『かぐや様』主体では無く『呪術』主体の間話です。不定期に書こうかなと思いました。読んでも読まなくても本編には支障ありません。それでもいいのなら、どうぞ。
「順平って、君が馬鹿にしてる人間のその次位には馬鹿だから。だからーー死ぬんだよーーー「邪魔っ」ーーむぐふっ!?」
窓を蹴破り入ってきた少年が、術式を走らせようとした真人の顔面に蹴りをめり込ませた。血を撒き散らせながら、真人は階段下に転げ落とされた。
「・・・お前が宿儺の器か?」
「誰だ?」
「黎人だ。家入黎人」
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一級術師『七海建人』の依頼で吉野家を監視していた式神が、呪霊の餌食にされかけた『吉野凪』を救出したところから始まる。彼女の治療のために高専の母のもとへ飛び、その後吉野家に置かれた宿儺の指を回収し終わり、一息ついたところで五条悟から電話があった。
「は?」
『言ったとおりだよ?此間死んだ虎杖って子。実は生きててさ、今七海のとこで修行中ってわけなんだけど、何かそのヤバそーな呪霊の任務行っててさ。てな訳で悠仁と七海の手伝いしてくれない?』
「・・・両面宿儺の器、完全に呪術界を揺るがしかねないだろ。触らぬ神に祟りなし、他を当たってくれ」
『・・・・んじゃ、黎人の"秘密"バラしちゃうよ?』
「・・・何処に行けば?七海さんのところか?」
『今携帯に座標送ったから、じゃねぇ〜』
「全く・・・・」
テレポート
物体を離れた空間に転送したり、自分自身が離れた場所に瞬間的に移動したりする"現象"である。
第2次世界大戦中の1943年10月28日、アメリカ海軍は実物の軍艦と生身の兵隊を使って、フィラデルフィア海軍工廠で大規模な極秘実験を実施。ニコラ・テスラが発明した共振変圧器「テスラコイル」がその中核をなしている。テスラコイルは、2つのコイルが共振することで高周波と高電圧を発生させるものであり、当時敵影を感知するレーダーは船体が発する磁気に反応するシステムと考えられており、テスラコイルによって船体がまとう磁気を消滅させればレーダーを回避できると考えたアメリカ海軍はこの実験を行い、そして失敗した。
いや、ある意味では成功した。
軍艦は、
彼はこの現象を自分のものに、そして安全に再現できないかと試行錯誤と何回か死にかけたりを繰り返し、記念すべき169073回目で達成した。
黎人は自身から緑色の明光を放ち、送られてきた座標にテレポートする。
同刻
黎人は排水溝の中にいた。そこにはすでに待機していた二人の呪術師がいる。
一級術師の『七海建人』
準一級術師の『猪野琢真』
「あ、七海さんと琢真兄さんお久しぶりです」
「黎人くん。よろしくお願いします」
「おっ!黎人じゃねぇか!!聞けよこの前準一級試験に合格したんだぜ?七海さんと真白さんのおかげだぜ?」
「へぇ、おめでとうございます。なんか奢りましょうか?」
「え〜悪りぃな〜!!んじゃ焼肉ーーって完全に俺がお前にたかってるみてぇじゃねぇか!!」
「違うの?」「違ぇわ!!」
「・・・・2人とも集中を。
七海の鵺の一声で黙った二人は歩き出した七海の後を追うように排水施設に入って行く。
「・・・・それで、虎杖悠仁は?」
「吉野順平の捜索です。窓の警察官が昨日の一件で自宅待機させていたのですが、今朝から行方不明になっていまして、今伊地知くんと捜索してーーーはい、七海です」
七海が電話をとると、彼の眉間に皺がより始めた。
「ーーーわかりました。二人とも、ターゲットが別の場所に現れました。黎人くんは先に里桜高校へ、猪野くんここを頼みます」
「「了解です!!」」
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「ははっ、なんだお前。せっかく良いところだったのにーー邪魔すんな!!」
「おい、吉野順平の保護。あいつの相手は俺がする」
「お、おう」
巨大な改造人間、表皮を針のように発達させて黎人に向かって猛スピードでタックルする。普通の術師なら全身が串刺しになるようなそれを、黎人は指一本で止め、そして破裂させた。
「なっ!?」
魂10人分の改造人間がいともたやすく破壊されたことに当惑する真人、その隙に真人の懐に入った黎人が拳を握る。
「俺の術式が分からないか?簡単に教えてやるよーーー”現象”だ」
空気抵抗
加速する戦闘機は空気の抵抗を受けながら加速に正比例しながら抵抗が強まり、時速1225キロを到達すると、音速の壁を突破する。マッハに到達した時に発生するソニックウェーブが、黎人の拳に宿り真人に炸裂する。それだけでは無い。拳に纏わせた高密度の空気の塊がさらに拳の威力を底上げしていた。
「ーーーーっごはっ!?」
真人の体に、生まれて初めての衝撃が刻まれる。ガードをした腕を貫通し、内臓や腹にマッハの打撃が突き刺さる。その衝撃により、真人は学校の壁を突き破り、校庭を挟んだ反対側に吹き飛ばされた。
もちろんそんな速度でパンチを放つと拳が砕ける。だが、腕の筋肉繊維の一本ずつ、骨、神経、そして皮膚を呪力で強化することにより、拳も腕も破壊されることはない。
「・・・・ジーンってするよな、やっぱ」
とはいえ、一度使うとしばらく使えない。
黎人は仮面を外し、左眼の六眼を露わにする。
彼の六眼は五条悟のように呪力消費をゼロにできる訳ではない。だが細胞一つ一つの細かい呪力操作や相手の呪力と術式の看破が可能なのだ。実際、彼以外がこの打撃をすると皮膚は裂け、骨が丸見えとなり、肩までの肉がズタズタになってしまう。
「すっげぇ・・・」
虎杖悠仁は驚愕していた。これが五条悟とは違う、特級術師。
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(な、なんだコイツ!?)
強い、そんなことは真人にも分かりきっている。魂を傷つけられる訳では無いが、真人の呪力を削るには充分すぎる威力だ。
「う、うげぇぇぇぇ・・・・」
生来初めてのノックダウン。真人は味わったことのない感情、"屈辱"を黎人に味合わされた。血反吐を吐きながら、腹の中から改造人間を取り出す。
「くっーー『無為転変』ッ!!」
「お?」
現れるのは巨大な無数の手、黎人は校舎の壁に叩きつけられ、手の中から現れた真人は彼の腕に触れる。
「君さぁ、面白そうだけど今は邪魔なんだよ。死ねっ!!」
『無為転変』
悪意のこもった歪な呪力が、黎人の腕から全身に流れーー
違和感
ーー変化しなかった。
「は?」
「ーーっっ!!油断したな・・・それはお前も同じか」
「『逕底拳』っ!!」
真人の死角から放たれる虎杖悠仁渾身の右ストレート。虎杖によるダメージから、真人は彼が魂の輪郭を理解していることに気づく。そして黎人の魂に関しても結論が出た。
(なるほどね・・・コイツ、魂の硬さが不自然だ)
真人が感じ取った違和感、それは黎人の”不自然さ”だ。普通の人間は魂に肉体が肉付けされていくのだが、魂も肉体もその人間に適した形にブレンドされていく。だが目の前に立っているこの少年は、魂と肉体の比率がおかしい。普通の人間が50:50の比率だとすると、黎人は200:200の比率。どちらも1:1なのだが、ラム酒のブレンドとウォッカのブレンドのような、今までに見たことのない上質な魂と上質な肉体の比率。ひょっとしたら強い術師は皆こうなのだろうか?
「ーー遅れました、状況は?そして虎杖くんはあとで説教です」
真人は体勢を立て直しながら、この状況からどう学べるかを考えていた。
(とにかく、コイツを無為転変するのはかなり骨が折れそうだ•••だが七三術師はそうじゃない。七三術師へ攻撃を集中させながら、宿儺の器と仮面術師を見張る)
七海は鉈を構えながら、真人の顔を見て真人の魂にダメージが入っていることに気づき、どうすべきか考えていた。
(恐らく虎杖くんの与えた攻撃が効いている。私と家入くんが奴の動きを引きつけ、虎杖くんに確実にダメージを与えてもらうのがベスト)
黎人は焼けたような傷のある腕を抑えながら、自分の受けた攻撃を推測し、正しい立ち回りを考えていた。
(さっきの攻撃、呪力で防いだのに防ぎきれなかった。恐らく魂に作用する系統の攻撃だ。あと9回くらい喰らえば死ぬな。魂を観測できないと反転術式で回復もできない・・・早めに決着をつけたい)
虎杖は服の袖を巻き上げながら、真人に殺意を向ける。そして真人をどう殺すかを考えていた。
(理屈は分からんけど、俺の拳が効いている。順平の麻酔毒のおかげで痛みも頭も冴えてる。毒の副作用で動けなくなる前にコイツを殺す)
4人の思考が一つに収束する。
((((ここで、奴/コイツ/コイツらを祓う/殺す!!))))
次回
『これは、僕の償いだ!!』
『俺は、生き様で後悔したくない!!』
『『領域展開』』
『虎杖悠仁•••俺は、お前と同じだ』