愛と呪いは紙一重【改】   作:ランハナカマキリ

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7月16日、追記しました。

10月5日、追記しました。
黎人たち3兄妹弟の年齢差。

黎人は御行、かぐや、千花と同い年の16歳。

美夜は圭と同い年13歳。

明星は呪術本編終了して5年後の世界線が舞台の別作品で15なので、10歳。




間話 里桜高校②

 

少し前、黎人が真人を蹴り飛ばした時。

 

「順平、ここにいろ!!あとはーー」

 

虎杖は、うずくまって泣いていた順平に駆け寄る。

 

「ごめん、ごめんなさい!!僕が、僕のせいで!!母さんも、虎杖くんもーー」

 

言葉にすると、どんどん自分のしたことが重く感じる。人を傷つけた。自分と友達になってくれた、母さんの料理も迷惑がらずに食べて、嫌な先生を追い払ってくれた虎杖くんを、刺した、傷つけた。消えてしまいたかった。死んでしまいーー

 

「ーー順平!!

 

虎杖は怒鳴った。

 

「お前のせいじゃない!!お前が苦しめば、それこそアイツしか喜ばないだろ!?」

 

胸ぐらを掴んで、順平の目を見つめる。

 

「お前は、お前が苦しんで死んだら、お前のお母さんはどう思う!?」

 

「ーーーっ」

 

「・・・・まだ、あの人に会えんだろ?生きて償え!!」

 

虎杖は呪術師になってまだ2ヶ月。修羅場を数多く潜ったわけでもない。だが、人としての善意が彼には十分すぎるほどあった。その善意は、吉野順平の心を救った。

 

 

 

 

 

「・・・これでどう!?」

 

虎杖の傷口に毒を流す。虎杖悠仁は両面宿儺の器、あらゆる毒に耐性がある。故に、麻酔も常人に比べて効きにくい。だが、みずからの呪力を毒に変化させる順平の式神『澱月』は、麻酔の元となる毒に変換させることができる。常人ならば死ぬレベルの量だが、()()()()()()()毒は効かず、薄まって麻酔の効果を発揮する。

 

("これ"を積み重ねるんだ。"これ"は、僕の償いだ!!)

 

この、人の命を助ける行為を、吉野順平は自らの償いとして受け入れた。

 

「サンキュー、順平!!」

 

虎杖悠仁は、校庭に飛び出した。

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

現在

 

「ここで確実に祓います!」

 

「「応!!」」

 

(虎杖悠仁に注意を払いつつ、七三術師と仮面のガキから仕留める!!)

 

黎人と七海が前衛で攻撃をいなしながら、虎杖に確実に削らせる。

 

だが真人は改造人間を2体放ち、虎杖を引き離す。

 

「ははっ!!!やっぱりあいつ人殺せないじゃん!!」

 

攻勢を強め、形を変化させる真人を七海が崩し、七海に触れようとする真人を黎人が蹴り上げる。

 

風圧と衝撃により真人の体は校庭の上空へと飛ばされる。

 

万象術式(カオス・コントロール)神嵐(ユピテル)

 

神風

 

かつて日本に襲来した元寇を二度に渡り撃退したという、大型の低気圧。

 

吹き付ける暴風、打ち付ける雨粒。

 

その全てに呪力が込められ、目には見えない頑強な空気に捕まり、身動きの取れない真人の体がどんどん削られてゆき、雨が赤く染まっていく。

 

(あぁ、なんて新鮮なインスピレーション!!これが、"死"か!!)

 

 

 

••••今ならできるよね?

 

真人が手印を結び、黎人は諸天救勅印を結ぶ。

 

「「領域展開」」

 

自閉円頓裹(じへいえんどんか)

 

須弥沙羅双樹(しゅやさらそうじゅ)

 

真人の領域は手と手が繋がり合い、中央に手が全ての方向に花咲く集合体。

 

黎人の領域は、満点の星空に向かって伸びる2本の神木が、二重螺旋状に重なり合っている。

 

領域の練度は、結界術の達人である黎人の方が上。すぐさま半透明に光り輝く鳥の式神たちが直人に向かって突っ込んでくる。

 

その時だった。

 

《まぁぁヒィぃぃぃイィとぉぉぉぉぉぉお!!!》

 

外から2人の結界が崩壊した。入り込んできた毛むくじゃらの呪霊が黎人を校舎に蹴り飛ばした。術式は焼き切れ使用できない。黎人はコンクリートの屋上に激突し、血を吐いた。

 

「ーー新手!?」

 

「お、御先(みさき)じゃん!!」

 

《コイツ、は、僕がやるぅぅぅぅ!!!》

 

「んじゃ、よろしくね〜」

 

真人は新参者にそういうと腕を鳥の翼に変化させ、七海の元に向かう。

 

(ミサキ?神使のことか?)

 

神使とは日本古来より伝わる神の使い。

富や災いをもたらすと考えられた動物を、人は敬い恐れ呪った。

 

全身を覆う白い体毛。

頭は鹿、背中に鷺の翼、腕は熊、腰には狐の尻尾、脚は牛。

胴に山伏の結衣袈裟を着た毛むくじゃらの腹をかきながら、呪霊が見下ろす。

 

あらゆる神使の特徴を持った呪霊が、黎人の前に立ち塞がる。

 

(くそっ、時間稼ぎか!?虎杖は改造人間を祓えない!!このままだと七海さんがーー)

 

《ううううう、"蜂"》

 

右手で杖を掲げる。

 

すると何処からともなく蜂の大群が現れた。

 

「式神!?」

 

(なるほど?動物の式神を操る術式か。禪院の奴らが嫉妬するな)

 

蜂は二荒山神社の神の使いとして祀られる動物である。だが、ハチの中でもスズメバチ類とアシナガバチ類は巣や自分の防衛のために敵に容赦ない攻撃を加える気象の荒さや強靭なアゴ、毒針を持つことなどで知られている。そのため、人間の陸上および海上における、野生動物の襲撃による年間死亡事故の最も多い"最も危険な野生動物"と呼ばれている。

 

ブブブブブ!!!

 

「ちっ!!」

 

(だが、術式は回復した!!)

 

咄嗟に後方へ駆け出した黎人は飛んでくる蜂の、身体中についた粉を利用しある現象を起こす。

 

粉塵爆発だ。

 

ドオオオオン!!!

 

爆発により視界が悪くなる、が黎人はそんなことお構いなしに攻撃を仕掛けた。煙を突っ切り、空中から降りた御先に蹴り込む。

 

「お前に構ってる時間はねぇ!!」

 

《わ、わあっわははは!!!!》

 

呪霊は笑いながら黎人のかかと落としを避け、尻尾で黎人を弾き飛ばす。

場所は屋上、体制を崩された上に高所からの落下、流石に呪術師でも助からない••••並の呪術師ならば。

 

空歩(エンジェル)

 

無重力、その名の通り自分の周り半径1メートルを無重力空間にする。黎人が無重力で浮いていられる制限時間は、半径1メートルの範囲の空気、主に酸素を使い切るまでだ。無重力空間において、人は脱水と酸欠に襲われる。半径1メートルに含まれる酸素と水分を上回るレベルの常時発動はできない。

 

だが、デメリットよりもメリットの方が多い。

 

空中に浮いた小さなガラスの破片やコンクリートの破片に呪力を込め、高速で弾き飛ばす。

 

《いでええ!?》

 

体に瓦礫が刺さり苦悶の声をあげる御先。その隙を黎人は見逃さない。

 

二つの物体を擦り合わせる摩擦によって、静電気が起きる現象。

 

これを摩擦帯電という。

 

そして、もしこれの静電気の量を増幅させ、呪力を込め、さらに打撃と呪力が衝突する誤差を0.0001秒以内に繰り出すとどうなるか。

 

 

 

 

 

「ーー物理と化学の勉強して出直せ」

 

雷戦鎚(ペルクーナス)

 

結果、御先は静電気の放出と黒閃により、帷の外に弾き飛ばされる。

 

■□■□■□■□

 

黎人は虎杖の元に向かい、その光景に驚いた。

 

「っっっああああ!!!」

 

(ーーーまじか)

 

祓いーーいや、殺した。

改造人間を助ける方法はない。あったとしてもそれまで大人しくさせておくことはできないし、そもそも改造人間の寿命は短い。だから殺すしかない。だが、誰にでもそれができるのかと言えばできないだろう。人を殺すことは、自分の価値観を変えることだ。

 

虎杖悠仁は、イカれている。

 

(なら何故あの時、吉野順平を助けようとしたんだ。呪詛師のはずだろ、あいつは、何を指針に人を助けるんだ?)

 

校庭に、七海と真人のいる場所に駆けつけるとそこには領域が展開されていた。黎人は舌打ちし、虎杖は黒い外殻を殴り続ける。

 

「くっそ!!ナナミンが!!」

 

自分の領域で穴を開ける方法がある。だが領域を展開したとして、真人を祓うまで展開し続ける呪力量はない。彼の術式は、威力こそ強力だが発生させた現象に消費する呪力量と樹齢に効くように強化する呪力は凄まじい。しかも反転術式の使用と領域展開直後に食らったダメージ。

 

「落ち着け!!まず結界の構築式を分析して、空性結界を利用して外側から領域ごと解体する。それからーー」

 

「待ってられるか!その間にナナミンが死んじまう!!」

 

「うるせぇ!!じゃあ他にアイデアあんのか!?」

 

「ねぇよ!!でも、俺はナナミンを死なせて後悔したくないんだよ!!俺は・・・・生き様で後悔したくない!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、家入黎人の頭に溢れ出したーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特級呪具『伊邪那美之胎』

 

この呪具は、言うなれば人工子宮、和式ホムンクルス製造機である。母親と父親、双方の血を入れ、適切な量の呪力を三日三晩流し続けることで胎動が始まる。そして10ヶ月経つと健康な胎児が誕生するのだ。御三家最大の汚点『加茂憲倫』によって作り出されたこの呪具は、禪院家が所持していた。それを許嫁同士だった黎人の両親に使わせた。

 

 

 

 

『まさか六眼を持つ者が産まれるとは』

 

『片目だけだが、うまくいけば五条悟をも超える』

 

『"あれ"には術式が2つあるしな』

 

『次の子どもにも期待だな?』

 

 

 

 

 

「••••きっしょ」

 

可愛らしい服を着た赤ん坊を抱きながら、術式の『千里眼』で遠くの禪院家を覗き見る女性。

 

「ちょっと梅?駄目だろ明星の前でそんなこと言っちゃ。子どもの頃の記憶って結構残るらしいからね」

 

「う〜?」

 

「ごめんね〜明ちゃん?お母さんが今言ったことはオフレコだからねー?」

 

「きゃきゃきゃ!!」

 

「•••何で私より真佐の方が懐かれてるのかしら」

 

禪院本家から山を2つ挟んだところに造られた離れ家。

 

黎人の父親『禪院真佐(まさ)』と母親『五条梅』は今年に1歳になった美夜を愛でていた。

 

「それにしてもウザいんだよね••••あのクソ親父」

 

黎人の血縁上の祖父、『禪院扇』は誰もが言うゴミ屑なのだ。あんまり強くない術式のくせ、次期当主になれなかったのを自分の子のせいにする屑。

 

「また黎人を寄越せって手紙来たの?ほんと懲りないわね」

 

「そういや、黎人は何処?」

 

「山の方に、何か拗ねてる見たいよ?」

 

「あーーひょっとして美夜に僕らを取られたって拗ねてるのかもね。探してくるよ」

 

 

 

明星は生まれて数ヶ月。

美夜は3歳になったばかり。

黎人は今年で6歳になる。大樹の枝の上に座りながら、物思いにふけ、ぼーーっとしていた。

 

「空、青いな」

 

「あ!いたいた!!黎人〜?降りてきな〜」

 

「•••やだ」

 

「えーじゃあそっち行っていい?」

 

「•••いいよ」

 

黎人の隣に登って座る真佐。彼は息子の頭を撫で撫でしながら口を開いた。

 

「黎人。何かあったの?」

 

「この前変なオッサンが、『お前は人間じゃない。』って言いに来た。俺、人間じゃないの?」

 

真佐の顔が固まった。そしてうーーーんと首をひねり、こう言った。

 

 

「黎人。人間とか人間じゃないとか、どうでもいいんだよ。いつか、お前のことを必要とする人が現れるから。その人に、人間って思われること大事だ。ま、僕らは黎人のこと人間だと思ってるけどね。さぁ、帰ろうか」

 

「•••うん」

 

 

 

 

 

 

その次の日、父さんは上層部の送り込んだ柄及び躯倶留隊に殺された。

 

母は3人を連れて逃亡。

 

その翌年、母さんは祖父に殺された。

 

 

『黎人、、貴方はお兄ちゃんだから、2人を守って?お願い、約束よ?

 

 美夜、こっちを見て、、貴女はお姉ちゃんだから黎人が無茶しないようお兄ちゃんをささえて?

 

 明星?泣かないでね?お母さん、お父さんのところに行っちゃうけどいつも見守ってるから、、、、

 

 

 

 

 

 

じゃあ、ね?愛して、、るわーーーー』

 

 

 

黎人は祖父を惨殺、その後送り込まれたー級術師3人、特別一級術師1人を返り討ちにした。

 

上層部より死刑宣告されかけたところに、ある人物によって死刑は無くなった。

 

「君のお母さんさ、僕の妹なんだよ。つまり僕は遺伝上の君の叔父ってわけ!!」

 

長身包帯の怪しい男が、俺が高専所属の呪術師になることを条件に秘匿死刑を取り下げた。

コイツのことは覚えてる。

 

3歳の頃、初めて会ったときに

 

『お前が梅がつくったガキ?キッショ!!』

 

『死ねゴミカス』

 

と言った不審者。

 

その後母さんに殴り飛ばされ、唾を吐き捨てられていた。ちなみに母とこの男は2歳差の兄妹である。この男の同期である家入硝子は俺が産まれた頃からの母の友達である。身寄りのない俺たちを、彼女は自分の子どもとして受け入れてくれた。

 

「で、どうする?呪術師する?」

 

「やらないと明星()美夜()はどうなる」

 

「さぁ?でもマシな扱いは受けないと思うよ。特に美夜ちゃんの方はね」

 

「•••明星(あけぼし)が18になるまで死ねねーよ。やってやんよ、呪術師」

 

「よしっ、楽しい地獄へようこそ!!」

 

 

 

 

 

 

目の前に立つこいつは、どこか父に似た男だ。何の見返りも求めず、人を助けるお人好し。父の言葉が脳裏に浮かぶ。こいつは今俺の助けを必要としている。俺は、こいつに人だと思われたい。

 

「・・・領域は閉じ込める結界だ。だから外側からの攻撃に弱い。お前なら、アイツを祓えるかもしれない」

 

それを聞いた虎杖は拳に呪力を込め、外殻を打ち抜く。

 

「ーーフンッ!!空いた!!」

 

■■□■■□■■

 

結局、真人には逃げられた。

 

あの後、領域が破壊された。黎人は重傷を負った真人を祓おうと駆け出したが、真人が吐き出した大量の改造人間に視界が遮られ逃げられてしまった。虎杖は家入硝子の治療を受けた後に、黎人の元に向かった。

 

「ありがとう、あの時お前がいなかったら順平は今頃•••」

 

吉野順平の処遇は黎人が上層部をおどーー交渉の結果、呪術規定に裁かれることなく、保護観察処分となった。

 

「•••謝らないといけないのは俺の方だ。あの時俺はお前が戦えない前提で戦ってた。お前を見くびっていた••••」

 

「••••」

 

「虎杖悠仁•••俺は、お前と同じだ」

 

「ん?どゆこと?」

 

虎杖はハテナを浮かべた。黎人はまぁいいかと思い、五条との会話をふと思い出した。

 

「あ、そうだ。お前術式ないの?」

 

「・・・ハイ」

 

「んじゃシン影に入ってるか?あれ術式なくても会得可能だろ?」

 

「何それ?」

 

「・・・反転術式は?」

 

「???」

 

黎人は頭を抱えた。

 

「あのクズ目隠し・・・・お前、吉野と一緒に今日から静岡分校に泊まれ。交流会までの2週間で、お前らにシン影と反転術式を畳み込んでやる」

 





これにより虎杖超強化入ります。

じゅじゅさんぽ

高羽「あなたの彼氏、もしかしたら呪術師?どんな彼氏!?」

黎人「旧友と会うときに、『や、久しぶり』っていう」
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