長かった、実に長かった・・・(待ってる時間)
サカモトデイズアニメ化やったぜ!!
その日の夜、黎人は湯船に浸かりながら五条悟と通話していた。
彼が今住んでいるのはとある街中の一軒家。普段は高専内にある寮で生活しているのだがわざわざ高専から通うのは正直言って時間の無駄。なので近場の一軒家を"買った"のだ。借りたのではない。
特級術師の給料様様である。
「てなわけで、当分呪具・呪物探しはやめて彼女に憑いてる怨霊の解呪に専念する」
『マジか〜じゃあ回収任務は暇な時にやってね。普通の任務の数もできるだけ減らすから。それにしても、南雲家かぁ〜』
「えぇ、俺も聞いた時は聞き違いかと思いましたよ」
南雲家とは、呪言師の末裔である狗巻家の分家である。
南雲家には2つの相伝術式があり、1つは呪言。『家入黎人は探したい』で説明した南雲晶が持っている悪口が通じるようにするものであり、もう1つは『滅塵呪法』と呼ばれる、触れた者から呪力や肉体を塵にすることができる術式だ。とはいえ、燃費の激しい術式で直接触れたものしか塵にできないし、あまり大きなものや呪力量の大きなものは崩壊できない。
というか滅塵呪法を使う南雲家は江戸時代以降は衰退したため、詳しいことはよく分かっておらず、南雲玲奈は高専がマークしていた人物の中にはいなかったので、体に術式が刻まれているだけで脳が非術師ではないかと考える。だが呪霊化した術師が人間だった時よりも強くなることはよくあることだが、それにしては自我があまり残っていない。
人間だったときは、母性感のある温かい人柄(子安つばめ曰く)とは言っていたがここまで変化するだろうか?
『じゃあ、この南雲玲奈と子安つばめの家系の調査は伊地知にさせるよ』
「自分で調べろクソ教師」
湯船から上がり、暖かくなった体を温水のシャワーで洗う。
(湯船に使ったあとに冷水を浴びてはいけない。難しい言葉で言わずに結論から言うと死ぬ。難しい言葉で言うと自律神経が乱れたり血圧が上がって心臓に大きく負担がかかる)
『ていうかさぁ〜つばめって子の調査いるの?例との報告書見てもさ、六眼で見ても彼女自身には術式はなかったんだし、特級過呪怨霊を生み出すほどの呪力量はなかったんでしょ〜?』
「•••まぁ、念には念をだ」
『•••あっ、ひょっとして黎人。その娘に惚れちゃっーー「獄門彊に千年封印されるか真希さんか甚爾さんに天逆鉾で刺されて死ね。」
ブツッ!!
黎人はすぐに電話を切った。五条悟はこの手の話に目がない。
『若人は青春を謳歌せよ。』がモットーである彼は教え子達の恋愛事情にまでズブズブ入っていく。
"自分の片想い"が10年以上続いている反動かもしれない。
ちなみに、この時の判断により、つばめを連れて呪術高専に行った時に地獄を見ることになるのを彼はまだ知らない。
「にしても、名前どうしよ」
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翌日の昼休み
「あ'あ"〜〜!!!!」
「どうしたんだ?黎人」「疲れてんのか?」
家入黎人は、生徒会室にてダラリとしていた。
「御行、優•••母親が年下の男の子供を妊娠して、名前考えろって言われてんだけどどうしたらいい?」
「「結構重い内容だなオイィぃぃ!!!???」」
黎人説明中•••
「なるほど•••相手は去年事故で亡くなったのか」
「その人の忘形見みたいなものですよね•••」
事情を説明するまでまだ見ぬ黎人の家庭環境を想像して混乱していた2人だったが、そもそも義理の母親で去年恋人と死別したばかりだと聞いて冷静になったようだ。
「てな訳でどうしたらいい?」
「名前か•••ツヨシとかタケルみたいな?」
「•••御行のネーミングセンスって古いな」
「だな。絶対にクラスで浮く名前だよ」
「う、うるせぇ!!てかお前らも考えろ!!」
「そうですね、花の名前で考えるのはどうですか?」
「なるほどな•••優、それはアリだ。となると、茜か桜か、色々あるな•••」
スマホを取り出し、『花、人の名前、現代っぽい』で検索をかけるといくつか候補が見つかった。
「そもそも性別は?そこは分かっているのか?」
「いや・・・でも確かに男の子なのに茜とかの名前だとイジメの対象になりかねないな・・・やばい、母さんが学校に凸る所まで予想できた」
「他には・・・参考にできる名前の人はいないのか?知り合いとか、母親の友人とか・・・」
「ん〜?それなら真白かな、いや雄か傑・・・いや死人の名前は不謹慎か」
「お前がいちばん不謹慎だよ!!?」
「あとは誕生石とか誕生月から名前を選ぶ人もいるらしいですね・・・」
石上がスマホを見せてくる。
「•••今妊娠6ヶ月だから、10ヶ月に生まれると仮定すると4ヶ月後か」
「4ヶ月後はだいたい8月か9月だな•••ベリドットかサファイヤだな。名前は、花とか翔だな(2019調べ)」
「弟の友人•••
「宝石は無しだな」
「「はい」」
結局、女の子だったら茜。男の子だったら翔に候補は上がった。
本日の勝敗、特になし
■□
「そういやこの間、顔真っ赤にして走ってた四宮先輩を見ましたけど」
「き、気のせいじゃないか?」
「•••ん?何ですかこの本。」
会長の机の上に置いてあった本を手に取り、数枚めくる。『恋☆バイブル』と毒々しいほど鮮やかなフォントと特徴の無い女の子が表紙のその雑誌を数秒見たのち、机の上に投げた。
「•••34%が高校生までに経験済みである、ねぇ」
「ホントですよねぇ。66%の人たちのことを考えたことないんでしょうね」
「•••参考に聞いておくが、家入はそういう経験が?」
この手の話題『今まで女子と付き合ったことはあるのか?』から自然と除外された石上は傷ついた。
「ないな•••うちの親の家系が血筋重視の前時代思考なところがあって、万が一のことがあったら困るからってCまでは流石に•••あ、でも付き合った人は5人くらい•••」
「結構多いな!?」
「中学の同級生と教師かな。でもAくらい、せめてBまでしかしなーー何真っ赤になってんだよ。百戦錬磨なんだろ?」
「え、あぁ!?あ〜そ、そうだなあははは!!!」
(・・・ひょっとして"そう"なのか?)
(・・・多分"そう"なんじゃね?)
2人はある答えに辿り着いた。
「•••へぇ〜その反応、会長まだ”DT”ですか〜」
疑問が確証に変わった。
前回の恋愛相談の時にやたら焦っていた白銀。
黎人は人の目を見れば考えていることの8割は分かると石上に教わっていた。
それがまさかこの場で活かせるとは思わなかった。
「いや、ちがっ、決してそうではーー」
「へぇ〜そうですかそうですか〜ちょっとトイレ行ってきます」
「僕も僕も〜」
「まっ、待ってくれぇぇぇ!!!」
止めようとする白銀、トイレに向かって走り出す石上、方向転換して白銀に耳打ちする黎人。
「後それから、ヤリまくってる男より純潔守ってる男の方が女子受けいいですよ〜〜」
「••••四宮先輩のこと応援してますよ」
「は、え!?」
パタンッ!!
白銀は、少なからず後輩に励まされた気がした。
じゅじゅさんぽ
七海はパン屋の前で立っていた。
「•••SNSで話題の新作カツカレーパン」
「販売開始5分で完売する数量限定パン、気張っていきましょう」
5分後
(なんとか買うことができた•••色合い、匂い、重さ、完璧とはまさにこの事。さて何処か食べれる場所にーー)
七海の視界にまだ幼い男の子連れた少女が先ほどまで自分のいたパン屋から出てきた。
「え〜ん!!!カレーパン食べたかったぁ〜!!!」
「しょうがないよぉ、また今度にしよ?」
「い〜や〜だ!!!」
『あ、さっき買ったおにぎりあげてくる!!』
『灰原、あなた昨日からまともに食べてないでしょう?』
『そういうな健人。こういうときは子供に譲ってやるのが大人だよ?』
『真白•••はぁ•••』
『まぁ、いつか分かるよ』
「あの、これ。一つだけですが」
「え!?いいんですか!?」
「ほんと!?ありがとうオジちゃん!!」
「こら!!お兄さんでしょ!!」「メムねぇ、あの人もう行っちゃったよ?」
「えっはや!?あ、ありがとうございます!!!」
灰原、天童寺と書かれた墓石。
「灰原、真白•••これで私も大人になれましたかね」
七海は静かに微笑んだ。