第4話 (烏野高校視点)
澤村side
俺たち烏野高校バレー部は「コート上の王様」って呼ばれてる影山を見に来たはずだった。
それなのに今は影山要する「北川第一」と対戦している「雪ヶ丘中学」でプレーしている一人の選手に釘付けになっている。
俺も、スガも、田中も、清水もだ。
小耳に挟んだ話じゃ、最近出来たばかりの無名のチームだって聞いたから正直、「北川第一」の圧勝で終わると思っていた。
だがそんな考えは雪ヶ丘の2番にぶち壊された。
一言で言うなら「凄い」だ。
スパイク、レシーブ、ブロック、トス、サーブ。
全てのプレーに欠点が無かった。
特にスゲーと思ったのは第二セットで見せた、あの「速すぎる」速攻だ。
遠目からだったし、見間違いでなければだけど、2番のトスを打ったあの1番は目をつぶってたように見えた。
つまり2番は1番の助走のタイミング、ジャンプの高さ、腕を振る速さを全て計算してドンピシャのトスを送ったんだ。
まさに「神業」って言葉がしっくりくると思った。
その後、何度もその速攻で点を取り、まぐれではない事を会場にいる全員が知った。
さらにだ。2番は何とスパイクサーブではなく、「ジャンプフローターサーブ」を打ったのだ。
たった一回打っただけのサーブで「あの2番のサーブは間違いなくほぼ100%の確率で入る」と分かった。
何故ならあいつは絶対に影山を狙ってサーブを打ったからだ。
一気に目の前まで迫ってきただろうジャンフロを凄いと思うと同時に、自分が狙って打たれる事を妄想したら鳥肌がたった。
うちのリベロ…………西谷ならばレシーブ出来るだろうか?
あいつは「絶対上げてやるっ!!」とか言いそうだなー。と思いつつ、あの2番のプレーは絶対にこれからも成長するだろうから、苦戦はするだろうとは思った。
試合はいよいよ雪ヶ丘のマッチポイント。
会場の全員が固唾を飲んで見守る中、2番がスパイクサーブを思い切り打った。
セッターがかろうじて上げるも雪ヶ丘側コートに返ってくる。
2番の動きは速かった。1番に何かサインをすると同時にボールの真下についた。
何のサインだろうか?と一瞬考えるが、すぐに答えが分かった。
1番が「コートの横幅めいっぱい」に走って、相手のブロックを置き去りにした。
唯一サインの意味に気づいた影山がスパイクに飛び付くも、ボールの軌道を反らすだけに終わった。
第一セット 26対24
第二セット 25対23
この試合は超大判狂わせの雪ヶ丘中学のストレート勝ちで終了した。
勝った方の雪ヶ丘側は大喜び。
負けた北川第一は試合結果をまだ受け入れる事ができないのか、呆然と立ち尽くしている。
当然と言えば当然か。優勝候補が無名のチームにストレートで敗北したのだから。
対して雪ヶ丘はプレーを見たところ、選手のほとんどはバレー未経験者がほとんどに見えた。
動けていたのは恐らく別のスポーツで鍛えていたからだろう。
選手の一人なんて足でボールを上げていたくらいだし…………サッカー部かな?
だから彼らもこの勝利は予想外だったのだろう。狂喜乱舞の如く喜んでいる。
2番もやはり嬉しいのだろう。今1番とハイタッチをしている。
他の観客たちも惜しみ無い拍手をしている。もちろん俺たちもだ。田中なんか感動しすぎて号泣してるし……………。
それにしてもあの2番は本当に凄かった。マジでうちに………烏野に来て欲しいくらいだ。
だが会場にいた白鳥沢や青葉城西高校、あと伊達工もあの2番に注目している。
最初は俺らと同じく影山を見に来たのだろうが、途中から影山に興味を無くしたように2番のプレーを撮り続けていた。それは俺たちもだが。
新星爆誕ッ!!ってヤツだろうか?
望み薄かもしれないが、期待くらいはしてもいいだろう。
楽しみだ!!
清水side
カッコいい。
2年と少し、マネージャーとしてかなりの選手のプレーを見てきたつもりだけど、一人の選手を見てカッコいいって思ったのは人生で初めてだった。
澤村たちもあの2番くんを見ている。
多分、私と同じく「烏野に来てくれたら嬉しい」って思ってるんだろう。
それだけ2番くんのプレーは凄かった。
彼が来てくれたら烏野は変わる。絶対に。
楽しみにしてるよ。2番くん。
見てくれてありがとうございます!!