出航! Lyrical Gyze   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
前回の続きになります。

それではどうぞ。

※この作品の予告も最後に書いてみました。予告BGMは『Divinez』風をイメージしてもらえれば幸いです。


第1話 放課後、そして休日へ

そして放課後。

 

「カナちゃんとユイちゃん、大丈夫かな~?」

「まぁ、2人もなんだかんだで忙しいから。でも終わったら直ぐに行くって言ってたし」

 

ソラとユキは2人で雑談をしながら、行きつけのカードショップに向かっていた。ちなみにカナとユイは遅れて来るそうだ。

 

「そういえば、ラセン君は?」

「もう先に着いてるって」

 

ユキには高等科1年生の弟、ラセンがおり、彼女がヴァンガードを始める切っ掛けも面白い。

それは『弟に彼女ができた』と勘違いして、こっそり尾行してみたら、現在進行形で向かってるカードショップだったというオチだ。

 

当時それをユキから聞かされた時は、ソラも軽く笑ってしまったくらい。

 

「今日の夕飯、何にしようかな~? ユキちゃん家は?」

「昨日のカレーと、何かおかずを買おうかなって思ってる。ソラは?」

「ん~……3日前に作ったロールキャベツが余ってるから、それとおかず買って行こうかなと」

「あー、カナとユイにも好評だったソラの手作りのやつか。手間がかかるんでしょ? ロールキャベツって……」

「確かに手間はかかるけど、最近はスーパーにも売ってるから、カードショップ寄った帰りに見てみる?」

「あ、それは私も気になるかも。……ところで、朝から気になってたんだけど……その厳重そうな荷物は何?」

「これ? まだ秘密~♪」

「……(もしかして、手作りのお菓子だったり?)」

 

ふっふっふっと意味深な笑いを浮かべるソラ。

対して、ユキは彼が朝から持ってきた荷物の中身が手作りのお菓子なのでは?と予想していた。何故ならソラは家庭科の成績が御巳学園の中で、学年トップに近く、クラスのみんなによく試作品の差し入れを持ってきてくれる時があるのだ。

 

そんな事を話してると、行きつけのカードショップ、『紙札屋(かみふだや)桜扇(おうせん)』に辿り着いた。

 

「「こんにちはー」」

「いらっしゃい! おっ、噂をすれば影ってやつか?」

 

入口のドアを開けると、豪快な男性の声が店内に響いた。

 

「あ、お姉ちゃん、ソラさん」

「こんにちは、ラセン君」

 

ユキの弟である、一導寺(いちどうじ)ラセンがこちらに気づいたので、ソラも手を振る。

 

「? ゴウセツさん、噂をすれば影って?」

 

先程の豪快な男性……この店のオーナー兼店長である葛飾(かつしか)ゴウセツにユキがさっきの言葉はどういう意味なのか?と首を傾げながら訊く。

 

「ソラ君と一緒の時のユキちゃんは、家でも見せない嬉しそうな表情するって、ラセン君と話しててな!」

「……」

 

その言葉を聞いたユキは、ラセンの方に向き……

 

「ラ~セ~ン……!」

「痛い痛い!」

 

顔を赤くしながら、ラセンにぐりぐりをかまし始めたのだ。

 

「ユキちゃん、照れてるのかな~?」

「わっはっはっは! 合ってるけど、少し違うんだよな!」

「そうなんですか? あ、ゴウセツさん、これ差し入れです」

「お、ソラ君手製のホールケーキじゃねえか。よし、店の冷蔵庫に入れとくか!」

 

じゃあどういう意味なんだろう?と首を傾げながら、ソラはゴウセツに例の物を渡す。

 

「そういえば、マサルは? 真っ先にソラにファイトをしようって飛び出してくるのに」

「お姉ちゃん……痛い……」

 

キョロキョロと店内を見渡すユキ。未だにラセンをぐりぐりしているが。

 

「今日はまだ来てねえぞ。確かに見慣れてる光景だから、俺らも違和感はあったけどな」

「あー……そうですね。ソラ、良かったね? 今日はゆっくり……」

「さーて、ストレージコーナーにある、リリカルモナステリオのカードを探すぞい!」

「あはは、聞いてないし……」

「わっはっはっは! カードに夢中で聞いてねーみたいだな!」

 

ストレージコーナーでお目当てのカードを探し始めたソラを見て、苦笑いのユキに対して、ゴウセツは大笑い。

 

「そういえば、ソラさんがヴァンガードを始めた切っ掛けってなんですか?」

 

ようやく姉のぐりぐりの刑から解放されたラセンが、ふと気になった事をソラに訊く。

 

「ラセン君には教えて……なかったね。えっとね、別に誰かがやってたから始めたじゃなくて、カードショップに来ていたお客さんがヴァンガードをやってたから、記念にトライアルデッキを買っただけなんだよ」

「そのショップに偶然来ていた廻間(はざま)ミチルとファイトして、ソラ君が勝ったって話だろ? 俺もその時、2人のファイトを見ていたから憶えてるよ」

「ええええええっ!?」

 

ソラの言葉に続いて、ゴウセツが説明する。それを聞いたラセンは驚きの声を上げる。

 

「俺が帰った後も2人でファイトしてたけど、結局どのくらいやってたんだ?」

「そうですね……えっと、休憩時間の談笑も入れれば……()()()()()()までやってましたね。その頃はミチルがトップファイターって事すら全く知らなかったんですけどね?」

「「それはそれで凄い……」」

 

閉店時間までファイトをしてた事実に驚くユキとラセン。会話の中で出てきた廻間ミチルは、元アンダー20世界王者で、実力も高い。また彼に憧れる人も多い程だ。

……今は一部の人しか真相を知らないが、現在ミチルは入院してるのだ。その事はソラも知り合い経由で知ってる為、公に口に出さず黙っている。

 

「あ、このトリガーユニットカード、どの国家でも入る! 4種類買っておこ」

 

ストレージを探していると、どのデッキの国家でも入るトリガーユニット、『ライトエレメンタル パチリ』、『アースエレメンタル ガララ』、『ヒートエレメンタル マーグ』、『ウッドエレメンタル リーフィ』を発見したソラ。

 

早速、この4種類を必要枚数の4枚購入する事に。

 

「ゴウセツさん、このトリガーユニット16枚とリリカルモナステリオのトライアルデッキを1個ください」

「はいよ! 毎度あり!」

 

ついでにリリカルモナステリオの新しいトライアルデッキも買う。

 

「ユキちゃーん、このトライアルデッキ軽く回してみたいから、お相手よろー」

「うん、いいよ」

 

この後、遅れてきたカナとユイも合流して、みんなでファイト三昧だった。

 

 

 

 

次の日。金澤駅にて。

 

「んー、この場所も久しぶりだな~」

 

今日は休日なので、ソラは加賀國金澤へ遊びにやって来た。一応、事前に家族に連絡はしておいてある。

 

「お兄ちゃーん!」

 

聞き覚えのある声。

妹のウララだ。わざわざ迎えに来てくれたのだろうか?

 

「ただいま、ウララ。迎えに来てくれたの?」

「うんっ! お母さんにお願いして、私がお兄ちゃんを迎えに行くって代わってもらったの!」

「そ、そうなんだ……(母さん、ウララの気迫に負けたんだな)」

 

そういえば、電話で母が『もしかしたらウララが1人でソラを迎えに行く』って聞かないかもしれないみたいな事を言ってた気がする。

 

「この後どうしようか? お昼ご飯には早いし……ウララは何処か行きたいところある?」

「カードショップに行きたい! 今日、お姉さまがバイトする日なんだって!」

「…あ~。メグちゃん、バイトしてみようかなみたいな事を言ってたね。そういえば」

 

ウララが言う『お姉さま』とは、大倉(おおくら)メグミの事だ。

 

「向こうに着く頃には、いい時間帯かもね。えーっと場所は……」

 

確かメグミがバイトしているカードショップは『ストレイキャット』という場所だった筈。

 

「それじゃ行こっか?」

「あ、お兄ちゃん、手を繋いでもいいかな……?」

「? しょうがないな……はい。これでいい?」

「えへへ……♪」

 

妹のお願いで、手を繋いであげるソラ。こういう甘えん坊なところは相変わらず変わってないなと思いながら、2人で向かうのであった……

 

 

 

 

金澤駅から歩いて20分くらいだろうか? ソラとウララは、目的地のカードショップ、『ストレイキャット』に辿り着いた。

 

「いらっしゃいませー……って、ソラ! ウララちゃん!」

「やあ、メグちゃん」

「こんにちは」

 

店内に入ると、受付をやっていた大倉(おおくら)メグミが出迎えてくれた。

 

「今日は兄妹でお出かけ?」

「はい♪ お兄ちゃんがこっちに遊びに来てくれたんです♪」

「今朝こっちに着いて、ウララが駅まで迎えに来てくれて、そのまま寄った感じ」

「へ~、ユキ達は元気?」

「元気だよ~。今日は友達に巻き込まれて、スイーツを食べに行くってさ」

 

ちなみにメグミもユキ達と知り合いなのは言うまでもない。

 

「休日だから、お客さんもたくさん来てるね~」

「まあね。あ、ファイトテーブルなら、ちょうど奥の方が空いてる筈だから、そこ良ければ使ってね?」

「分かった~。ウララ、行こっか?」

「うん♪ お姉さま、バイト頑張ってください」

「ありがと~♪(微笑ましいな~、あの二人を見てると)」

 

奥の方にあるファイトテーブルに向かうソラとウララを微笑ましそうに見送りながら、メグミはふと思った。

 

「(あれ? ソラって、レンタルデッキとか使わないのかな……? まあソラが自前のデッキを使うなら、天変地異の出来事だけど……)」

 

考え過ぎかなと再び仕事に集中するのであった……

 

「ラッキー♪ スタンディングファイトテーブルだ♪ 人も少ないし、ここでやろっか?」

「う、うん……」

「そんなに緊張しなくてもいいのに。大きな大会に出る訳じゃあるまいし」

 

何故か緊張してるウララにソラはいつもの表情で返す。妹は何気に最強を決める大会『デラックス』や『デラックス2』、また加賀國の霊地、魄山にヴァンガードの未来を決するメンバーにも選ばれてたりするので、色んな意味で有名人だろうに。

 

「ち、違うの。お兄ちゃんとファイトなんてするの初めてだから……」

「あれ? そーだっけ?」

「む~!」

 

頬を軽く膨らませながら、ライドデッキを置き、メインデッキをシャッフルするウララ。

 

「あれ? お兄ちゃんのライドデッキスリーブ、なんか不思議なデザインだね」

「カッコいいでしょー☆ 何かの特典で貰ったんだ~。デッキも()()だよー」

「へぇー、そうなんだ~♪」

「そうなんだよ~♪」

 

ライドデッキスリーブや自前のデッキだと答えるソラに反応を示さないウララを見て、あ。どういう意味か知らないな?と察する。

 

「ボクは2枚、手札を交換するけど……ウララは?」

「えっと……私は3枚!」

 

シャッフルと最初の手札交換を終えた2人は、お互いにライドデッキからファーストヴァンガードをセットする。

 

「「スタンドアップ・」」

Z(ゼット)

「「ヴァンガード!」」

 

そして今、羽根山兄妹によるファイトが開始されるのであった。




読んでいただきありがとうございます。
次回、この作品初のファイト回です。頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。


※次回予告

兄であるソラとの初ファイトに心躍らせるウララ。
ところが彼のデッキは、ファーストヴァンガードも含めた、ライドラインが知らないユニットばかりで……
そしてウララは、ソラの実力とデッキの力の一端を目撃する……

────次回、第2話『トリクハート』
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