な者が手にする確率が高い。

 そのため、悟と相性が良いと考えたオリバンダーであったが、その考えを改める。

 

(一つの発言で者の性格を決めつけるのは良くないじゃろうな。儂も耄碌したか)

 

 オリバンダーは真剣に杖を選び始める。

 杖が人を選ぶ。しかし、杖の数は膨大で、真なる持ち主に出会えるかどうかは分からない。オリバンダーは杖を真なる持ち主に送り届ける橋渡しを務めているのだ。

 彼の選ぶ杖に、間違いはない。

 例え、選んだ先の道が闇の魔法使いであっても。

 

「少し危険じゃが……イチイの木にドラゴンの心臓の琴線……おっと、これもダメ」

「……なかなか選んでくれませんね」

「そういうものじゃ。人にとっても、杖にとっても持ち主というのは特別なもの。杖が慎重になるのも無理はない」

 

 それもそうか、と悟は逸る気持ちを押さえつけた。

 そして、何回か杖が悟の元にやってきて──どれも拒絶された。

 

 10回目の試行。

 オリバンダーは数十年ぶりに緊張が走る。

 

(これは……いや、恐らくこの国の者でない彼なら……)

 

 オリバンダーは、店の奥より一本の杖を取り出した。

 

 杖の長さ34.5cm。

 一般的に言うと、少し長めの杖だ。

 

 何より特徴的なのは杖がうっすらとピンクに色づいていることだ。

 そこに女子的な綺麗さはなく、妖艶で酷く惹きつける美しい杖があった。

 思わず悟も目を惹かれる。

 それほどまでに杖は美しかった。

 

「──サクラの木に、セストラルの尾毛。西洋だとサクラの使い手はほとんどいない。じゃが、とても強力で美しい。この杖の妖艶さに拍車をかけているのは、芯材に使われているセストラルの尾毛。普通の木材であればそのようなことはないのじゃが……サクラの木と合わせることで、杖に儚さを足している。この杖はまた頑固者でな。この店に来てから一度も尻尾を振ったことがない」

「へぇ……綺麗だな」

 

 悟は思わず、と言った様子で口調を崩す。

 気を抜くと取り憑かれそうになる魔性の杖。普通であれば躊躇うが、悟は差し出された杖を躊躇なく握る。

 

「……なっ!?」

 

 ──花びらが舞い落ちる。

 金色の光とともに降り落ちてきた花びら。

 薄いピンクの美しい花は、サクラだった。

 

「くっ……ぐ、この……!」

 

 ──そんな幻想的な光景に目を奪われることもなく、悟は杖を握っている右手を左手で押さえつけていた。

 それは、杖が未だ持ち主と認めてない証拠だった。

 

 相性はすこぶる良い。だが、お前は持ち主足りうる存在なのか、と試されているようだった。

 

「生意気じゃねぇか……!! てめぇが俺を選ぶまで、幾らでも付き合ってやるよ……!!」

 

 悟は修行したての無下限呪術を発動させる。

 力の収束。それを、杖と手を押さえつけるために小規模で発生させる。自分が傷つこうが厭わない。

 繊細な力のコントロールのため、悟は目隠しを頭を振って取り払う。

 

 六眼の発露。

 刹那、悟は杖の()を視た。

 

 ──寂しい。

 

 杖のピンク色とは裏腹に、杖は悲しみが彩っていた。

 長らく味わった孤独。杖にとって、持ち主が現れないということは、必要とされていないということだ。

 だからこそ、孤独の脱却を願う。

 しかし、杖は現に悟は拒んでいる。

 

 

「──お前、ただのツンデレじゃねーか。さっさと大人しくしないと置いてくぞ」

 

 ──杖は抵抗を止めた。すこぶる素直である。

 

「……なんと。言葉のみで杖を落ち着かせるとは。貴方は杖の本質を見抜くことができるようじゃな」

「……そんな大層なもんじゃねーよ。寂しがり屋なくせに、一丁前にプライドがあるだけだ。人間と変わんねぇ」

 

 悟は気づかぬ内に敬語が剥がれていた。

 そこに見下す意図はなく、むしろ、杖と同様に、自分を出すには取り繕うことは止めようという算段だ。

 

 杖を手にした。

 自分だけの杖を手に入れた悟は、とあることを誓った。

 

 強くなる。

 

 ──そのために五条悟ロールプレイをしよう!!

 

 

 なぜだ。

 

 




ロールプレイとか言っておきながら、学生五条悟と五条先生と混ざって、結局別物になりそうだな、コイツ。
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