前回の続きになります。
それではどうぞ。
ファイトを終えた羽根山兄妹。
「うう~……あのスキルは予想外だったよぉ~……」
「まーまー、次やる時に気をつければいいじゃん♪」
お互いに感想を言う2人。
「ファイトしたら、甘いもの食べたくなったなー……パフェでも食べに行く?」
「行く!」
ウララの表情が明るくなる。やっぱり女の子は甘い物でも好きなんだろうか?
「メグちゃんは……ちょっと忙しそうだね。ウララ。メグちゃんに挨拶していくなら、ここから徒歩で3分の場所にある自販機前でボク待ってるからね?」
「うん、わかった」
ソラはウララに店の外から徒歩で3分の場所にある自販機前で待ってるからと言うと、先に店を去って行った。
ちょうどそのタイミングで、メグミの手が空いたようなので、ウララは挨拶に向かう……
「あの、お姉さま。そろそろ帰りますね?」
「え、もう? あれ? ソラは?」
「お兄ちゃんなら、お姉さまが忙しそうだからって、先に行きました」
「まあ、そこは確かにソラらしいというか……」
彼の性格上、さり気なく気を遣うところがある。そこも仲間達から好かれるところなのだが。
「この後はどこか出かけるの?」
「はいっ♪ お兄ちゃんとパフェを食べに行くんです♪」
「そっかそっか♪(こういう表情をする時のウララちゃん……やっぱりソラに似てる。雰囲気もそうだけど)」
当時ソラには妹がいると聞いていたメグミ。それがウララだったのは、正直驚いたのは今でも憶えてる。第一印象として、お互いに髪色が違うからだ。
それでもこの2人は、周りから微笑ましい兄妹として見られる。
「そういえば、ファイトはどうだったの?」
「あはは、負けちゃいました……」
どうやらファイトの結果は、ウララが負けてしまったらしい。
「お兄ちゃんとのファイトするの今日が初めてで……
「? そうなの?(ウララちゃんが知らないカード? でもソラって、レンタルデッキしか使わない筈だけど……)」
知らないカード、という言葉にメグミはソラがそんなカードを使った事あったか?と考え込む。その前に彼はレンタルデッキしか使わない筈だが?
「でも凄く楽しかったです♪
「…………はい?」
ウララはなんと言った? ソラが自前のデッキで相手をした……?
「では失礼します」
「ウララちゃん、ちょっと待っ……」
「ふんふ~ん♪ パフェ~♪ お兄ちゃんとパフェ~♪」
そして何事もなかったかのように、スキップをしながら店を後にするウララ。
「…行っちゃった……って、こうしちゃいられない! 一大事だよ!?」
ちょうど休憩時間なので、メグミは慌ててスマホを取り出す。
「来るか分かんないけど、一応アニキにも送っておくか……」
……さて。
自分は今『ブラックアウト』という、ファイター集団のチームの4代目リーダーなのだが、初代リーダーも含めたチームのみんなになんて送ろうか? メグミはウララから今聞いただけなので、それだけだと確証はない……
なので……
「えっと『天変地異です。今日、ソラがウララちゃんと一緒に私がバイトしてるショップに来ました。ソラが自前のデッキを使ってファイトしたと、ウララちゃんから聞きました』っと……」
メッセージを送信する。すると直ぐに返信……というか、着信音が鳴った。その相手を見たメグミは、溜息を吐きながらもバックヤードに移動して、通話ボタンを押す。
「もしもし?」
『あー、メグミ? 今大丈夫か?』
「んなわけないでしょ。今は休憩時間だからいいけど」
電話をかけてきた相手は、
『悪い悪い。んで……ソラが自前のデッキ組んだってマジ?』
「確証はないけど、ウララちゃんがそう言ってた。私も正直、驚いてる」
『で、肝心の2人は?』
「パフェを食べに行くって」
『……ビックカニカカニパフェを食いに行ったな。なぁ、ソラの予定とか聞いてたりするか?』
ダンジにそう訊かれたメグミは、ソラの予定を考える。明後日が学校の筈だから、明日の夕方前には富山に帰ってしまうのでは?と。
「明日の夕方前には帰っちゃうんじゃない? ソラだって学校があるんだし……」
『明日の夕方前か……よし! ちょうど俺、近くに居るから今からそっちに寄ってくわ!』
「はあっ!?」
唐突な事を言うダンジに驚きの声を上げるメグミ。てっきりに那古野にいるのかと思ってたが、今の言動を聞く限り、近くまで来てるらしい……
『あいつの自前のデッキとか気になってしょうがねえ! 腕が鳴るぜ!』
「ちょっ……」
『つー訳で、メグミ! ソラに今日の19時過ぎくらいにワンダヒルに来いって伝えといてくれ!』
「……」
それだけ言って、ダンジは通話を切ってしまった……
「……全く、アニキってば。はぁ……バイト終わったら、ウララちゃんに連絡するか……」
とりあえずバイトが終わり次第、ウララに連絡してみるかと、メグミは思うのであった。
◇
一方その頃。
「お待たせしました。ビックカニカカニパフェ2つになります」
「「わあ~♪」」
喫茶店『プリンセスタイム』に来ていたソラとウララは、注文した巨大なパフェを見て、目を輝かせていた。
「そして、こちらクッキーでございます」
「あれ? マスター、ボク頼んでないよ?」
「ほっほ♪ 試作品です♪」
ごゆっくりどうぞと言って、厨房に戻るマスター。
「「いっただきま~す♪ ん~、うま~♪」」
このビックカニカカニパフェは、トッピングのメロンの皮と兎型カットのリンゴがカニのハサミを模しており、他のフルーツも海モチーフにカットされているらしい……と、当時ここを紹介してくれた友人が言ってた。
ちなみにその友人は、ソラ以上のかなりの甘党で、日々の楽しみとして余裕で平らげるくらい好きだと公言していた程。
「そういえば、お昼ご飯、何か食べたいのある?」
「えっとね、えっとね、お兄ちゃんが作るオムライス食べたい!」
「はいはい♪ じゃあ食べ終わった帰りに、スーパーでも寄って行こっか」
「はーい♪」
お互いに残り半分以上のパフェを見ながら、この後の予定を話し合う羽根山兄妹なのであった。
◇
その日、夜の月ノ森前のバス停にて。
「次のバスの時刻は……相変わらず、1時間に1本みたいだね~。それでも本数は多い方だとボクは思うな」
「えっ、そうなの?」
「うん。地方によっては、2時間に1本とか、1日に3本だけしかないバスもあるから。電車も似た感じのがあるらしいよ?」
「えっ……!?」
現在の時刻は19時13分。
バスの時刻を確認しながら、ソラがのほほんとした表情で豆知識を言うので、ウララはその事実に驚いてしまう。
「それにしても、メグちゃん。何の用だろうね?」
「お兄ちゃんを連れて、ワンダヒルに来てほしいって言ってたけど……」
久しぶりの家で少し早めの夕飯を食べて、兄妹でのんびりしてたところ、ウララのスマホにメグミから電話があり、現在に至る。
「(まぁ……電話の際、メグちゃんの声が少し困った感じだったから……)」
ソラは呼び出された理由をなんとなく察していた。
「ボクを呼び出したのは、メグちゃんじゃない人! よって正体は……!」
ブラックアウトが拠点にしてる廃遊園地『ワンダヒル』に到着するや否や、ソラはわざとらしく、大声で誰かを呼ぶ。
「俺だ!」
「やっぱりダンジ」
メリーゴーランドの周りに装飾された明かりがライトアップされ、その人物……
ちなみにメグミ。この場所の時のみ限定だが、ボーイッシュな服装をしているのだ。尚、帽子で長髪を隠しているが、どうやって被ってるのだろう?とソラは毎回思っている。
「久しぶり。ダンジとメグちゃんだけ? 他の人達は来てないの?」
「アニキ以外、今日は他のみんなも来れないかもだって」
そう答えてくれたのはメグミ。初代リーダーであるダンジがこの場に来てる……つまり、そういう事だろう。
「つー訳でソラ! ファイトしようぜ!」
「いいよん♪」
「お兄ちゃんの返しが軽っ!?」
そしてソラはメリーゴーランドに設置されているファイトテーブルにライドデッキを置き、メインデッキをシャッフルする。
「お、見た事ねえ、ライドデッキスリーブだな。何かの紋章?」
「私も初めて見た。何処かで買ったの?」
「何かの特典で貰ったんだよ~♪ 何処かは忘れちゃったけど♪」
「「へ~……」」
ウララと同じ反応なので、そう返しておいた。
「先攻と後攻、希望とかあるか? 好きな方を選んでいいぞ」
「いいの? じゃあ……ウララとやった時は後攻だったから、先攻で」
そう訊かれたので、今回ソラは先攻を選択した。
「お前と本気でファイトするの、いつ以来だ?」
「もう、かなり前になるんじゃない? 自前のデッキを使って、ダンジとファイトするのは今が初めてだけど」
「「……(始まる前なのに、2人の空気が変わった)」」
ウララとメグミが見守る中、ソラとダンジは、お互いにライドデッキからファーストヴァンガードをセットする。
「スタンドアップ・」
「Z」
「「ヴァンガード!」」
そして今、夜の遊園地のメリーゴーランドでのファイトが開始されるのであった。
読んでいただきありがとうございます。
次回、ダンジとのファイト回です。この回は2回に分けて書いてみようかなと思っています。
頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
※次回予告
夜の遊園地のメリーゴーランドでファイトをするソラとダンジ。
彼が組んだ自前のデッキの力にダンジだけでなく、見物してたメグミも驚きを隠せない……
そして2人は次第に本気になっていき……?
────次回、第4話『竜神に挑みしディアブロス』