出航! Lyrical Gyze   作:ゆるポメラ

1 / 15
ゆるポメラです。
活動報告でお知らせした通り、連載する事にしました。
更新速度は遅いかもしれませんが、よろしくお願いします。

それではどうぞ。


第0話 羽根山ソラ

ここは越中國富山にある御巳学園(おみがくえん)。高等科3年の教室にて。

 

「……」

「起きて」

「…………」

「もう、授業終わってるよ?」

「…………はぇ?」

 

いけない。居眠りをしてしまったとばかりに、自分を起こしてくれた少女、一導寺(いちどうじ)ユキを見る。

 

「でもボク、ちゃんとノートは取ってたし、大丈夫だと思うんだよね?」

「そこはグレーラインかなー? 友人としてはセーフだけど、クラス委員としてはアウトだからね、ソラ?」

「ガーン………!?」

 

そう軽く涙目でユキを見る少女……否、少年、羽根山(はねやま)ソラ。

 

「よよよ……大目に見てよ、ユキ生徒会長様~……(チラッ)」

「ふふ、だーめ♪」

「…う、うぐぅ……試作品の手作りデザートあげるからぁ~……」

「……しょうがないなぁ。今回だけだからね?」

 

そんな話をソラとユキがしていると……

 

「おーい、ソラ、ユキ。お昼一緒に食べよー?」

「ちなみに今日は、購買に色んなのが揃う日だよ~」

 

同級生の蒼山(あおやま)カナ、板端(いたばし)ユイが声を掛けてきた。

 

「え? 購買戦争の日じゃん! こうしちゃいられない! 先に3人で屋上に行ってて~!」

「あ! ソラ、廊下は走らない!」

 

それを聞いたソラは真っ先に走りながら、教室を出ていった。ユキが注意するが、多分届いてないだろう……

 

「行っちゃったねー」

「まあ、いつも通りだね~♪」

「なんだかんだで、クラスのみんなも見慣れてるから」

 

すると隣のクラスの男子生徒が誰かを探しにきたのか教室に入ってきた。

 

「あ、一導寺?」

「ん、何?」

「羽根山、どこに居るか知らね?」

「ソラ? ついさっき購買に行ったけど……」

 

ユキがそう答えると、男子生徒はあちゃ~とばかりに頭を掻きながら……

 

「そういや今日は購買戦争の日だったな。俺、先週から()()()()()()を始めたんだけど、羽根山にお礼を言っておきたくって」

「へー、そうなんだ。うちのクラスもヴァンガードを始める人が増えたよねー」

「なんか噂で、先生達もやってるみたいだよ~」

 

ヴァンガードとは今世間で流行ってるカードゲームの事で、ユキも去年辺りから始めており、カナとユイも同じ時期にヴァンガードを始めている。

 

そのお陰で色んな出会いや出来事があったのだが、今ではこの学園の生徒の殆どがヴァンガードをやっており、生活の一部になっている……

 

ちなみにソラは入学前からやっており、この学園だと彼が一番の経験者だ。

 

「そういや、羽根山ってデッキ持ってんの?」

「ううん、ソラは自前のデッキは持ってないよ。ね?」

「うん。ソラはいつもカードショップのレンタルデッキだよ? それでも負けないし」

「自前のデッキを作った~なんて言ったら、私達の間だと天変地異かも~」

 

男子生徒の質問に答えるユキ。

そう、不思議な事に、ソラは自前のデッキを持っていない。レンタルデッキを使うのだが、それを使っても負けないのだ。

 

大袈裟かもしれないが、ソラが自前のデッキを作ったなんて言った暁には、ユイの言う通り『天変地異』だろう……

 

多分、自分達の行きつけのカードショップに通ってる、ユキ達の知り合いも自分達と同じ事を言うのは間違いない。

 

「こらー! 羽根山! 廊下を…………飛ぶなーっ!?」

「「「(え? 走るなじゃなくて、飛ぶな……?)」」」

 

そんな時、廊下から教師の声が響く。走るなではなく、飛ぶなとはどういう意味なのか?とユキ達が首を傾げると……

 

「あー……羽根山のやつ、購買で買いたいやつの為に2()()()()()()()()()ショートカットしたな。ありゃ……」

「「「……え、ええええええっ!?」」」

 

男子生徒の言葉に衝撃を受けた3人なのであった。

 

 

 

 

「ふんふ~ん♪」

 

購買での戦争に無事に勝ち、上機嫌に鼻歌を歌うソラ。

 

「そういえば、ウララからメールきてたけど……なんだろ?」

 

ソラには、中学2年生の妹がいる。購買戦争の最中にスマホが鳴ってた気がしたので内容を確認する。

 

『お母さんから聞いたんだけど、お兄ちゃん、休みを利用して、こっちに帰ってこれるかもって本当!?』

 

という短い文章だが、色々話したいよーというのが伝わってきた。

 

ソラは訳あって、富山に住んでいるのだが、家族との仲が悪いというわけではない。寧ろ、良い方である。それこそ妹であるウララからは、自分が御巳学園に入学した時から連絡が来る程。

 

「これでよし♪」

 

妹にメッセージを返し、スマホをポケットにしまう。そしてユキ達が待ってるであろう、屋上に向かおうとした時……

 

『汝、我の声が聞こえるか?』

「……え? 誰?」

 

謎の声が聞こえたソラ。そして気づいた時には、既に彼の身体は謎の光に包まれてしまっていた……

 

 

 

 

「うーん……ここは……どこ?」

 

さっきの声と光は何だったんだとばかりにソラは起き上がり辺りを見渡す……真っ白で虹色の渦のような物体が周囲を徘徊してるだけだった。他は特に何も無い。

 

強いて言うなら、上空と思われる背景が、宇宙?と思わしき星がキラキラと輝いているが。

 

『此処は汝の精神世界。同時に上空の光景は、我が眠りについていた空間なり』

 

そう言ってソラの質問に答えながら、姿を現したのは、人・竜・悪魔・機械人形、あらゆる種族とも取れる異形の巨人だった。

 

「あ、もしかして、惑星クレイで伝承だけ残っている破壊神?」

『然り。我は、創世神メサイアと対をなす、破壊の竜神なり』

 

どうやらこの巨人……もとい竜神は、ヴァンガードの世界の歴史におけるユニットの中でも恐れられている破壊神のようだ。

 

「その竜神がボクに何か用?」

『我の力を正しく扱える其方(そなた)に先導者になって頂きたい』

 

先導者……簡単に言うと、ソラに自分を扱う所持者になってほしいという竜神。

 

「いくつか質問いい?」

『我に答えられる質問なら喜んで聞こう』

 

なんか紳士的な感じがする竜神。巨体の癖に丁寧に正座までしたので、思わずソラは笑いそうになるが、それを堪えて自分もその場に座る。

 

「まず1つ。クレイの歴史だと貴方は消滅させられたと書いてあったけど、今の貴方は精神体?」

『正解でもあるが、不正解でもある。この上空の背景こそが我の眠りについていた居場所なり』

「あー、だから上空の背景が宇宙空間になってるんだ……」

 

要は消滅したのは事実だが、宇宙空間のような場所で眠りについてたとの事。心象風景みたいな感じかな?とソラはとりあえず納得した。

 

「じゃあ次。ボクは貴方が誕生した理由は憶測で知ってるけど、目覚めた理由に心当たりがあったりする?」

『我にも断言できないが、心当たりはある。其方に先導者になってほしい理由の1つでもある』

 

そう答える竜神は、1枚のカードをソラに見せた。

 

「これって……トリクスタ? トリクムーン? でも()()か……それに種族はタリスマンって書いてあるし……」

 

ソラの知り合いに近導(こんどう)ユウユと御薬袋(みなえ)ミレイがいるのだが、その2人が持つカードに似ているのだ。

 

『我を目覚めさせた心当たりだ。その者の記憶を辿ってみたが、この我が初めて"怒り"の感情をもった程だ』

「それって貴方やメサイアが居なくなった後の『祈り無き時代』か現在の『天輪聖紀』?」

『左様。今のクレイを観測してみたが、この者の存在を無かった事にしている』

「……あー、やだやだやだ。どこの世界も一緒か」

 

都合の悪い事は揉み消す。惑星クレイでも一部の国家がやってるのを竜神は観測してきたらしい……

 

「…この子がそうなった理由って、緑色だからっていうのも含まれてそう」

『ほう。何故だ?』

「惑星クレイだと、どうかは知らないけど、緑色って、癒される色である反面、他の国では毒をイメージする色でもあり不気味さを表す色でもあるだって」

『その見解ならば、我も心当たりがある。空に浮かぶクジラとは良き友であったのは確かだ。それこそ"生涯の友"と呼べる程に』

「空を飛ぶクジラ……リリカルモナステリオしか心当たりがないね。」

 

なんと第6国家、『リリカルモナステリオ』と関わりがあると言うのだ。

 

「じゃあ最後の質問。なんでボクじゃなきゃいけない理由を教えてほしい」

 

さっきの竜神の言い方だと、自分じゃなきゃ駄目な理由があるように聞こえたからだ。

 

『先程も申したが、我の力を正しく扱える。そして何より……』

「何より?」

『縛られず、我が道を行き、忘却の者すら寛容に受け入れる……それが我が確信した所以』

「ふーん……」

 

確かに自分はデッキを構築する時も、自由な節がある。よくユキ達から『よくその構築で勝てるね』と言われるくらい。

 

「オッケー。いいよ」

『そんなあっさりで良いのか? もし条件があるなら聞こう』

「えー、条件? お互いによろしくって事で♪」

『……やはり我の選択は間違っていなかったようだ』

 

ソラの答えに竜神は安心したかの声で、先程のタリスマンのカードを含めた7枚のカードを彼の前に出現させた……

 

『それは我らの力を、今の時代に合わせたものだ』

「どれどれ。あ、全部デッキに1枚しか入らないんだ。そりゃそっか! こんなに凄い効果をしてるんだから」

『もう察しがついている思うが、それだけでは我らは戦えぬ……』

「だろうね。ぶっつけ本番で使ってみるよ♪」

『最後にこれも授けよう……』

 

それは竜神の紋章が記されたスリーブが4枚。これは多分、ライドデッキ用だろう。

 

「わー♪ カッコいい♪ ありがたく使わせてもらうよ」

『我が先導者、羽根山ソラ。我らは其方と共に………』

 

そう言い残すや否や、再びソラの身体は光に包まれるのであった。

 

 

 

 

「あれ?」

 

次に気がついた時は、階段の踊り場付近に居たソラ。確かユキ達とお昼ご飯を食べる為に、屋上に向かう最中だったっけと。

 

「さっきのは夢…………じゃないみたいだね」

 

精神世界で竜神から受け取ったカードがソラのサブデッキケースに入っていた。

 

……夢ではないようだ。

 

「今日の帰りに、ユキちゃん達とショップ行こうかなー♪」

 

今日の帰りに行きつけのカードショップに行くと話してたので、ストレージケースにあるカードを見てみようと思うソラなのであった。

 

余談だが、屋上に着くなり、ユキ達に購買戦争の為だけに2階から飛び降りた件について軽い説教とお小言を言われるのは別の話。




読んでいただきありがとうございます。
更新はゆっくりとなりますが次回もよろしくお願いします。
本日はありがとうございました。

※主人公の簡単なプロフィールです。


羽根山(はねやま)ソラ

容姿イメージ:『Kanon』の月宮あゆ

身長:162cm

年齢:本人曰く、16歳と17歳の間らしい。

誕生日:2月12日

血液型:A型

一人称:ボク

使用国家:『ギーゼ』、リリカルモナステリオ

ライドデッキスリーブ:ギーゼの紋章。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。